リバーで勝てそうにない場面の判断基準:ブラフかチェックか
ヘッズアップでリバーまで進んだ状況を考えてみましょう。相手は2ストリート連続でチェック/コールしているため、レンジはある程度キャップされています。しかし、こちらのハンドはかなり弱く、ポットを取るにはブラフする必要があります
相手の傾向が分からない場合、ブラフすべきか諦めるべきか
この判断は簡単ではありません。特にポットが大きいほど、間違えたときに失う額も大きくなります。とはいえ、理論的な考え方を押さえておけば、こうした難しい場面でも適切な判断ができるようになります。この記事では、リバーでブラフ候補のハンドを持ったときに意識すべき重要なポイントを解説します。
理論的に考えるべきポイント
- ショーダウンバリュー
- ブロッカー
- アンブロッカー
- 頻度
ショーダウンバリュー
まず最初に確認すべきは、「このハンドはショーダウンで勝てない」という前提が本当に正しいかどうかです。これまでブラフとしてプレイしてきたハンドでも、リバーの時点で5%、10%、場合によっては20%程度のエクイティを持っていることは珍しくありません
例
次のスポットを見てみましょう。これは私が最近オンラインでプレイした実際のハンドをもとにしています。8人テーブルのMTTで、LJからA♦K♠をオープンし、SBがコールしました。エフェクティブスタックは約30BBです。なお、ここではチップEVのレンジを使用して解説します。
フロップはクラブ2枚のT43。相手がチェックし、こちらがポットの40%のCBを打つと、相手はコールしました。ターンはオフスートのQで、相手が再びチェック。こちらはほぼジオメトリックサイズのポット70%をベットします。相手はコールし、リバーはオフスートの7が落ちます。
こちらはAハイしか持っていないため、ブラフを検討できる場面です。JTsやT9sといったブラフキャッチャーに大きなプレッシャーをかけることもできます。しかし、ブラフする前に確認すべきことがあります。それは、このハンドがショーダウンで勝てる可能性です。
もしチェックでプラスのEVがあるなら、EV0のブラフをする理由はありません。
ご覧の通り、AKoは相手の完成しなかったフラッシュドローやコンボドローに勝っているため、チェックするとポットの21%〜30%を獲得できます。一方、ブラフオールインをすると、EVは最低でポットの約15%程度になります。つまり、チェックの方が優れた選択肢となります。
理論上、相手をインディファレントにするためにブラフは必要です。しかし、ショーダウンで勝てる可能性があるハンドをわざわざブラフに回す必要はありません。その代わり、ショーダウンで必ず負けるハンドをブラフに使えば、チェックで得られたはずのEVを失わずに済みます。
一方、98sを持っている場合、ベットとチェックのEVを比較すると差は明らかです。ターンがQ♥であることによるブロック効果で、この場面では9♦8♦の方が9♥8♥よりもブラフとしてやや優れています。それでも9♥8♥は100%の頻度でブラフされます。ブラフのEVはポットの8.6%、チェックではわずか2%しかないためです。相手が9ハイより弱いハンドを持っている可能性はほとんどありません。
もちろん、ボードテクスチャやターン以降の相手のレンジによっては、Aハイですらショーダウンバリューがまったくない場面も多く存在します。そうした場面では、Aハイでリバーをブラフする方が合理的な選択になるでしょう。しかし実際には、多くのプレイヤーがブラフしなくても勝てる可能性があるハンドで、無理にブラフしてしまうミスを犯しています。
ブロッカーとアンブロッカー
ポーカー戦略においてブロッカーの重要性はよく語られますが、多くの場合、それほど大きな意味はありません。ただし、リバーでブラフを考える場合は例外です。ここでは、各ハンドが持つブロック・アンブロックの性質が非常に重要になります。
リバーでブラフを考える際は、自分のハンドが次の2つの条件を満たしているか確認しましょう。
- 相手がコールしそうなハンドを、少なくとも一部はブロックしていること
- 相手がフォールドするレンジを、できるだけブロックしていないこと
こちらが、先ほど見ていたスポットにおけるAKoの全コンボです。各ハンドの横、長方形の左上に表示されている数値がブロッカースコアです。左の数字がバリューリムーバル、右の数字がトラッシュリムーバルを示しています。
バリューリムーバルスコア
バリューリムーバルが指しているのは相手レンジの上位部分のみであり、ブラフキャッチャーは含まれていません。そのため、多くのスポットでは、ブラフ候補のバリューリムーバルスコアは比較的低くなりがちです。ただし、2や3といった小さな数値でも、状況によっては十分に重要な要素になります。このスポットでは、AKoのすべてのコンボが1となっていますが、これはツーペア、セット、ストレートを一切ブロックしていないためです。
トラッシュリムーバルスコア
一方、トラッシュリムーバルスコアは、相手レンジの中でも特に弱いコンボをどれだけブロックしているかで大きく変わります。このスポットではA♦K♠は完成しなかったフラッシュドローを一切ブロックしていないため、トラッシュリムーバルは1です。対照的に、A♣K♥はA♣がナッツフラッシュドローをすべてブロックしているため、トラッシュリムーバルは6になります。
実戦中の考え方
実戦中に、これらのリムーバルスコアを正確に計算することは現実的ではありません。しかし、テーブル外で確認することで、なぜ特定のスポットでブラフが選ばれるのか、あるいは選ばれないのかが理解しやすくなります。こうしたプロセスを通じて、実戦で必要な直感が養われていきます。
頻度
これらのスポットにおける最後の理論的な観点は、全体のブラフ頻度です。常に、こちらがブラフし過ぎているのか、あるいはブラフが足りていないのかを正確に見抜ける相手と対峙するわけではありませんが、次の点は意識しておく必要があります。
- ハンドがショーダウンまで進んだときに、テーブルのプレイヤーにどのようなことが伝わるのか
- リバーでのブラフをすることで、今後相手からどのように認識されるか
リバーでブラフ候補をすべてブラフしてしまうと、多くの場合オーバーブラフになります。これは短期的には有効となる場面もありますが、こちらの傾向を把握できる相手に対しては、ブラフキャッチャーでフォールドしなくなるという分かりやすい対応を取られてしまいます。逆に、ブラフとして優れているハンドでブラフしない場合、相手は反対の調整を行い、こちらのリバーベットに対してより多くフォールドするようになります。
現在のアクションによって相手の今後の調整を意図的に操作しようとするのは魅力的に感じるかもしれませんが、これは非常に扱いが難しい考え方です。相手がどのような調整を、いつ行うのかを正確に予測できるとは限りません。この複雑な読み合いから抜け出すためには、相手の傾向に十分な確信が持てるまでは、極端にブラフし過ぎたり、逆にブラフしなさ過ぎたりしないことが重要です。そのためには、各スポットでどのハンドを諦めるのかという基準を、あらかじめ持っておく必要があります。
リバーで、ブラフに適さないハンドを持っていた場合、つまり、相手のフォールドレンジを一部ブロックしてしまっていたり、コールレンジをまったくブロックしていなかったり、あるいはショーダウンバリューが残っているようなハンドであれば、チェックは非常に良い選択になりやすいでしょう。
では、自分のハンドが本当に適切な性質を持っているのかどうか、判断がつかない場合はどうすればよいのでしょうか。実際、スポットによっては非常に複雑なケースもあります。
そのようなとき、ブラフ頻度を適切に調整したいのであれば、最終的には次のシンプルなルールに立ち返ることができます。
ショーダウンバリューが最も低いハンドほど、ブラフに回します。
たとえば、リバーでAハイと9ハイのどちらをブラフするか迷った場合、どちらがより適切なブロック・アンブロックの性質を持っているか分からないのであれば、Aハイをチェックし、9ハイをブラフする方がよいでしょう。これは、ショーダウンバリューを無駄にしていないと、より確信を持てるからです。
まとめ
リバーで、今持っているハンドよりも明確に優れたブラフハンドや、よりショーダウンバリューの低いハンドをレンジ内に見つけられないのであれば、そのハンドは十分にブラフとして機能する可能性があります。
この基準を持っておくことで、ブラフ頻度をある程度コントロールしやすくなり、特定のスポットでブラフがまったく存在しないといった極端な状況を避けやすくなります。
本記事が、相手に関する情報がほとんどない状況でも、こうしたスポットでどのように判断すべきか、その考え方を整理する助けになっていれば幸いです。今後は、相手の弱点がある程度分かっている場合に、どのようなエクスプロイト的ブラフを選ぶべきかについても解説する予定です。








