プロファイル別エクスプロイト 第2回|ニット
(X=チェック、C=コール、B=ベット、R=レイズ)
ニットをエクスプロイトするうえでは、基本的な考え方だけでも十分に役立ちます。ニットの根本的な問題は、タイトすぎるうえにパッシブすぎることです。そのため、タイトな相手にはよりアグレッシブにベットし、パッシブな相手にはアグレッシブなアクションをされたときに多くフォールドするのが基本です。
ソルバーで分析したところでこの考えが変わるわけではありませんが、戦略をより細かく調整できます。どの程度アグレッシブにすべきかは状況によって異なり、最適なエクスプロイトがむしろパッシブにプレイすることになるケースさえあります。
検証
100bbのキャッシュゲーム、BTN vs BBのSRPで、BBがニットの場合とGTOでプレイする場合のBTNの戦略を比較します。両者に対する全フロップのCベット戦略をレポートで比べた後、後のノードで戦略にどのような違いが出るかも簡単に確認します。
このスポットは発生頻度が特に高く、ニット相手の多くのポットでは自分がプリフロップアグレッサーになるため、他の場面にも応用しやすい題材です。ニットがアグレッシブに出る頻度は低く、そうしたアクションをされたときには自分がプリフロップで普段より多くフォールドすべきだからです。
今回の検証では、BBのBTNに対するコールレンジを、ニットとGTOで同じ設定にします。これにより、ニットのタイトさとパッシブさだけでポストフロップ戦略がどう変わるのかを、同じ条件で比較できます。実際のニットにも、この仮定が当てはまるケースはあります。プリフロップのソルバー戦略を手軽に使えるようになった現在では、プリフロップはまともにプレイできても、ポストフロップになると以前からのミスを繰り返す相手も珍しくありません。さらに、ポットが大きくなるほどニットの傾向が強まるプレイヤーもいます。1〜2BBなら気軽にポットへ入れますが、リスクが大きくなるにつれて消極的になります。
ただし、すべてのニットがこのタイプとは限りません。BBでオーバーフォールドするだけでなく、BTNのオープンに対するバリュー3ベットもソルバーほど広くない相手は、強すぎるレンジでフロップへ進みます。オーバーフォールドする相手であっても、この場合はアグレッシブさを抑える方が有効です。
Cベット
次の画像は、BBがGTOの場合とニットの場合のBTNのCベット戦略です。どのような違いがあるでしょうか。
最大の違いは、ニットに対してBTNのCベット頻度が上がることです。ニットはフォールドしすぎるだけでなく、レイズの頻度も足りません。チェックレイズはCベットに対抗するうえで欠かせないアクションです。BBのレイズが不足しているなら、通常はCベットに不向きなフロップも含め、はるかに多くCベットできます。
追加されたCベットはすべて25%ポットで、GTOのBBには大きくベットしていた一部のハンドも、ニットには25%ポットを使います。これは、プレイヤープロファイルの仕組みによる部分もあります。ニットのミスはベットサイズに比例して大きくなる設定ではないため、小さいベットでプロファイルをエクスプロイトするのが基本的には最も効率的です。
一方で、実戦にも当てはまるゲーム理論上の理由もあります。BBの最適な対応では、大きいCベットより小さいCベットに対してレイズが重要になります。したがって、どのベットサイズにもしっかりとレイズしないプレイヤーは、もともとレイズ頻度が低くなる大きいベットより、小さいベットに対して大きなミスを犯しています。
この仮説では、先のストリートを見据えたエクスプロイトはしていません。フロップの計算では、BBが後のストリートでもベットにオーバーフォールドすることを考慮しません。弱いハンドをフロップでブラフする価値は計算されますが、フロップをチェックして後のストリートでブラフする価値は反映されません。その一方で、バレルを続けることで得られる追加の価値も考慮されないため、フロップでベットする価値もやや低く見積もられています。
Cベットに最も不向きなフロップ
ニットに対して増えたCベットは、すべてのフロップに均等に分布しているわけではありません。
全体の傾向として、もともとCベットに適したフロップほど、ニット相手にはベットのメリットがさらに大きくなります。ペアボードを除外すると、この傾向がより分かりやすくなります。ただし、上のグラフからは読み取りにくい例外もあります。GTOの相手よりニットに対する方が、BTNのCベット頻度が下がるフロップも存在します。なぜでしょうか。
ここまでは、ニットがフォールドしすぎ、レイズしなさすぎる点を見てきました。ニットには、まだ触れていないもう1つのミスがあります。パッシブにプレイするインセンティブが高いため、GTOのBBなら打つ利益的なドンクベットを逃してしまうことです。均衡でもBBがフロップでドンクベットする頻度は高くないため、通常は大きな問題になりませんが、影響の大きいフロップもあります。
たとえば543rでは、GTOのBBはレンジの37%をドンクベットします。そのドンクベットレンジには強いハンドが偏って多く含まれるため、BBがチェックした後のBTNはレンジの45%をベットできます。BBにフロップを必ずチェックさせ、その後は最適にプレイさせると、BTNのベット頻度は20%まで急落します。これは、ベットする選択肢を与えてもレンジ全体をチェックするニットに対する頻度よりも低い数字です。
チェックレイズへの対応
ニットは普段パッシブだからこそ、アグレッシブに出てきたときは軽視できません。このタイプの相手に対する重要なエクスプロイトの1つは、単純にレイズされたらフォールドすることです。大胆なブラフやヒーローコールほど気持ちの良いプレイではないかもしれませんが、長期的には同じかそれ以上の利益を得られます。
この考え方は、アグレッシブなレンジである程度バランスを取るニットプロファイルより、実際のニットに対してさらに強く当てはまります。特にタイトな相手のレイズレンジはあまりにも強くなります。レイズされたときに無理にコールし、相手の強いハンドにペイオフしないようにしましょう。
ターンでのバレル
ニットにフロップでCベットした後、ターンでもバレルを続けるべきかは難しい問題です。フロップと同じく、ニットはフォールドしすぎ、レイズしなさすぎるため、バレルの魅力は高まります。最も弱いブラフは相手のフォールドが増えることで利益を得られ、セミブラフとシンバリューはレイズされにくい分だけ打ちやすくなります。
一方、フロップでオーバーフォールドしたニットは、強すぎるレンジでターンへ進みます。そのため、バレルの魅力は下がります。ブラフで降ろしたいハンドや、シンバリューを取りたいハンドの一部は、すでにフロップでフォールドしています。
この問題に単純な答えはありませんが、新しいカードが明らかに自分のレンジに有利でない限り、バレル頻度を下げるのが良い指針です。たとえば、Q♦T♥5♦で25%ポットのCベットをした後、どちらにも大きく影響しない7♣と、フラッシュを完成させる7♦がターンに落ちた場合のBTNのバレル戦略を見てみましょう。
ターン:7♦
ターン:7♣
どちらの場合も、BTNのバレル頻度はGTOよりニットに対する方が低くなります。 ターンへ進んだニットのレンジには大きなエクイティアドバンテージがあり、どちらのターンカードが落ちてもこの差は縮まらないためです。
しかし、8♦2♠2♥K♠のボードでは、ニットがフロップでオーバーフォールドした影響がターンに表れます。ニットのレンジにはGTOのレンジよりもKxが少ないため、バレルに対して弱くなります。
まとめ
ニットへの基本的な対応は、エクスプロイト目的でブラフするとき全般に役立つ考え方でもあります。目標は、相手がオーバーフォールドするところまで攻め、その後はブレーキをかけることです。相手がプリフロップでオーバーフォールドするなら、ブラインドをアグレッシブに狙えます。ただし、GTOより強いハンド分布でフロップへ進むため、ポストフロップでは慎重にプレイしなければなりません。相手がフロップでオーバーフォールドするなら、Cベットはアグレッシブに打てますが、ターンではペースを落とす必要があります。
セミブラフは引き続き利益的です。 ニットはタイトなフォールドをするうえ、レイズされてエクイティを捨てさせられる心配もそれほどありません。一方、もともと強すぎるレンジを持ち、コールしてほしいハンドまでフォールドする可能性があるため、ニットからシンバリューを取るのは難しくなります。
あるストリートがブラフに非常に向いているなら、その次のストリートは通常、非常に不向きです。
ニットのプレイヤープロファイルは、すべてのスポットで一律にオーバーフォールドする設定です。それでも、ニットにコールされた後は、アグレッサーの戦略が全体的にタイトになります。人間を相手にする場合は、さらに大きな調整が必要になることもあります。あるストリートがブラフに非常に向いているなら、次のストリートは通常、非常に不向きになると考えてください。ただし、前のストリートで実際にブラフし、コールされた場合に限ります。
ライブポーカーでよく見かけるタイプの1つを、私は「スプラッシー(Splashy)」と呼んでいます。このタイプは、ベットサイズが小さい序盤のストリートではルースすぎるプレイをします。フロップやターンを見て、役を完成させようとするのが好きだからです。ところが、ベットサイズが大きくなると一転してタイトになり、オーバーフォールドします。
このタイプには、プリフロップでアグレッシブにレイズしてアイソレートし、小さくCベットする戦略が効果的です。フロップでレイズされなければ相手のレンジはキャップされるため、ターンで大きくベットしてフォールドさせます。うまくいけば効果的ですが、ターンでもフォールドされなかった場合は注意してください。多くの場合、相手は強いハンドを持ち、リバーの大きなベットにもコールする準備ができています。 自分にも十分強いハンドがない限り、そのベットは打たないようにしましょう。















