プロファイル別エクスプロイト 第5回|LAG
ルースアグレッシブ(LAG)な相手に対して怖く感じたことはないでしょうか。彼らはGTOから外れたミスをしていても、簡単にはポットを諦めないため、分散が大きくなります。適切にプレイすれば長期的には勝ち越せますが、時には大きく負けることも、またどうプレイすべきかわからないこともあります。
プレイヤープロファイルの「LAG Reg」は、フォールドへのインセンティブが-3%、ベットとレイズへのインセンティブが+3%に設定されています。フォールドを避ける方向と、レイズを選ぶ方向の両方にインセンティブが働くため、本来ならフォールドするハンドでもレイズしやすくなります。こうした相手には、アグレッシブなアクションに粘り強く対応することが重要です。だからこそ、大きく負けたり、判断に迷ったりする場面も出てきます。
ただし、LAG Regがアグレッシブなアクションを取らなかったゲームツリーのノードを攻めることも、少なくとも同じくらい重要です。
Cベット戦略の全体像
以下の図では、100bbのBTN vs BBのSRPで、GTO相手とLAG相手の最適なCベット戦略を比較しています。BBがチェックした後に、BTNが各ベットサイズをどれくらいの頻度で選ぶかを示しています。
LAGのBBに対して、BTNはなぜベット頻度を上げるのでしょうか。
LAGにはフロップでチェックレイズする追加のインセンティブがあるため、BTNはCベットしにくくなります。しかし、LAGにはフロップでベットする追加のインセンティブもあります。強いハンドをベットに回す分、チェックした後に強いハンドを持っている可能性はGTOより低くなります。そのため、レイズされるリスクがあっても、チェックしたLAGへのベットはより安全で、有効になります。相手のレイズがナッツである可能性が低ければ、こちらもディフェンスしやすくなります。
ドンクベット
LAGとGTOの最大の違いは、Cベットへの対応ではなく、プリフロップアグレッサーにチェックを回さずにフロップで先にドンクベットする頻度にあります。
ベット頻度に大きな違いが見られます。GTOはBBに最も有利なボードを除き、フロップでほとんどドンクベットしません。LAGもコネクト度の高いフロップでば多くドンクベットしますが、より多くのボードテクスチャーでベットし、全体ではレンジの25%を超える頻度でベットします。
上のCベットのグラフでは、LAG相手のBTNのCベット戦略は、GTO相手ほどボードテクスチャーの影響を受けていません。LAGに対しては、コネクト度の高いボード、コネクトしていないボード、OESDがあり得るボードで、BTNはほぼ同じ頻度でベットします。一方、GTO相手ではコネクトしていないボードをより優先してベットします。LAGはさまざまなボードテクスチャーでドンクベットしますが、コネクト度の高いボードでは特に多くドンクベットするためです。
BBのレンジ内で特に強いハンドは、チームのスター選手にたとえられます。スター選手はさまざまな役割をこなせますが、人数には限りがあります。LAGは「スター選手」であるナッツ級のハンドをオフェンスに多く投入し、それを支えに他のさまざまなハンドでもフロップでベットします。その代わり、チェックレンジに残るナッツ級のハンドが少なくなり、LAGがチェックした後はBTNのベット頻度が高くなります。
LAGはスター選手をオフェンスに多く投入するため、ディフェンスに回せる選手が少なくなります
理論上は、GTOのようにナッツ級のハンドをベットレンジとチェックレンジにバランスよく振り分ける方が優れています。ただし、その差は大きくありません。BTNがどちらの戦略にも最適に対応した場合、LAGはアグレッシブなドンクベットと、その後のルースすぎる・アグレッシブすぎるプレイによって、ポットの約1%のEVを失います。しかし、BTNがどちらの戦略にも最適に対応できるとは限りません。ドンクベットへの対応に慣れておらず、うまく対応できないなら、LAGの方がGTOより高いEVを得る可能性さえあります。次は、ドンクベットへの対応を見ていきます。
ドンクベットへの対応
まず、全体の戦略を比較します。
BTNはLAGのドンクベットに対して、GTO相手よりフォールド頻度を下げますが、レイズ頻度も下げます。LAGのドンクベットレンジには強いハンドが多く含まれるため、レイズにはリスクがあります。しかし、弱いハンドも多く含まれているため、フォールドにもリスクがあります。
フロップの例
この違いが実戦でどう現れるのか、BBの戦略でドンクベットが重要になるフロップを使って詳しく見ていきます。
7♥6♦5♥は、GTOでドンクベット頻度が最も高いフロップの1つです。GTOはレンジの16%で25%ポットをベットしますが、LAGはレンジの66%までベット頻度を上げます。
BTNはLAG相手に、GTO相手よりかなりパッシブな戦略を取ります。フォールド頻度を下げる一方で、レイズ頻度も下げ、レイズサイズも小さくします。
この対応には、LAGのアグレッシブなアクションへの警戒もあります。BTNには、フロップで3ベットされるとプレイしにくくなるハンドが多いためです。ただし、それだけでなく、LAGのベットレンジの構成も影響しています。GTOと比べて、LAGのベットレンジはトラッシュの割合が高く、特に強いハンドの割合が低いため、BTNはフォールドしにくくなります。
まとめ
特定のアクション頻度がGTOから大幅に外れていても、大きなエクスプロイトにつながるとは限りません。とくに前のストリートでは、複数の選択肢のEVが近いことがよくあります。レンジ内のハンドタイプのバランスを維持できていれば、たとえば、多くのハンドをチェックレンジからベットレンジへ移しても、GTO戦略と比べて失うEVは僅かです。こちらがそのアグレッシブなベット戦略に正しく対応できなければ、相手はかえってEVを得ることさえあります。
こうした特徴が、LAGを怖く感じる理由の一つです。LAGは、こちらをあまり知らないラインへ多く突入します。そこで正しく対応できなければ、GTOから外れた相手のプレイによって、こちらがEVを失う可能性さえあります。
Maniacを相手にしたとき以上に、LAGに対しては「攻めには攻めで対抗する」ことが勝つための鍵とは限りません。重要なのは、相手がアグレッシブに動かなかった場面を攻めることです。ある程度バランスを保ちながらフロップでアグレッシブにドンクベットする相手は、チェック後のレンジが弱くなります。フロップでアグレッシブにレイズする相手は、コール後のレンジがさらに弱くなります。
相手のアグレッシブなアクションには粘り強く対応し、相手がパッシブにプレイしたときはアグレッシブに攻めましょう。











