そのペア、チェックで終わらせていませんか?
サードペアやアンダーペアでも、ベットを続けるべき場面はあるのでしょうか?
Spin & GoのBTNでは、それなりに良いプレイをすることは比較的難しくありません。BTNのプリフロップレンジは比較的タイトなので、それよりもはるかに広いBBのレンジに対して、ほとんどのボードで有利になります。BBがこれほど広いレンジでフロップに進めるのは、1bbを追加するだけで4.5bbのポットに参加できるためです。
ただし、BTNで上手くプレイするには、一見ベットに向かなさそうなハンドでも、最大限のプレッシャーをかけられるボードを見極める必要があります。この記事では、どのボードがBTNに特に有利なのか、そして、その有利なレンジをどう活かしてプレイするかを解説します。
基本となるレンジを確認する
BBは1bbを追加するだけで、4.5bbのポットでフロップを見られるため、BBはプリフロップで非常に広いレンジでディフェンスします。
タイトなリニアレンジと広いレンジが対戦すると、タイトな側、今回はBTNが、ほぼすべてのフロップでレンジアドバンテージを持ちます。
BTNはこの有利さを活かし、ほとんどのフロップでレンジベットをします。
フロップを有利な順に並べる
次の4種類のフロップを、BTNに有利な順に1〜4位に並べてみてください。1位が最も有利、4位が最も不利です。
9以上のカードが3枚:
A♣K♦Q♣ / J♣T♥9♠ / K♣Q♦Q♥
ブロードウェイカードが1枚、それ以外が2枚:
K♥8♦7♠ / Q♠5♥4♣ / J♠7♦5♣
8ハイ以下のフロップ:
8♥5♦4♣ / 7♥7♦6♣ / 6♣5♥4♥
ブロードウェイカードが2枚、それ以外が1枚:
K♥T♦6♣ / A♠J♣7♣ / J♥T♥5♦
- 9以上のカードが3枚
- ブロードウェイカードが2枚、それ以外が1枚
- ブロードウェイカードが1枚、それ以外が2枚
- 8ハイ以下のフロップ
BTNのレンジには、はっきりした特徴があります。一般に、9〜Aのカードとはよく絡みますが、2〜8のカードとはあまり絡みません。
9以上のカードが3枚あるフロップ
25bbで始まるSpin & Goを考えます。BTNから標準的な2bbでオープンし、SBがフォールド、BBがコールしました。フロップはA♠K♠Q♥です。
GTO Wizard AIにベットサイズを1つ選ばせると、3bb(67%ポット)のCベットを、ほぼレンジ全体で使います。これだけでも、このフロップがBTNにどれほど有利か分かります。
BBも、このフロップがBTNのレンジによく絡むことを踏まえて対応する必要があります。67%ポットのCベットに対するMDFは60%です。しかし、BTNのレンジアドバンテージが非常に大きいため、BBのディフェンス頻度はそこまで届きません。
BBは約12%でレイズ、約25%でコールし、合計約37%のレンジをディフェンスしています。MDFの60%を大きく下回っていますが、一方のプレイヤーに大きなレンジアドバンテージがあるときは、よく見られる対応です。
A♠K♠Q♥のフロップで、こちらの67%ポットCベットにBBがチェックコールしました。ターンは5♦です。このターンで優先されるベットサイズは、10.5bbのポットに7bbです。
以下のハンドを持っていたら、①ベット、②チェック、③ベットとチェックを混ぜるのどれになると思いますか?
J♠7♠
正解:②チェック
A♥A♣
正解:③ベットとチェック
6♥6♣
正解:③ベットとチェック
6♠5♠
正解:①ベット
A♥K♦
正解:①ベット
Q♦9♥
正解:③ベットとチェック
いくつ正解できたでしょうか。簡単な問題ではなく、このスポットでの両者のレンジを深く理解する必要があります。
ベットを続けるのが自然に見えるJ♠7♠がチェックし、意外に思えるQ♦9♥がベットするのはなぜでしょうか。レンジの中身と、ターンベットに対するBBの対応を詳しく見ていきます。
BBのレンジは、ほぼA、K、Qのペアで構成されています。ペアのないハンドは、ほとんどがフラッシュドローです。このターンでも、BTNは非常に大きなナッツアドバンテージを維持しています。
クイズの意外な結果を振り返りながら、それぞれのハンドでソルバーがそのアクションを選ぶ理由を見ていきましょう。
J♠7♠
ターンでベットしたとき、まずフォールドが見込めるのは、4枚のアウツがあるJハイのガットショット(J6o〜J8o)です。他には、9・8・7・6ハイのフラッシュドローもフォールドします。
こちらがJ♠を持っていると、BBは、J♠を含むフォールド候補のハンドを持つことができません。また、ドミネイトしているフラッシュドローをフォールドさせると、リバーでお互いにフラッシュを完成させ、相手の弱いフラッシュからチップを取れる展開を減らしてしまいます。
ベットのメリットは、相手のQやKのペアをかなりフォールドさせられることです。ただし、それはレンジ内の他のハンドでも同じです。そうしたフォールドからより大きなメリットを得られるハンドがあるため、ブラフにはそちらを選びます。
A♥A♣
こちらがAを2枚持つと、BBのディフェンスレンジに含まれるトップペアのコンボ数が大きく減ります。トップペアは、こちらのトリプルバレルに最後までコールできると見込まれるハンドの大半を占めています。
得られるフォールドエクイティの価値も、あまり高くありません。たとえば、7bbをベットしてQ♠7♥をフォールドさせても、このハンドはすでに逆転できないため、こちらにメリットはありません。フォールドするKやQのペアのほぼすべてについて、同じことがいえます。
この2点を踏まえて、AAはチェックします。リバーで相手がプローブベットする可能性に期待し、そこから利益を得ることを目指します。
6♥6♣
66のベットは主にブラフですが、BBのレンジの一部からは、コールされてもバリューを取れるというメリットがあります。
どのハンドをフォールドさせても、大きなメリットがあります。K♣4♥のように、いま自分より強いハンドを降ろせるか、約26%のエクイティを持つ9♠4♠のように、リバーで逆転する可能性が十分にあるハンドを降ろせるからです。
コールされても、2つのメリットがあります。まず、リバーでセットになる可能性があります。頻繁には起きなくても、ハンドのEVを高くするうえで無視できない要素です。また、7♠5♠やJ♠4♠には現時点で勝っているため、ターンでコールされても、ショーダウンで勝てることがあります。
このハンドのチェックのEVはほぼ0で、ショーダウンバリューは実質的にありません。そのため、わずかな利益が見込めるだけでも、ブラフが最適になり得ます。
Q♦9♥
このハンドは、ターンでできたツーペアをブロックしています。また、Kのペアやフラッシュドローの一部をフォールドさせるメリットもあります。
Q9でベットするのは、Q♠を持っていない場合だけです。これには理由があります。相手のQ♠xからバリューを取れるうえ、リバーにもう1枚Qが落ちれば、お互いに強いハンドになったところで、こちらが勝てる展開を作れるからです。
6♠5♠
私は、J♠7♠ではなく6♠5♠でベットを続ける理由が分かれば、このスポットで両者のレンジがどう影響し合うかを、かなり深く理解できると考えています。
J♠7♠の説明では、9ハイ以下のフラッシュドローをフォールドさせてもメリットがないと述べました。では、6♠5♠ではどうでしょうか。こちらには、とても良い結果です。ターンでベットして、自分より強いフラッシュドローをかなりフォールドさせておけば、リバーで低いフラッシュが完成したときも、より自信を持ってプレイできます。お互いにフラッシュができて、こちらが負ける展開を減らせるためです。
さらに、5♠を持っていることにも大きな意味があります。BBのチェックレイズレンジを見ると、ほぼ半分のハンドに5が含まれています。ターンでできたツーペアと、5♠を含むフラッシュドローです。こちらが5♠を持っていれば、BBにチェックレイズされる頻度は大幅に低くなると見込めます。
さらに、自分より強いQやKのペアを高頻度でフォールドさせられます。それでいて、コールされても、ハンドが良くならずにショーダウンで勝てる可能性が残ります。これらを合わせて考えると、6♠5♠が、ターンでのバリューブラフに非常に適したハンドである理由が見えてきます。
直感では選びにくいブラフを使わない相手には?
多くのプレイヤーは、6♥6♣、Q♦9♥、6♠5♠といったハンドではブラフできず、代わりにJ♠7♠のような、ブラフに向いていそうなハンドを選ぶと考えられます。ソルバーを十分に活用するには、まず基準となるソリューションを理解することが大切です。さらに、相手がその基準から外れたとき、こちらの戦略をどう変えるべきかまで理解すれば、さまざまな相手に対応できます。
そこで、BTNのターンベットレンジを、直感的に選びやすいハンドで構成したものに変更し、BBの戦略がどう変わるかを見てみましょう。
ベット頻度は約62%から約60%へと変わっただけで、ほぼ同じです。しかし、レンジの中身は大きく変わっています。Qxやそれより弱いペアのベットをなくし、代わりに、ペアのないフラッシュドローやガットショットをベットに回しています。
AAとすべてのAxでベットを続け、ブラフにはフラッシュドローのようなエクイティの高いハンドを使う。この変更だけで、BBのディフェンスレンジは大きく変わります。リドローのないKxなど、BBのぎりぎりディフェンスできるハンドは、これほど強いレンジに対してディフェンスするメリットがなくなります。
実戦では、次のように活かせます。
- BTNでプレイする場合
ターンでQJoやK6oをコールするのは簡単ではありません。多くのレギュラープレイヤーは、このようなフロップがBTNに非常に有利だと分かっているため、BBではターンでフォールドしすぎる傾向があります。だからこそ、BTNでは直感で選びにくいブラフも見つけ、ベットすることが重要です。 - BBでプレイする場合
多くのプレイヤーは、役のあるハンドをブラフに回せません。こうした相手がこのようなボードでターンベットをしてきたら、慎重に対応するのが正解です。相手がペアのないドローをすべてブラフに使っていても、この点は変わりません。一方、役のあるハンドでもブラフできる相手なら、レンジを読む力があると分かります。その場合は、判断に迷うハンドでもコールを続けることを検討する必要がありそうです。
他のフロップでは?
もう一度、25bbで始まるSpin & Goを考えます。BTNからミニマムオープンし、SBがフォールド、BBがコールしました。今度のフロップはK♥8♦7♦です。
優先されるベットサイズは、ここでも67%ポットです。ただし、ベット頻度はA♠K♠Q♥のときの半分近くまで下がります。BTNのレンジアドバンテージが、先ほどほど大きくないためです。今回は、特にAxなど、ペアのないハンドがレンジに多く含まれています。そうしたハンドでチェックバックするレンジを守るため、セカンドペア以下のハンドも、大半をチェックバックに回します。
今回のように、9より上のカードが1枚しかないフロップでは、レンジ全体に占めるペアのないハンドの割合が高くなります。そのため、一般にチェックレンジとベットレンジの両方を広く持つ必要があります。
大きな例外は、9以上のカードが1枚で、それがAの場合です。BTNのプリフロップレンジで、ポケットペア以外に最も多く含まれるのはAxだからです。BTNにとって、フロップに落ちる最も有利なカードは、常にAです。
ターンで9以上のカードが3枚になる場合
フロップの時点で9以上のカードが3枚あるとき、BTNはフロップとターンのブラフ候補を幅広く探す必要があると説明しました。
ターンで3枚目の9以上のカードが落ちたときも、同じです。J♥T♥5♦という同じフロップで、2種類のターンを比べてみましょう。
ここでは、1.8bbの小さいサイズを、ほぼレンジ全体で使います。9以上のカードが2枚あるフロップでは、よく見られる戦略です。
ターンカードによって、BTNの有利さは大きく変わります。どのターンが特に有利か、考えてみてください。
一般に、フラッシュが完成しないハイカードのターンが、BTNに有利です。BTNのレンジに含まれる、ペアのないハンドが減るためです。
まずは、BTNに特に不利なターンの1つである8♣を見てみましょう。
このターンのベットレンジは、比較的自然に見える構成です。バリューベットするのはトップペア以上で、バランスを取るためのブラフには、主にペアのないハンドを使います。それでも、直感では選びにくいブラフが一部に含まれています。特にローポケットペアの一部ですが、先ほどのツートーンのAKQの例とは異なり、戦略の大きな部分を占めてはいません。
次は、BTNに最も有利なターンであるA♦と比べてみましょう。
戦略の違いは明らかです。不利なターンではベットとチェックがほぼ半々でしたが、この有利なターンでは、ほぼレンジ全体でベットします。
ここで重要なのは、次の点です。
ターンでBTNのレンジアドバンテージが大きくなるほど、直感では選びにくいハンドも、より多くベットに回す必要があります。
レンジがかなり弱くなる8♣のターンでは、ローペアでベットしなくても、大きなミスにはならないかもしれません。しかし、ターンでレンジアドバンテージが大きくなった場合、こうしたハンドでベットしないことは、下の図のように大きなミスになります。
まとめ
BTNのレンジに有利なカード、つまり9以上のカードがボードに多くなるほど、ローペアもショーダウンを目指すだけでなく、より多くブラフに回す必要があります。実戦では、「ターンの時点で、9以上のカードが3枚あるか?」と考えると判断しやすくなります。当てはまるなら、ポケットペアやサードペア、フォースペアを、バリューブラフの候補として検討しましょう。
BTNがローペアをブラフに使わないなら、9以上のカードが3枚あるボードでは、BBがターンでかなり思い切ったヒーローフォールドをするのが正しくなります。この点を踏まえて相手に合わせた対応をすれば、一歩先を行くプレイができます。


















