ポーカーのレンジをチームとして考える
「先の展開を考えよう」「いつもプランを持っておこう」。ポーカーではよく聞くアドバイスですが、実際にやるとなると簡単ではありません。1755種類のフロップと、その先にある2162通りのターン・リバーの組み合わせ。これだけ多くの展開を想定して、どうプランを立てればよいのでしょうか。
私はスポーツがそれほど好きなわけではありませんが、ポーカーの戦略全般、特に先のプランを考えるうえで、スポーツチームのたとえがとても役立つと感じています。ここでは、私が最もよく知っているサッカーを例にします。どれほど才能のある選手でも、シュートを打ち、パスを受ける位置へ動き、パスを奪われたときに備えて後方に残り、ゴールを守ることを、同時にこなすことはできません。
各選手は、自分の長所と短所に応じてチーム内の役割を担い、その役割に合わせてポジションを取り、プレイします。たとえ相手のゴールが無人でも、ゴールキーパーは通常、自陣に残ってゴールを守ります。守備と同じくらい重要な得点の役割は、チームメイトを信頼して任せます。
ポーカーの戦略では、レンジがチームであり、いま手にしている2枚のカードは、そのチームの1人の選手です。プランを立てるとは、まず現在の状況で必要な役割を見極め、次に自分のハンドに最も適した役割を決めることです。
この記事では、このたとえを使って、よりバランスの取れたレンジを組み、先のプランを立てる方法を見ていきます。まずは、レンジ内のハンドにチームの役割やポジションを割り当てるとは、どういうことなのかを整理しましょう。
ポーカーのフィールドで担う役割
このたとえで理解したいのは、次の点です。
どの判断場面でも、実際に持っているのは2枚のカードだけです。しかし、その2枚は、レンジという大きな全体の中での位置づけを踏まえてプレイします。
相手にはこちらのカードが見えません。取ったアクションから、どのようなハンドを持っていそうか推測できるだけです。レンジ全体でどのようなアクションを取りたいかを理解すれば、いま持っている2枚に最も適したアクションを見つけやすくなります。 そのアクションによって、目の前の目的を達成しつつ、その目的を相手に完全には見せずに済みます。
サッカーでは、守備に選手を割きすぎると得点しにくくなります。右サイドに選手を集めすぎれば、左サイドから攻められます。
ポーカーでは、弱いハンドをすべてベットレンジに入れると、相手は広くディフェンスすることでエクスプロイトできます。強いハンドをすべてベットレンジに入れると、今度はチェックに対して攻めることでエクスプロイトできます。
ここからは、さまざまな判断場面で必要になる役割を具体的に説明します。馴染みのあるものもありますが、その役割を簡潔に表す既存のポーカー用語が見当たらなかったため、私が独自に名付けたものもあります。
毎回、すべての役割が必要になるわけではありません。主に、ポジションと、相手にベットされているかどうかによって変わります。
よく必要になるのは、次の役割です。
- ブラフ
ブラフは、こちらの強いハンドに対してコールしたくないという相手の心理を利用する、弱いハンドでのベットやレイズです。これはすでにご存じでしょうが、この後には、それほど馴染みのない役割も出てきます。多くのハンドにとって、ポットを取れると良いですが、どのハンドも同じようにブラフに適しているわけではありません。基本的には、レンジの最も弱いハンドからブラフを選びます。弱いハンドでもこなせる役割に、ほかの役割を担えるほど強いハンドを無駄遣いしないためです。通常は、弱いハンドだけでもすべてをブラフに回せないほど多くあります。わざわざ強いハンドからブラフ候補を探す必要はありません。何をブロックしているか、していないかと、後のストリートで、どのようにハンドが良くなり得るかをもとに、多くの弱いハンドの中から最適な候補を選びます。 - ブラフキャッチされるのを避けるハンド(Bluff-Catch Dodgers)
ブラフせずにチェックする弱いハンドです。「ギブアップ」と呼ばれることもありますが、私はその言葉に含まれる否定的な響きが好きではありません。むしろ、ブラフをしないことの戦略的な価値を強調したいと考えています。あえてブラフを控える方が、得になることもあります。先ほど説明したように、通常は弱いハンドが多すぎて、すべてをブラフに回すことはできません。ブラフすべきでない場面を正しく見極めることは、適切なタイミングでポットの3倍をオールインすることと同じくらい重要です。 - ブラフキャッチャー
通常はベットにコールする、中程度の強さのハンドです。勝つ可能性の方が高いからコールするのではなく、ブラフには勝てて、コールに見合うポットオッズがあるためです。ブラフ候補になる弱いハンドを持つのとほぼ同じくらいの頻度で、ブラフには勝てるハンドも持つことになります。ただし、少なくとも理論上は、すべてをブラフキャッチに回してはいけません。また、弱いハンドでも担える役割に、より強いハンドを使うのも無駄です。ここでも、何をブロックしているか、していないかと、ハンドがどのように良くなり得るかをもとに選びます。 - 相手にバリューを取らせないハンド(Value Dodgers)
相手のバリューベットに支払わないよう、ブラフキャッチャーとは違ってフォールドする、中程度の強さのハンドです。フォールドも、ブラフ、ブラフキャッチ、バリューベットと同じくらい重要な役割です。私はフォールドを、ディフェンスに欠かせない要素と考えています。ブラフに対してはブラフキャッチで守り、バリューに対してはフォールドで守ります。もちろん、最も弱いハンドからフォールドするのが自然ですが、ブラフには勝てるハンドをフォールドしてでも、十分なフォールドレンジを確保することが重要です。そうしなければ、バリューに対して無防備になります。 - バリュー
チームのスター選手に当たる、ベットして、ぜひコールしてほしいと思えるほど強いハンドです。こうしたハンドはなかなか手に入らないため、持っているときは基本的にこの役割を任せます。ほかの大半の役割は、より弱いハンドでも担えます。バリューを取れるのは、特に強いハンドだけです。 - トラップ
ベットやレイズをせず、チェックやコールをする強いハンドです。ブラフキャッチャーと違い、バリューベットできるほど強いものの、後でより多くのバリューを取るために、あえてスロープレイします。サッカーのオーバーヘッドキックのように、こうした華やかなプレイは使いすぎない方がよいですが、条件がそろえば、より多くのチップを取れます。 - 相手のトラップを避けるハンド(Trap Dodgers)
比較的強いのにベットしないハンドです。薄すぎるバリューベットをすると、相手のスロープレイやブラフレイズを利益的にしてしまいます。良いハンドでも、ベットするには少し強さが足りず、相手に再びアクションの機会を与えるより、チェックした方がよい場合があります。
プランを立てるうえで本当に難しいのは、現在の判断場面だけでなく、先のストリートや判断場面でも、これらの役割を埋める必要があることです。どのカードが落ち、相手がどのアクションを取るかは分からないため、先の場面で自分のハンドにどの役割が最も合うかを、確実に知ることはできません。
しかし、ポーカーは確実なことだけを扱うゲームではありません。ほかの判断と同じように、最も起こりやすい展開に備えてプランを立て、予想外のことが起きたら見直します。
リバーの例
まずここでは、ソルバーがどうやってチームのメンバーを配置するかを見てみましょう。今回は、100bbキャッシュゲームのUTG vs BBのSRPを採用しています。リバーまで進み、ボードはA♦T♠5♠ 7♣ 2♥です。UTGはフロップで67%ポット、ターンで169%ポットをベットし、BBはどちらもチェックコールしました。 リバーでもBBがチェックし、UTGは168%ポットのオールインかチェックを選べます。
ソルバーは、どの役割を埋める必要があるでしょうか。
UTGはリバーで最後にアクションする側で、選択肢もチェックかオールインだけです。そのため、トラップ、ブラフキャッチ、バリュー回避を考える必要はありません。この場面には先のプランそのものが必要ないため、最初の例に選びました。考え方と使い方を理解してから、前のストリートへ戻り、プランにどう役立つかを見ていきます。
ターンでオーバーベットしたUTGは、強くポラライズしたレンジを持っています。必要になるのはバリューとブラフです。ただし、BBもターンのオーバーベットへのコールでかなりの強さを示しているため、ブラフキャッチされるのを避けるハンドと相手のトラップを避けるハンドも考えなければなりません。判断は大きく2つに分かれます。
- 強いハンドについては、どの程度の強さからバリューベットできるかを判断します。 その基準に届かないハンドは、相手のトラップを特に強くブロックしている場合を除き、相手のトラップを避ける役割に向いています。
- 弱いハンドについては、ブラフに向くものと、ブラフキャッチされるのを避ける役割に向くものを選びます。 必ずしもハンドの強さだけで決まるわけではありません。少し強いハンドでも、ブロッカーが優れていれば、ブラフにより適していることがあります。
ポラライズしたレンジには、そもそも中程度の強さのハンドがあまりありません。それでもUTGが持っている中程度のハンドは、ブラフキャッチされるのを避ける役割に、簡単に割り当てられます。弱いハンドにコールしてもらうには強さが足りず、かといって自分より強いハンドをフォールドさせるには強すぎます。そのため、チェックしてショーダウンバリューを確保します。通常、その価値はポットの半分を上回ります。
上位半分の配置:バリュー、トラップ、相手のトラップを避けるハンド
UTGの最も強いハンドも、役割は明確です。最後にアクションする場面でトラップを仕掛けても意味がないため、バリューを取るためのオールインしかありません。小さいサイズでベットするレンジもあるなら、最も強いハンドの大半をバリューのオールインに回しつつ、一部は小さいベットレンジにトラップとして残します。
ただし、エクイティが80–90%あっても、必ずしもバリューでオールインできるほど強いとは限りません。このグループの大半はAKで、A♠を含む場合はバリューを狙う役割にできますが、それ以外は相手のトラップを避ける役割に向いています。
下位半分の配置:ブラフ、ブラフキャッチされるのを避けるハンド
ブラフするかどうかは、「ショーダウンバリューがなければオールインし、あればチェックする」という単純な判断ではありません。実際、UTGのレンジのほぼすべてに、いくらかのショーダウンバリューがあります。しかも、この場面で最も弱いハンドは、ブラフ候補として適していません。最も弱いハンドは完成しなかったドローであり、BBのフォールドレンジにある、同じく完成しなかったドローをブロックしているためです。
UTGがブラフ候補に求めるのは、ショーダウンバリューが低く、BBのトラップをブロックするハンドです。BBのトラップはセットやツーペアです。これらを最もよくブロックできるのはAxですが、Axはオールインするにはショーダウンバリューが高すぎます。レンジの下位半分では、次の配置が最適です。
- UTGの最適なブラフ候補は、ショーダウンバリューが非常に低い65sや54sです。チェックで得られるのはポットの約5%ですが、A5sとT5sをブロックしています。
- 最適なブラフキャッチされるのを避けるハンドは、BBのフォールドレンジをブロックするJ♠9♠やQ♦J♥のような、完成しなかったドローです。
UTGがオールインより小さくベットするなら、先のプランも必要になります。レイズされたときの対応を考えなければなりません。相手のレイズがオールインなら、ブラフキャッチャーと相手にバリューを取らせないハンド/相手のトラップを避けるハンドを割り当てるだけで済みます。さらに3ベットできるなら、トラップと3ベットブラフも考える必要があります。
このたとえが先のプランにどう役立つかを見るために、UTGのターン戦略へ戻りましょう。
ターンの例
ボードはA♦T♠5♠ 7♣です。BBがチェックし、UTGはチェックするか169%ポットをベットするかを考えます。これは、先ほど見たように、リバーでもほぼ同じポット比率でオールインできるジオメトリックサイズです。ターンに到達したUTGのレンジは、先ほどのリバーレンジほど強くポラライズしていません。ただし、大半はエクイティが70%を超えるハンドか50%未満のハンドで、その中間はごく僅かです。リバーとの最も大きな違いは、UTGが、ナッツに近いハンドやほぼ価値のないハンドといった両極端ではないハンドを、より多くベットしていることです。実際、ブラフの大半は、エクイティ0–25%ではなく25–50%のグループから選ばれています。
このことから、チーム内でどのように役割を割り当てていると分かるでしょうか。
いま必要なのは、バリュー(ベットする強いハンド)、ブラフ(ベットする弱いハンド)、相手のトラップを避けるハンド(チェックする強いハンド)、ブラフキャッチされるのを避けるハンド(チェックする弱いハンド)です。これほど多様なハンドに役割を割り当てる理由は、先のプランにあります。
ターンのレンジを組む際、UTGは主に4つの展開に備える必要があります。
- ベットに対してBBがレイズする場合。 均衡では1.7%しか起こりませんが、その大きな理由は、UTGがレイズされても難しい判断を迫られないレンジを簡単に組めることにあります。中程度の強さのハンドをもっとベットすれば、BBがレイズするインセンティブも高まります。
- UTGがチェックすると、リバーでベットされることが多くなります。 その場合は、ブラフキャッチャー(コールするハンド)、相手にバリューを取らせないハンド(強いもののフォールドするハンド)、バリュー(レイズする強いハンド)、ブラフ(レイズする弱いハンド)が必要です。
- UTGがチェックし、BBもリバーでベットしない場合。 バランスの取れたベットレンジを組むため、バリューとブラフが必要です。相手のトラップを避けるハンドとブラフキャッチされるのを避けるハンドも一部必要になりますが、これらは事前に用意するというより、結果として必要になる役割です。
- UTGがベットし、BBがコールする場合。 BBはリバーでチェックする可能性が高く、UTGには再びバリューとブラフが必要になります。BBがリバーで頻繁にベットするインセンティブを持たない理由は、ターンで頻繁にレイズするインセンティブを持たない理由と同じです。
UTGには、見えていない46枚のうち、どのカードがリバーに落ちるか分かりません。このプランが難しいのは、どのリバーカードでも必要な役割を埋める必要があることです。そのため、ターンのレンジに多様なハンドを含めるようにします。
たとえば、多くのリバーカードでフラッシュやストレートが完成します。そうしたリバーでもバリューを持てるよう、UTGはベットレンジとチェックレンジの両方に、フラッシュドローとストレートドローを残したいと考えます。
ブランクのリバーにも、バリューとブラフが必要です。ターンでベットした後なら、セットやツーペアといった強いハンドをベットしているため、バリューは簡単に見つかります。完成しなかったドローがあるので、ブラフも簡単に見つかると思うかもしれません。しかし、先ほどのブランクのリバーでは、完成しなかったドローは最適なブラフ候補ではありませんでした。UTGがターンのベットレンジに54sや65sを含めるのは、これも理由の1つです。これらはブロッカーの点でも、ターンのブラフに適しています。
ターンでチェックした後なら、ブラフとブラフキャッチャーは簡単に見つかります。UTGには、弱いハンドや中程度のハンドを多くチェックする自然なインセンティブがあるからです。一方、チェックした後にブランクのリバーでバリューを確保するのは難しく、それが最も強いハンドの一部でチェックも混ぜる主な理由です。
先のプランを立てる
いま自分のハンドが担っている役割、つまり、なぜそのプレイを選ぶのかを理解できれば、先のプランを立てるための作業の大半は済んでいます。
ハンドが現在のストリートで担う役割は、次のストリートでの役割を予測する大きな手がかりになります。
ここから各ハンドのプランを考えながら、リバーがK♠だったらどうプレイするか、ときどき予想してもらいます。次に取り上げるカードなので、先のプランを立てるよい練習になります。
ブラフ
現在のストリートで弱いハンドは、次のストリートでも弱いままである可能性が高く、それが弱いハンドである理由でもあります。そのため、多くの場合は、ブラフを続けるか、ブラフキャッチされるのを避けるか、つまりチェックして諦めるかを選びます。これを踏まえれば、どのカードならブラフを続けやすく、どのカードなら控えるべきかを、あらかじめ考えられます。ここで考えるのは、一般的にブラフしやすいカードではなく、いま持っているハンドでブラフしやすいカードです。どのリバーカードでも、ブラフとブラフキャッチされるのを避けるハンドの両方が必要です。考えるべきなのは、ブラフレンジを持つかどうかではなく、この2枚がそのレンジに入るかどうかです。
ハンドが良くなったときに、どの役割を担うかも考える価値があります。後のストリートでバリューになれるハンドは、良くなってもブラフキャッチャーや相手のトラップを避けるハンドにしかなれないハンドより、早いストリートでのブラフに向く傾向があります。ここでの相手のトラップを避けるハンドは、ショーダウンでは高い頻度で勝てると見込んでチェックするハンドです。ただし、多くのハンドには複数のよくなる方法があります。ストレートやフラッシュが完成すればバリュー、ペアになればブラフキャッチャーや相手のトラップを避けるハンドになることも多くあります。
2♥のようなブランクのリバーでは、65sはブラフを続ける候補、J♠9♠はチェックしてブラフキャッチされるのを避ける候補に適していました。このリバーカードでは、ターンのブラフがバリューや相手のトラップを避けるハンドへ変わることはありません。
リバーがK♠だったら、ターンでブラフした各ハンドについて、どのようなプランを立てるのがよいのでしょうか。
ブラフキャッチャー
最適なブラフキャッチャーも、最適なブラフと同じく、ハンドが良くなってバリューになる可能性を持っています。ただし、多くの場合は、次のストリートで相手が再びベットしないことを期待しつつ、ベットされたらブラフキャッチするか、相手にバリューを取らせないハンドとしてフォールドするかを選びます。ブロッカーが特に優れていれば、ブラフに変えることもできます。どのカードが落ちたら、それぞれの役割に向くようになるかを考えれば、これらの対応を事前に計画できます。
UTGのベットレンジには、ブラフキャッチャーはいません。一方、チェックレンジにあるペアは、現在は相手のトラップを避けるハンドですが、リバーでベットされたら、どれもブラフキャッチャーになる可能性があります。
相手にバリューを取らせないハンド
ここは気楽に考えられます。相手にバリューを取らせないハンドはフォールドするので、次のストリートに向けて必要な準備は、深呼吸して、勝っていたかもしれないハンドをフォールドした悔しさを手放すことだけです。
UTGのターンのオーバーベットにBBがチェックレイズしたら、AKやAQは、一部の頻度で相手にバリューを取らせないハンドになり、一部の頻度でブラフキャッチャーになります。このベットレンジで、バリューを担うハンドの中では最も弱い部類に入るためです。
ブラフキャッチされるのを避けるハンド
チェックする弱いハンドなので、次のストリートでも弱いままである可能性が高いでしょう。しかもチェックしたことで、ベットした場合より、次のストリートでブラフに使う可能性はかなり低くなります。多くの場合はチェックやフォールドを選びますが、どのような状況ならブラフできるかは考えられます。
ハンドが良くなったら、どの役割を担うかも検討します。バリューになるのか、相手のベットにコールするブラフキャッチャーになるのか、相手のチェック後にチェックバックして、相手のトラップを避けるハンドになるのか。あるいは、良くなってもベットにはフォールドするほど弱く、相手にバリューを取らせないハンドになるかもしれません。
K♥9♥は、そのよい例です。ターンではチェックしてブラフキャッチされるのを避け、ハンドが良くなっても、リバーのベットにはフォールドすることが多くなります。BBが再びチェックした場合は、リバーカードによって、UTGがこのハンドをブラフに使うこともあります。
バリュー
ほかのハンドと同じように、バリューも通常は次のストリートでバリューのままです。大きな例外は、新しいカードによって、さらに強いハンドが数多く完成し得る場合です。それまでとても強かったハンドが、ブラフキャッチャーや相手のトラップを避けるハンドになり、極端な場合はブラフや相手にバリューを取らせないハンドになることもあります。
2♥のようなブランクでは、UTGがターンでバリューにしていたハンドの大半は、引き続きバリューを取るためにベットします。ただし、AKやAQの大半は相手のトラップを避けるために、チェックバックします。これらが、ターンでBBにレイズされたら、相手にバリューを取らせないようフォールドするハンドと同じなのは、偶然ではありません。
バリューレンジの下位にあるのは、次の判断場面で最も役割が変わりやすいハンドです。
UTGがターンでオーバーベットし、リバーにK♠が落ちたら、どのハンドがバリューレンジの下限になると思いますか。どのハンドが相手にバリューを取らせないハンドになり、チェックバックするでしょうか。
トラップ
トラップは、「現在のストリートでのプレイを、次のストリートでも続ける可能性が高い」という指針の例外です。相手が誘いに乗ってベットしたら、そのままトラップを続けるか、バリューレイズに切り替えるかを決めます。相手がベットしなければ、自分からバリューを取るためにベットすることを、有力な選択肢として考えます。
バリューと同じく、トラップがブラフキャッチャーや相手のトラップを避けるハンド、さらにはブラフや相手にバリューを取らせないハンドになる可能性もありますが、それはまれです。トラップは、実際より弱いハンドに見せるためのプレイです。そのため、理想的とはいえないボードになっても、通常はポットへチップを入れる価値があります。 リバーで最後にアクションするUTGにはトラップが必要ないので、ターンでチェックした強いハンドにも、新しい役割を割り当てなければなりません。
AAやA♠7♠は、BBのコールレンジをブロックし、比較的まくられにくいため、トラップに適しています。
相手のトラップを避けるハンド
相手のトラップを避けるハンドは、実はトラップと多くの共通点があります。そのストリートでバリューベットできる、あるいはもう少しでできるほどのハンドをチェックしたら、次のストリートではバリューを取るプレイを有力な選択肢として考えます。相手がアグレッシブなアクションを取らず、ボードも変わらない場合は特にそうです。ブランクが落ちたとき、チェックレンジにバリューを残す方法は、スロープレイだけではありません。
2♥のようなブランクのリバーでは、UTGがターンでチェックしたAxの大半は、BBがチェックすればバリューになり、ベットすればブラフキャッチャーになります。ただし、極端に大きいオーバーベットは別です。ソルバーの戦略には、実際にポットの9倍をオールインするものも一部含まれています。
ボードが変わったとき
リバーカードによってボードの性質が大きく変わるほど、そのハンドのプランも変更が必要になりやすくなります。
このボードで最も大きな変化をもたらすリバーカードは、K♠かもしれません。何が変わるのかを考えてみましょう。
最も分かりやすい変化は、フラッシュが完成し得ることです。それまでブラフだった多くのハンドや、ブラフキャッチャーだった一部のハンドが、バリューに変わります。これはどちらのプレイヤーにも当てはまり、BBがチェックする場合はトラップになることもあります。UTGは、オールインだけでなく、小さいサイズのベットも使います。
K♠によって、ほかにも多くのハンドが良くなります。
- QJは、ブラフ/ブラフキャッチされるのを避けるハンドから、バリュー/トラップへ変わります。
- 一部のKQやKJは、ブラフ/ブラフキャッチされるのを避けるハンドから、ブラフキャッチャー/相手のトラップを避けるハンドへ変わります。
サッカーチームの監督になったつもりで考えてみてください。守備をしていた選手を何人か前に出し、攻撃のポジションへ移したとします。それだけで配置を終えると、攻撃に偏りすぎて、自分たちのゴールが無防備になります。ポーカーで、大胆で直感に反するエクスプロイトを試すことがあるように、まれな特定の条件では、それも有効な作戦かもしれません。しかし通常は、攻撃にいた選手の一部を自陣へ戻して、バランスを取り直したいはずです。ポーカーテーブルでも、基本的には同じように考えます。
2♥のリバーではUTGのレンジの上位にあり、バリューを担っていたセットやツーペアの大半は、K♠のリバーでは別の役割に回ります。依然として強いハンドですが、その役割に最も適した選手ではなくなっています。ストレートやフラッシュにバリューを任せ、自分たちは主に相手のトラップを避けるハンドとしてプレイします。最も分かりやすい例がAKです。OOPのトラップをブロックしているかどうかで、バリューを取るか、相手のトラップを避けるかを選びます。
これほど多くの弱いハンドが強くなると、UTGはブラフの役割を埋めるために工夫が必要です。ブランクのリバーでも、最も弱いペアの一部をブラフに回していました。K♠のリバーでは、KQほど強いペアでも、ブラフすることがあります。
ドンクベット
BBのレンジでも、多くのハンドが強くなるため、役割を調整する必要があります。ターンのベットにコールする時点では、ブラフの役割は必要ありませんでした。最も弱いハンドはブラフキャッチャーや相手にバリューを取らせないハンドで、その一部がリバーで良くなり、バリューやトラップに変わります。
BBはターンのベットにコールするとき、バリューの役割も必要としていませんでした。トラップは少しありましたが、ブランクのリバーでドンクオールインしたくなるほど多くはありません。実際、2♥ではブロックベットを一部使っていましたが、オールインはありませんでした。
ところが、このリバーでは突然、ナッツ級のハンドをかなり多く持つことになります。一方、UTGは多くのハンドを、相手のトラップを避けるためにチェックバックすると考えられます。UTGのレンジにあるセットやツーペアを、追加の支払いなしでショーダウンさせたくないことが、BBがリバーで先にオールインするインセンティブになります。
BBには、分かりやすいブラフ候補がUTGよりさらに少なくなっています。 ターンのオーバーベットにOOPからコールするには、かなり強いハンドが必要だったため、ノーペアや弱いペアがないからです。そこで、チェックした後にオールインされたら相手にバリューを取らせないようフォールドするハンドを、ブラフに回します。この場面では、主にスペードを含むAQ、AJ、ATです。AKですらオールインに100%コールするわけではありませんが、KがUTGのフォールドをブロックするため、ブラフ候補としてはやや劣ります。
さらにさかのぼり、ビッグバンフロップよりも前へ
新しいカードが1枚落ちたときに、ハンドの役割がどう変わるかを計画するだけでも大変です。3枚が一度に落ちるとなれば、ほとんど不可能に思えます。それでも、この考え方を大まかな形でプリフロップの判断に使うことはできます。
ハンドが今後どのような役割を担えるかを考えると、そもそもそのハンドでポットを争うべきか、争うならレイズとコールのどちらが目的に合うかを判断しやすくなります。
AA
プランが比較的明確なハンドもあります。AAは通常、フロップ以降もバリューを担います。ただし、スタックがディープな場合は、AAでも難しくなることがあります。そのため、ほぼ常にレイズしたいハンドです。ポストフロップで大きくバリューベットできるようにすることと、迷わずバリューを取れる程度までスタックをショートにすることが、その理由です。ソルバーがAAのスロープレイを推奨するのは、レイズしなくてもポストフロップのSPRがかなり低くなる場合だけです。
ローポケットペア
ローポケットペアは、フロップでセットになればバリュー、ならなければ相手にバリューを取らせないハンドとしてフォールドすることが多いハンドです。セットになることは少ないため、レイズされた場合は、通常コールが最も適しています。こうすることで、セットにならず負けることの多い場面では損失を小さく抑え、まれにセットになったときには効果的に使えるチップを十分に残せます。
スーテッドコネクター
スーテッドコネクターは、バリューになることが少なく、ブラフキャッチャーにすらなかなかなれません。しかし、フロップでドローになりやすいため、ブラフに適していることがあります。これがプリフロップでアグレッシブにプレイする理由にもなります。強いハンドを持っているように見せておけば、ドローになったときに、その後もバレルしやすくなるためです。
参加レンジの中で、最上位に次ぐ強いハンド
AK、AQ、JJなど、多くの人が「嫌い」と言うハンドには、それほど明確なプランがありません。私は、この不確実さが「嫌い」という感情につながるのだと思います。フロップ以降、どの役割を割り当てるべきか分かりにくいため、ミスをしやすく、正しい選択をしても悪い結果になることがあります。
AKはペアになれば、通常はバリューです。これがAKの大きなメリットです。しかし、ペアにならなくても、相手にバリューを取らせないハンドとしてチェックフォールドすることはまれです。状況によっては、ブラフキャッチャーやブラフに回す方がよい場合があります。AKには常にトップペアになるアウツがあり、先ほど見たように、ハンドが良くなる可能性は、これらの役割に適した特徴だからです。とてもドライなボードなら、ペアになっていないAKでもバリューになることがあります。
JJは、フロップでオーバーペアになれば、通常はバリューです。ただし、その頻度はAKがフロップでペアになる頻度を僅かに上回る程度です。それでも、相手にバリューを取らせないハンドになることはまれです。早いストリートであまりアクションがなければ、ボードにオーバーカードがあっても、バリューの役割に回ることがあります。
こうしたハンドを完璧にプレイするのは難しいことが多いですが、役割を軸に考え、どのようなフロップがどの役割に向いているかを整理すると、負担を減らせます。また、これらのハンドのEVの多くは、役割が明確なボードから得られていると理解することも役立ちます。役割が明確でないボードで、どの選択肢も良くないように感じるのは、ある程度避けられないことです。
まとめ
どの種類のハンドにも、明らかに正しい役割が1つだけあるケースは少ないことに気づいたかもしれません。
- 最も弱いハンドでは、ブラフするか、ブラフキャッチされるのを避けるかを選びます。
- その次に弱いハンドでは、ブラフキャッチするか、相手にバリューを取らせないようフォールドするかを選びます。
- やや強いハンドでは、バリューを取るか、相手のトラップを避けるかを選びます。
- 最も強いハンドは、バリューかトラップを選びます。
だからこそ、「チーム」全体で考えることが欠かせません。チームには、これらすべての役割が必要です。自分のハンドが一方の役割により適していることはありますが、その役割を担えるほかの候補と比べて、初めて判断できます。
たとえばブラフするかを決めるときは、まず、その判断場面でレンジ全体としてどれくらいブラフしたいかを考えます。そのうえで、自分が持ち得るほかの弱いハンドと比べ、いま持っているハンドがブラフに向いているかを判断します。
この考え方は、先の判断場面に備える際にも役立ちます。後のストリートで起こりやすいアクションを予想し、新しいカードをブランク、フラッシュが完成するカードなど、いくつかの大きなグループに分けます。先の判断場面で必要になる役割が分かれば、そこへどのハンドを持ち込みたいかが分かります。それによって、現在の判断場面でそのハンドをどうプレイするかも決まります。








