ポーカー初心者が学ぶべき10のこと
この記事でわからない用語があれば、ポーカー用語集で調べてみてください。
1)ゲーム理論の仕組み
ポーカーを始めるうえで、基礎は特に重要です。昔のプレイヤーの多くは感覚で学びましたが、現在のポーカー環境では、よほどソフトなゲームでなければこのスタイルはほとんど通用しません。
スタック・ポット比(SPR)
エフェクティブスタックをポットサイズで割った値です。SPRは、インプライドオッズやメイドハンドの相対的な価値を測るために広く使われます。
エクイティ(EQ)
全員がショーダウンまで進むと仮定した場合に、そのプレイヤーがハンドに勝つ確率です。チョップも計算に含まれます。エクイティは、ハンドvsハンド、ハンドvsレンジ、レンジvsレンジなど、複数の方法で計算できます。広い意味ではハンドの価値を指しますが、エクイティリアライゼーションなどの要因によって、そのハンドのEVは変わります。
期待値(EV)
ハンド、ポジション、プレイから得られると見込まれる価値です。起こり得るすべての結果を、その発生確率で加重平均して求めます。
最低ディフェンス頻度(MDF)
相手がエクイティ0%のハンドで利益的にブラフできないよう、ベットに対して最低限ディフェンスしなければならないレンジの割合です。Alphaとは逆の関係にあり、MDF=1−Alphaとなります。また、ポットに対するベットサイズの割合を「s」とすると、MDF=1/(s+1)です。たとえば、相手がハーフポットをベットした場合、ピュアブラフにエクスプロイトされないためには、自分のレンジの1/(0.5+1)=66%をディフェンスする必要があります。
エクイティリ実現度(EQR)
ハンドが持つエクイティを「実現」できる度合いです。一般にEQRは、ハンドが持つエクイティをEVへ変換できる度合いを表します。エクイティから想定される以上のポットを獲得するハンドは、エクイティを「過剰実現」していると表現します。反対に、エクイティから想定されるほどポットを獲得できないハンドは、エクイティを「過少実現」しています。数式では通常、EQR=ポットシェア/エクイティです。ポットシェアは、そのハンドのEVから見込まれるポットの獲得割合を指し、エクイティは全員がショーダウンまでチェックした場合にハンドが持つ勝率を指します。たとえば、エクイティが40%しかないハンドで平均してポットの70%を獲得する場合、EQRは0.7/0.4=175%です。
ボードテクスチャとの関係を踏まえ、どのラインにどれほどのハンドの強さが必要なのかを理解しなければなりません。SPRが20もあるポットでトップペア・ノーキッカーからスタックをすべて入れるプレイは、ほとんど正当化できません。反対に、SPRが低い状況では、ホールカード2枚を使うストレートがあり得るという理由だけでセットをフォールドしても、正しいプレイになることはほぼありません。こうした感覚をどう身につければよいのでしょうか?まずはしきい値から学びましょう。
これらのトピックは、Daily Dose of GTOの11月分でも取り上げています。
2)アクションの境界線
短期間である程度堅実なポーカープレイヤーになるには、アクションの境界線の学習が特に役立ちます。 このスポットでは、どのハンドクラスならスタックをすべて入れられるでしょうか?どのハンドならバリューでレイズできるでしょうか?どのハンドクラスまで相手のベットに対して参加できるでしょうか?
初心者は中程度の強さのハンドを過大評価し、この境界線をほぼ必ず見誤ります。次にGTOソリューションを見直すときは、バリューの境界線を意識して探してください。レンジ全体を暗記するより、明確な境界線を1本覚える方がはるかに簡単です。
3)重要なのは自分のハンドではなく、レンジ全体のプレイ
初心者が陥りやすい罠の一つが、個々のハンドの頻度にこだわりすぎることです。あらゆるスポットの頻度をすべて暗記するのは不可能であり、学習方法としてかなり非効率です。
一歩引いて、全体を見る方がはるかに役立ちます。レンジ全体を確認してください。 自分のアクションに合わせて、ブラフとバリューが適切な比率になるようにレンジを組みます。個々の頻度が正確でなくても、本当に重要なのはレンジ全体の構成です。レンジの組み方の例は、YouTubeチャンネルで確認できます。
4)ポットを取る頻度を上げてもEV最大化にはならない
人間は勝った記憶より、負けた記憶を強く残す傾向があります。その結果、最もEVの高いプレイではなく、すぐにポットを取ろうとするバイアスが生まれます。最善のプレイでは、大きなポットを獲得できる代わりに、多くの場合は小さなポットを失うラインを取ることもあります。
サイコロを1回振るゲームを考えてみましょう。1〜5が出たら、あなたが私に$10を支払います。6が出たら、私があなたに$100を支払います。83%の確率で$10を失いますが、17%の確率で$100を獲得できます。
このゲームのEVはかなり高く、EV=(⅙×$100−⅚×$10)=1回あたり+$8.33です。
勝つ頻度が高いプレイが、必ずしも最もEVの高いプレイとは限りません。 高いEVになるなら、成功頻度の低いロングショットを狙う必要もあります。脆弱な役のあるハンドをチェックし、相手にドローを引くチャンスを与える場面もあります。このバイアスを乗り越えられるよう、考え方を鍛え直してください。
5)ハンドを過大評価しない
ほとんどのレクリエーショナルプレイヤーは、ハンドの価値を実際より大幅に高く見積もっています。 その結果、レンジが上位のハンドに偏り、ドミネイトされたペアを作ることが増え、リバースインプライドオッズが問題になるスポットも多くなります。
リバースインプライドオッズ
インプライドオッズとは反対の概念です。自分のハンドが完成しても、相手がさらに強いハンドを完成させた場合に、どれほどのチップを失う可能性があるかを見積もります。
ポーカーではインプライドオッズが極めて重要で、100bbのキャッシュゲームでは特に大きな影響があります。ナッツを引ける可能性があり、複数ストリートでアグレッシブなアクションをされても耐えられるハンドは、ドミネイトされたトップペアよりはるかに高い価値を持つ場合があります。 GTOでは、AJoのようなハンドを3ベットに対してフォールドし、代わりにスーテッドコネクターやポケットペアなど、インプライドオッズの高いハンドで参加することがよくあります。
インプライドオッズ
後のストリートで行われるベットまで考慮したオッズです。ハンドが完成した場合に、後のストリートで追加のベットをどれほど獲得できるか見積もれます。リバースインプライドオッズは、ハンドが完成してもさらに強いメイドハンドに負けた場合に失う価値を指します。
強いポケットをオーバープレイするのは典型的なリークです。 ボードテクスチャから見た実際の価値を大きく超えてプレイしてしまいます。原因の一つは心理面にあります。AAはスタック分のバリューを取って当然の「特別なハンド」だと考え、トップペア・グッドキッカーはこれ以上逆転されるはずがないと思い込みます。すべてのドローが完成し、相手がリバーでチェックしていても、ツーペアは決してフォールドできないと考えます。初心者がこうしたプレイをすると、プレミアムハンドから得られるバリューを減らしてしまいます。 結局のところ、ワンペアにすぎません。
6)EVの大部分はナッツ級のハンドから生まれる
ナッツ級のハンドがEVの大部分を生み出します。 スタックがディープになるほど、この傾向は強まります。実際には、ハンドの大半がブレークイーブン(損益分岐点)に近いため、ナッツ級のハンドを正しくプレイできるようになることが欠かせません。
ナッツそのものではなくても、ナッツ級と見なせるほど十分に強いハンドを指します。たとえば、フロップセットは通常、ナッツ級のハンドと考えられます。
次の画像は、100bbのキャッシュゲームでBTNまでフォールドされたときの、各コンボのEVを示しています。BTNは42%のハンドをオープンしますが、このスポットでオープンするハンドの約半分は、長期的なEVが0.1bb未満です。
ポストフロップでも同じです。レンジに含まれる少数のナッツ級のハンドが、EVの大部分を生み出します。 ナッツ級のハンドのプレイを学ぶことが重要なのは、このためです。
7)まずプリフロップ戦略を身につける
プリフロップを身につけることが、結果を大幅に改善する最も速く効率的な方法です。 プリフロップを正しくプレイできれば、ポストフロップもプレイしやすくなります。すべてはプリフロップから始まります。プリフロップのソリューションは無料で利用でき、プリフロップのスキルを磨ける複数のトレーニングモードも用意されています。
プリフロップ戦略を無意識に考えずにプレイできるまで身につけてください。 自信を持って多くのハンドをプレイできるようになり、ミスが減り、後のストリートも正しくプレイしやすくなります。GTO Trainerを無料で試してみてください!
8)ほとんどの指針は誤った前提に基づいている
自分で考えた指針のほぼすべてには、偏った前提が含まれています。何を勝てるプレイと考えるかは、自分がプレイする環境のメタによって歪められ、リスク回避のような無意識の要因も戦略にバイアスをかけます。ソルバーの結果を見ると、理論への理解を広げるのではなく、自分の考えに合うよう戦略を理屈づけようとします。 これは人間として自然な反応で、乗り越えるには訓練が必要です。
ポーカープレイヤーとして本当に成長するには、昔の習慣を手放し、視野を広げなければならない場面が頻繁にあります。ソルバーやゲーム理論的最適戦略を学び始めたばかりなら、特に重要です。自分の前提を疑い、自分の理論に対する反例を意識して探してください。目標は現在の考えを補強することではなく、視野を広げることです。
9)分散は人間が想像できるよりはるかに大きい
ギャンブラーの誤謬は、ポーカープレイヤーによく見られます。 公平なコインを投げ、6回連続で表が出たとしましょう。次も表になる確率はいくつでしょうか?
迷信を信じていると、次は裏が出る「順番」だと思うかもしれません。しかし、現実にはそうなりません。次に表が出る確率は50%、裏が出る確率も50%です。 7回目に表が出る確率も、最初に表が出る確率と変わりません。
何千回も投げれば、表と裏の回数は均等に近づくと考えられます。ただし、運が帳尻を合わせるのではなく、大数の法則による結果です。コインを1000回投げても、表が6回リードしたままだとしましょう。この時点で表は503回、裏は497回となり、6回のリードから始めた場合の期待値と一致します。割合では表が50.3%、裏が49.7%です。
次に、100,000回投げても同じ6回のリードが残る場合を考えます。表は50.0003%、裏は49.9997%になります。裏が一度も追いついていなくても、「運」は均等になったように見えます。これが大数の法則です。
同じように、不運が続いても、次に幸運が来るとは限りません。デッキはあなたに何かを返す義務はありません。 各ハンドは独立した事象であり、AAで逆転された過去は次のハンドに何の影響も与えません。
逆も然りです。ハンドに恵まれていても、次に弱いハンドが来るとは限りません。実際のポーカーで起こる分散は、人間が想像できる範囲をはるかに超えています。ポーカーの分散計算機を使えば、統計的に有意なエッジが結果に表れるまで、数万ハンドかかることがわかります。ポーカーの分散と計算機については、こちらの記事で解説しています。
10)中程度の強さのハンドをオーバープレイしない
弱いアグレッシブなプレイヤーに最もよく見られるリークの一つは、中程度の強さのショーダウンバリューレンジを持たないことです。
このタイプのプレイヤーは常にプレイをやりすぎ、逆転されることを恐れています。レンジは2つしかありません。ブレーキを踏むギブアップレンジと、アクセルを踏むそれ以外のレンジです。
マージナルなハンドでは、ショーダウンでまったく勝てません。アグレッシブにベットしすぎて相手をフォールドさせるか、自分を完全に上回る狭いレンジとショーダウンするためです。本当のトラップレンジもなく、パッシブなラインに残るレンジは、ほぼ常に相手のレンジにドミネイトされています。
中程度の強さのハンドをオーバープレイすると、弱いハンドをフォールドさせ、強いハンドにだけコールされる結果になりやすい点が問題です。 エクイティの使い方としてかなり非効率です。このスタイルが効果を発揮するのは、ほぼコーリングステーションだけで、簡単にエクスプロイトされます。
ボードにドローがあるという理由だけで、すべての役のあるハンドをベットし続ける必要はありません。中程度の強さを持つ「ショーダウンバリュー」と「ポットコントロール」のレンジを作れるようにしましょう。
このテーマについては動画も作成しています。以下からご覧ください。








