
オーバーベットはターンとリバーの分析がメインですが、フロップも均衡時にEVを大きく生み出す武器になる可能性があり、非常に利益的なエクスプロイトに繋がります。
この記事では、ポラライズしたフロップの戦略を構築するためのツールを紹介します。この記事は上級者向けです。そのため、ポーカーに比較的慣れていない場合は、先にこの記事を読むことを強くおすすめします。フロップCB。
GTOがフロップでオーバーベットするのはなぜか?
GTO がフロップでオーバーベットを選択する理由を理解するには、次の概念をよく理解しておく必要があります。それはナッツアドバンテージと緊急性(Urgency)です。
ナッツアドバンテージとは
ナッツアドバンテージとは、自分のレンジのトップに相手よりも強いハンドがある場合のことです。ナッツアドバンテージは オーバーベット戦略に直接は繋がりませんが、ナッツディスアドバンテージ(ナッツアドバンテージの逆)がある場合にオーバーベットをすることは稀です。
ナッツアドバンテージを持つプレイヤーは、ポットを増やしやすくなります。理由は簡単です。プレイヤーのレンジの最も強い部分が相手を上回っているためです。ポットが大きくなるにつれて、レンジはどんどん狭くなります。ナッツアドバンテージを持つプレイヤーはこの競争に勝ちやすいということです。オーバーベットはそれを実現するのに良い手段になります。


緊急性(Urgency)とは何か
「緊急」は「速攻」とも呼ばれ、今は非常に強いハンドを持っているが、後のストリートではそれほど強くなくなる可能性がある場合を指します。
例えば、BTNがJJでオープンし、BBにコールされ、T85レインボーの場合を考えてみましょう。このフロップでは、JJは現在相手のレンジの97%より強いですが、エクイティは79.6%しかありません。このため、JJはオーバーカードやドローを相手に引かれる前に、素早くポットを大きくする必要があります。

フロップでのオーバーベット
この章では、先ほど伝えたことを元に、良くオーバーベットが起こるフロップをご紹介します。まず、よくオーバーベットされるフロップをいくつかのカテゴリーに分けて見ていきます。次に、ソルバーがオーバーベットを選択する理由を理解するのに役立つ、ハンドの順応性などについて説明します。
ダブルブロードウェイでのオーバーベット
ダブルブロードウェイボードは比較的よくオーバーベットが使われます。このボードタイプをフィルタリングすると、オーバーベットが主に使われていることが分かります。


- PFRとしてナッツアドバンテージが非常に強い.
- ドローが多くあり、完成しておらず、ポットを早く大きくする必要がある
ダブルブロードウェイのボードを詳しくみてみましょう
フロップ戦略を考えるときは、ツートーンボードとレインボーボードを比較すると分かりやすいです。多くの場合、戦略に大きな差があります。


これら 2 つのフロップを並べて比較することで、緊急性(Urgency)がレンジにどう影響するのかが分かります。フロップの両方で、PFR には大きなナッツアドバンテージがありますが、フラッシュドローボードではサイズが大きくなり、ベットの頻度が減ります。その理由は単純です。負けてしまう可能性が高いので、後でではなく今すぐにバリューを取れるようにポットを大きくしたいためです。
ここから、K72のようなボードでオーバーベットが起こらない理由も分かります。

大きなナッツアドバンテージがあるにもかかわらず、ナッツを中心にフロップ戦略を構築するのではなく、ブラフを中心に戦略を構築しています。相手のレンジにはどんなベットに対してもフォールドするようなトラッシュハンドが多くなっています。そのため、フロップで小さくベットし、ブラフのリスクを少なくします。
これによってバリューを取り逃がすと心配するかもしれませんが問題ありません。ほとんどのターンとリバーはこちらに有利なため、後のストリートでオーバーベットを組み込むだけでバリューは取れます。フロップはブラフを中心に構築され、ターンとリバーはナッツを中心に構築されます。
ミドルボードのオーバーベット
フロップオーバーベットはハイカードボードでのみ発生すると良く誤解されます。表面的なことのみ考えれば、そう考えてしまうのも分かります。973rではプリフロップレイザーよりコーラーの方がペアを作りやすくなります。

答えはペアの質にあります。 全体的にレンジのペアが少ないにもかかわらず、BTN はすべてのオーバーペアをもっています。このボードでは2ペアとストレートはできないため、オーバーペアは相手にとって多くの場合最悪のハンドです。
ナットアドバンテージ + ドローヘビーボード= 緊急性(Urgency) → 大きいベット
オーバーベットにつながる緊急性(Urgency)の概念についてはすでに説明したので、今度はハンドの弾力性の概念と、それがフロップ戦略にどのように関係するかを見てみましょう。
弾力性とは何か
弾力性とは、さまざまなベットサイズを受けた時アクションがどの程度変化しやすいかを指します。

上のチャートを見ると、どのハンドが弾力性があり、どのハンドがそうでないかを判断できます。
44は弾力性のあるハンドです。 33%という小さなポットベットは常にコールする必要があります。50%に対してはフォールドが混ざり始め、75% に対してほとんどフォールドするはずです。オーバーベットに対して、コールすることはできなくなります。K7sやQ2sはどちらも弾力性のないハンドです。Q2sは、ベット サイズに関係なく常にフォールドになりますが、K7は約150%のサイズになるまでフォールドできません。
レンジ全体を弾性の観点から考えることができます。レンジのハンドが弾力的であればあるほど、より大きなベットサイズを含むサイズに対応することができます。弾力性は、インディファレントやハンドターゲティングの概念と関連しています。

ダブルブロードウェイボードでは、98sのようなハンドはフロップですでに0EVに近いため、このハンドを無理に下ろす必要はありません。次のようなハンドをターゲットに大きなベットを使用します。QJ、QT、JT、 Kxをギリギリの状況に追い込みます。
SBのフラットコールに対するIPのオーバーベット
ほとんどのプレイヤーはSB に対してBBと同じようにプレーしますが、これは間違いです。ローペアフロップを見れば全てが分かります。

33%レンジベットではありません。なぜでしょうか?
SBコーラーはBBよりもポットオッズが非常に低く、同様にスクイーズされるリスクもあります。その結果、レンジのほとんどがポケットペアとスートのブロードウェイで構成されます。

このレンジはポケットペアが多く、トラッシュハンドがないため、ローボードではSBがほとんど IPに対してエクイティアドバンテージをもっています。

SBとPFRのEVを比較すると、面白いことがわかります。 SB がエクイティアドバンテージを持っているにもかかわらず、実際にはPFRが全体的にEVアドバンテージを持っています。この時点でわかると思いますが、ナットアドバンテージが原因です。オーバーベットが最も効果的な戦略である理由は、オーバーベットに直面したSBのレンジを見れば非常に直感的に理解できます。

オーバーベットはポケットペアと強力なエースハイを完全にターゲットにしています。インディファレントなハンドをみてください。弾力性の塊です。
SB のレンジはプリフロップですでに絞られているので、少さいベットではあまり利益を得られません。やりすぎかもしれませんが、SBのレンジに対する小さいベットとBBのレンジに対する小さいベットのフォールドエクイティの違いを比べてみてください。


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IPコーラーでフロップチェックされた場合のオーバーベット
最後のスポットは、PFCとしてオーバーベットしているため難しい局面です。このセクションでは、HJ SRPとBTN SRPに焦点を当てますが、ブラインド対ブラインド含むほとんどの IP PFCで同様の法則が当てはまります。

SBのフラットコールレンジと同様に、BTNのレンジも主にポケットペアとスートのブロードウェイで構成されています。
ローボードでチェックされると、戦略は主に高頻度の小さいベットで構成されます。ポケットペアはオーバーカードからエクイティを奪いやすく、小さいベットが最適です。必要があれば、ナッツを基準に後のストリートでサイズを上げることもできます。
Aハイボードではオーバーベットがメインとなり、A-ロー-ローボードは最も顕著です。

これらのボードには、セットやツーペアがあるためナッツアドバンテージがあります。

オーバーベットは、HJのAx とアンダーペアをインディファレントにすることができます。ターゲットにしましょう。
まとめ
結論として、フロップのオーバーベットを覚えると、相手よりも優位に立てる強力な戦略となります。この記事では、分かりやすいオーバーベットを例に挙げ、相手を倒すさまざまなシナリオを検討しました。
フロップオーバーベットをするか悩んだら、次の3つの重要な要素を考えましょう。
フロップオーバーベットをするか悩んだら、次の3つの重要な要素を考えましょう。
- ナッツアドバンテージ – どちらがレンジのなかでプレミアムハンドや強いハンドをもっているか。
- 緊急性(Urgency) – 強いが捲られやすいハンドは、すぐにポット大きくした方が良くなります。
- 弾力性 – ベットサイズによって相手のアクションはどの程度変化するか?
フロップでのオーバーベットを上手く使うにはスポットを賢く選ぶことが重要です。