チェスと推手のチャンピオンであるJosh Waitzkinは、その著書「The Art of Learning」の中で、「小さな円を描く」というトレーニング方法について述べています。武術では、特定の動きの核をまずは大きな動きでゆっくりマスターし、徐々に細かく洗練させていくことを指します。ポーカーテーブルで誰かを殴ることはありませんが、小さな円を描くというコンセプトを使うことで、圧倒的な情報量のあるソルバーソリューションを勉強するにあたっての大枠を知ることができます。まずは、一般的なシナリオの全体に当てはまる戦略から始めて、基本的なことを理解してから、より細かい戦略へと移行することが重要です。
この記事では、一般的なフォーマットでのCベットスポットを例として取り上げますが、この方法論はどんなスポットでも使うことができます。例:Cベットを受けた際、ターンバレルなど
Step 1: 全体像をつかむ
- ランダムなフロップのリストを作成するか、プレイするのが難しいと思うフロップをいくつか選びます。選んだフロップはスプレットシートに書き留めておくと良いでしょう。スプレッドシートは必ず必要な訳ではありませんが、より深く掘り下げていく際に役立ちます。
- キャッシュゲームプレイヤーなら100BBキャッシュ、トーナメント後半が苦手なら20BBのMTTなど、自分に合ったフォーマットとスタックを選びましょう。UTGとBBのSRPは、他のポジションでのアクションに比べてレンジが比較的狭く、UTGとBBのレンジ構成が全く異なるので、ここから始めると分かりやすいかもしれません。
- それぞれのフロップでUTGのCベット頻度が50%以上になるかどうかを予測します。ベットサイズやベットするハンド、正確な頻度については気にする必要はありません。
- GTO Wizardのフロップレポートやソルバーを使って予測をテストしてください。連続で当てられるようになるまで、新しいフロップセットでこの練習を繰り返します。90%くらい当てられるようになったら、ステップ2に進みます。
Step 2: 洗練させる
フロップテクスチャからベット頻度を予測する能力を磨くことが重要で、特定のフロップの頻度を記憶する必要はない。
STEP1と同じフロップのリストを使って、各フロップにおけるUTGのCベット頻度を10%単位で予測してみましょう。ここでも、ベットサイズやベットレンジの構成は気にする必要はありません。ここで重要なのは様々なフロップにおけるベットの直感を洗練させることで、実戦で似た局面になった際にミスを選ばないようにします。
少なくとも90%の確率で当たるようになるまで、新しいフロップセットで予測をテストしましょう。フロップテクスチャからベット頻度を予測する能力を磨くことが重要で、特定のフロップの頻度を記憶することが目的ではありません。
Step 3: 大きいか小さいか
リストのそれぞれのフロップで、UTGがベットする際に最もよく使うサイズが「小」「中」「大」のどれになるかを予想します。このサイズは相対的なものです。ショートスタックでは「中」サイズでも、ディープスタックでは「小」サイズになるかもしれません。ここでは「小」「中」「大」で十分です。
例えば、この100BBのシナリオでは、UTGは小と中を均等に使い分けますが、大を使うことはありません。130%ベットとオールインを「大」のサイズにまとめると良いでしょう。
コツ – ‘S’を押して、スモール、ミディアム、ラージのベットサイズをまとめます。
答えをチェックし、90%正解できるまで繰り返します。
Step 4: カードに注目する
どのハンドクラスがベットやチェックを好むか知る
さて、ここからが本題です。ここでも、どのハンドやハンドクラスがベットやチェックを好むかという大枠を掴みます。A6が62%ベットし、A7が21%しかベットしない理由など、細かいことにこだわる必要はありません。両方似ているということさえ分かれば十分です。
このステップは前のステップよりもかなり複雑なので、これまで扱ってきたフロップの一部だけ、できればベットとチェックがしっかり混ざっているものだけを使うと良いでしょう。ここでは特定のフロップで最も頻繁にCベットすると予想されるハンドのリストと、最も頻繁にチェックすると予想されるハンドのリストを、2つの別々の欄に記録します。前回と同様、ベットサイズは気にしないでください。ベットすることでハンドが有利になると認識するだけで十分です。
ここでは、各カテゴリーにできるだけ多くの種類のハンドを入れると良いでしょう。モンスターハンド、中くらいのメイドハンド、ドロー、完全なエアーは必ず入れるようにしましょう。例にあげたカテゴリーに必ずしも当てはまるわけではありませんが、カテゴリーに当てはまる場合はそれを意識するようにしてください。
上の例、100BBのキャッシュゲームでのA♠ Q♦ J♠のフロップでは、AA、 QQ、 JJ、KTは実質ピュアベットで、98sやペアでないダイアのドローも同じです。純粋なチェックはありませんが、よくチェックされるハンドはQx、ローキッカー付きのAx、スペードのないスモールペアとなります。
このステップは簡単ではありませんが、最後のステップなので大丈夫です。この構成で全ての異なるタイプのフロップでハンドを分類する方法を理解したら、次は別の構成をやってみましょう。
繰り返し
似ていないシナリオをトレーニングする
効率よく勉強するなら、似ていないシナリオをトレーニングするように心がけましょう。UTG vs BBを勉強したばかりなら、UTG1 vs BBの勉強に時間を費やす必要はありません。BTN対BB、UTG対BTN、あるいは3ベットのシナリオの方がより多くのものを得られるでしょう。あるいは、同じようなアプローチをターンバレルスポットに応用することもできます。
何をやるにしても全体像を掴むようにしましょう。個々のコンボが特定のアクションを取る頻度よりも全体的な頻度の方が重要です。まず大きな円から始め、次にそれを小さくすることに取り組みましょう。
翻訳:森 大維河