ターンのドンクベットへの対応
はじめに
ターンのドンクベットに正しく対応するのは難しいですが、避けて通ることもできません。相手にとって対応が難しいからこそ、自分でもこのドンクベットを使えるようになるメリットがあります。ドンクベットへの対応では、自分のレンジ全体を意識しながら、直感に反するコールやレイズを粘り強く選べるかどうかが重要になります。
敵を知る
ドンクベットに正しく対応するには、まずドンクベットがどのような戦略なのかを理解しなければならず、特に、適切に構築されたドンクベット戦略には、押さえておきたい3つの特徴があります。
- 1つ目は、ドンクベットには20%ポット前後の小さなサイズがよく使われることです。20%ポットのベットにコールするために必要なエクイティは約14%しかありません。そのため、レンジの大部分を簡単にフォールドすることはできず、比較的弱いハンドでもコールする必要があります。ただし、「14%のエクイティを持つハンド」が実際にどのようなレンジであるかは、直感だけでは判断しにくく、座学による適切な数字の把握や反復練習が欠かせません。
- 2つ目は、適切なドンクベットレンジには、さまざまな種類のハンドが含まれていることです。レイズされても問題がなく、むしろ嬉しいといえるモンスターハンドやエクイティの低いブラフがある一方で、レイズされると苦しくなるセミブラフやミドルクラスのペアも含まれています。したがって、ドンクベットへの対応では、コールだけでなくレイズも重要になります。
- 3つ目は、ドンクベットの多くが、相手のレンジにモンスターハンドが含まれるスポットで使われることです。相手がトリップスやフラッシュなどを持ち得ると考えると、レイズするのが怖く感じられるかもしれません。しかし、相手は同時に弱いハンドやミドルクラスのハンドでもドンクベットするインセンティブを持っています。
ペアになったターンでのドンクベットへの対応
例として、40bbのUTG対BBのシングルレイズポットを考えます。フロップはJ♠5♣3♦。BBがチェックし、UTGが33%ポットのCBを打ち、BBがコールしました。ターンは3♥となり、ここでBBが20%ポットのドンクベットを打ちます。
下記のUTGの対応から、どのような傾向を読み取れるでしょうか?
- UTGのバリューレイズの下限は、おおよそKJです。QJは主にコールし、KJ以上になるとレイズが増えます。BBが3xを持っている可能性はありますが、KJはターンのレイズにコールされた後も、ほとんどのリバーでバリューオールインを打てるだけの強さがあります。J9やJTも一定頻度でターンでレイズします。ただし、これらはバリューレイズというより、オーバーカードからエクイティを奪う意味合いの強いプレイです。レイズした後、ブランクのリバーでは基本的にチェックバックします。
- UTGはAハイをほとんどフォールドせず、Kハイでさえ多くのコンボをディフェンスします。Kハイは改善しなくても、リバーでブラフに回せます。BBがチェックしたらベットし、再び小さなドンクベットを打ってきた場合にはレイズすることもあります。一方、Aハイには一定のショーダウンバリューがあります。リバーをチェックバックしたり、BBのブロックベットにコールしたりできます。AハイやKハイのようなペアのないハンドは、ターンでのブラフレイズ候補としても重要です。
- ペアになっていないハンドでは、カードのランクにも注目する必要があります。例えば、KTはA6よりも優れたコールになります。BBはミドルクラスのポケットペアでもドンクベットすることがあり、それらに対してTはアウツになる可能性がありますが、6はほとんど可能性がないからです。
- UTGはフルハウスをスロープレイする一方、唯一のトリップスであるA3はピュアにレイズします。相手が下のトリップスを持っている場合は、こちらがコールしてもレイズしても、最終的に大きなポットになる可能性が高いでしょう。A3で今すぐレイズする主な理由は、怖いリバーが落ちてアクションが止まる前に、Jxや5xから追加のバリューを取ることです。ただし、こちらのハンドがJxや5xを強くブロックしている場合は、相手のディフェンスするレンジが減るため、スロープレイに傾くようになります。
もしターンが3♠となり、フラッシュドローが生まれたとしても、UTGの戦略はほとんど変わりません。フラッシュドローは当然フォールドせず、多くのコンボでコールとレイズを混合します。オフスートのハンドをブラフレイズに回す場合は、強い♠を持つコンボがやや優先されます。リバーに♠が落ちたとき、そのカードをブロッカーとして利用してブラフを続けられるからです。
フラッシュ完成のターンでのドンクベットへの対応
次は、ターンでフラッシュが完成するケースを見てみましょう。同じく40bbのUTG対BBのSRPです。フロップはK♠Q♥5♥。BBがチェックし、UTGが33%ポットのCBを打ち、BBがコールしました。ターンは8♥で、BBが20%ポットのドンクベットを打ってきました。
下記のUTGの対応から、どのような傾向を読み取れるでしょうか?
- このボードで、UTGのバリューレイズの下限となるのはトップツーペアのKQです。KQはコールとレイズを混合します。特にK♥を含む場合は、相手のフラッシュを一部ブロックできるため、レイズ頻度が高くなります。一方、K8はツーペアであっても絶対にレイズしません。AKやAAはA♥を持っていればレイズ候補になります。ただし、ターンでレイズした後、ハンドが改善していないブランクのリバーではオールインはしません。セットは高頻度でレイズします。特にKxやQxをブロックしていないコンボは、相手のトップペアやセカンドペアからバリューを取りやすいため、積極的にレイズします。
- J♠5♣3♦3♥のケースと比べると、このボードではMDFを満たすハンドを見つけやすくなっています。UTGのオープンレンジが、KやQといったブロードウェイカードと自然にかみ合っているからです。KxやQxは迷わずコールできます。AT、AJ、JTはストレートドローがあるため、コールとレイズの両方が選択肢になります。一方、下側のガットショットであるJ9やT9はピュアフォールドです。5より下のポケットペアは、♥を含んでいれば非常に良いブラフレイズの候補になります。ショーダウンバリューが低い一方で、相手のフラッシュをブロックできるからです。♥を持っていない場合は、レイズとフォールドを混合し、基本的にコールはしません。ここで面白いのは、77や66はBBがブラフに使っているハンドをブロックしているため、JJやTTよりも良いコールになります。JJやTTは♥を持っている場合に限って主にコールしますが、77や66は♥がなくても一定頻度でコールできます。
- この場面で特に優れたブラフレイズ候補になるのが8xです。8xにはコールしたときのショーダウンバリューがあまりありません。しかし、ブロッカーとしては非常に優秀です。BBの強いドンクベットレンジには、完成したフラッシュだけでなく、ターンの8によって完成したセットやツーペアも含まれます。UTGが8を持っていれば、それらの強いハンドをブロックできます。つまり、8xは「コールには向かないが、レイズには向いている」典型的なハンドです。
- フラッシュの多くは、コールとレイズを混合します。ただし、A♥K♥はピュアコールです。A♥K♥は極めて強いハンドですが、一番ランクが高い♥を2枚とも自分で持っています。そのため、レイズに対してコールやリレイズをしてくれるBBの強いレンジを、あまりにも強くブロックしてしまいます。強いハンドだから必ずレイズするのではなく、相手がディフェンスできるハンドをどれだけ残しているかまで考える必要があります。
- このボードでUTGが選ぶレイズサイズは、J♠5♣3♦3♥のボードより小さくなります。ソルバーは、55%ポットよりも33%ポットのレイズを高く評価しています。同じスートが3枚並ぶモノトーンボードでは、全体的に小さなベットサイズが使われやすくなります。ハンドの相対的な強さがリバーで変化しにくく、強いハンドを持たずに相手の強いハンドだけをブロックすることも難しいためです。A♥を持っていれば、もう1枚が何であっても比較的プレイしやすくなります。反対にA♥を持っていない場合、相手がA♥を持ちうるため、大きなブラフが打ちづらくなります。
レイトポジションからの対応
ここまで扱ったUTG対BBは、ドンクベットへの対応としては比較的分かりやすいケースです。レイトポジションからオープンした場合は、さらに難しくなります。プリフロップレンジが広いため、MDFを満たすには、より弱いハンドまでディフェンスしなければならないからです。
レイトポジションでドンクベットをされた場合、MDFを満たすために、より弱いハンドでもコールやレイズを選ぶ必要があります。
ただし、基本的な考え方が大きく変わるわけではありません。双方のレンジが広がることで、それぞれのハンドがUTG対BBのケースより一段階「格上げ」されると考えると分かりやすいでしょう。例えば、J♠5♣3♦3♥でのドンクベットに対するBTNの対応を見てみましょう。
BTNはAxを一切フォールドしません。UTGでは最弱クラスのAxをわずかにフォールドしていましたが、BTNではすべてディフェンスします。KハイやQハイのディフェンス頻度も高くなります。ただし、Jより下のカード2枚で構成された、ボードとのつながりがないハンドは引き続きフォールドします。
KKとQQはピュアレイズです。強いJxはコールとレイズを混合し、弱いJxは主にコールします。BTNはUTGよりも弱いハンドを多くコールするため、リバーではBBからより頻繁にプレッシャーを受けます。そのため、弱いJxをターンのコールレンジに残し、リバーのブラフキャッチャーとして使うことが増えます。
BTNがJxをコールレンジに残す理由は、ブラフキャッチだけではありません。リバーでBBがチェックした場合、Jxをバリューベットに回すこともできます。BTNには、ターンでピュアコールするストレートドローがUTGより多く含まれています。そのため、ブランクのリバーではBBがブラフキャッチャーでチェックコールするインセンティブが高くなります。BBのチェックコールレンジが広がるほど、BTNはJxでシンバリューベットを打ちやすくなります。
K♠Q♥5♥のフロップでBTNがオープンしていた場合、BBの均衡戦略には、♥のターンでのドンクベットがあまりありません。BTNはUTGよりも多くのフラッシュを持っているため、8♥はBBにとって一方的に有利なターンカードではないからです。それでもGTO Wizardでは、BBがドンクベットしたと仮定した場合のBTNのエクスプロイトされない対応を確認できます。
ここでも、これまで見てきた原則が当てはまります。K8は依然としてバリューレイズには足りません。一方でセットとKQはUTGのケースより積極的にレイズします。ナッツフラッシュも基本的にはレイズします。ただしAKは例外で、相手のディフェンスレンジをブロックしすぎるため、コールが中心になります。BTNはUTGよりも多くの低いフラッシュを持っており、それらは主にコールします。また、8xはレイトポジション同士の対決ではショーダウンバリューが高くなるため、ブラフレイズには向かなくなります。代わりに、8や5の周辺にある低いカードを含むストレートドローがブラフレイズレンジを補います。5より下のポケットペアも、特に♥を含む場合は、引き続き優れたブラフレイズ候補です。
まとめ
怖く見えるターンカードで小さなドンクベットをされたときには、相手のモンスターハンドだけに注目してはいけません。相手は、弱いハンドやミドルクラスのハンドでも小さくベットするインセンティブを持っています。その点を考慮し、自分と相手のレンジ全体を比較する必要があります。
フォールドするのは、基本的にレンジの最弱部分だけです。ボードとあまり絡んでいないハイカードであっても、コールやレイズに回さなければならない場面があります。特に、レイトポジションからオープンしていた場合や、フロップがアーリーポジションのオープンレンジとあまりかみ合っていない場合は、さらに広くディフェンスする必要があります。
また、積極的にレイズするというのは、ブラフを増やすことだけではありません。相手の最強レンジには負けていても、強いトップペア以上のハンドでしっかりバリューレイズすることも含まれます。強いハンドのスロープレイは例外として扱い、相手のディフェンスレンジを強くブロックしている場合など、明確な理由があるハンドに限定しましょう。









