GTO Wizardのレンジ対レンジのエクイティ分布グラフは、どのプレイヤーがより強いレンジを持っているのか、あるいはナッツアドバンテージを持っているのかといった各プレイヤーのエクイティ分布を視覚化するのに優れたツールです。あるプレイヤーが中程度の強さのハンドを多く持っているのか、それとも非常に強いハンドと非常に弱いハンドにポラライズされているのかはベット頻度とベットサイズに大きな影響を与えます。エクイティ分布グラフをみることでそれらの情報をしっかりと把握することができます。
エクイティ分布グラフでは、X軸はレンジの中でそれぞれのハンドがどのくらいの位置にあるかを示し、Y軸はそれぞれのハンドのエクイティを示しています。グラフの線は常に左下から右上に傾斜しています。注意すべき点は、X軸の各点でどのプレイヤーの線がどの程度相手の線より上にあるかということです。
エクイティ分布グラフについて詳しくはこちらの記事をご覧ください📉
ポラライズレンジとコンデンスレンジの比較
下のグラフは、🔵青い線がBBのエクイティ分布、🟢緑の線がBTNのエクイティ分布を表しています。どちらのプレイヤーがよりポラライズしたレンジを持っているでしょうか。また、このストリートでの各プレイヤーのベット戦略はどのようになるでしょうか。(この分布に至ったアクションは意図的に提示していません。過去のアクションの見慣れたパターンからではなく、グラフから最適な戦略を導き出してみてください。)
BTNはよりポラライズしたレンジを持っています。緑の線はBBの青い線よりかなり上か下にあり、中央で急激に線が上昇しています。つまり、BTNのハンドは0-15%のエクイティで非常に弱いか、70%以上のエクイティで非常に強いかのどちらかです。緑の線が垂直に伸びているのは、BTNには30~60%のエクイティのハンドがほとんどないことを示しています。青い線の長く平らな水平の部分は、BBにエクイティ60%程度の中程度の強さのハンドが多いことを示し、その両極端に非常に強いハンドや非常に弱いハンドが少し存在しています。
このことから、BBはほとんどチェックすることがわかります。中程度の強さのハンドでベットしても自分より弱いハンドにはフォールドされ、強いハンドにはコールされるだけです。ここではポットを小さく保ちながらショーダウンに持ち込み、BTNの弱いハンドからブラフを誘うのがよいでしょう🙌
BTNはベットすることで、相手のより強いハンドをフォールドさせ、自分の強いハンドはポットを大きくすることで相手の弱いハンドから利益を得ることができます。ここでのBTNのアドバンテージの大きさを考えると、できる限り大きなベットをするのがよいでしょう。
このグラフは100BBのキャッシュゲーム、SRP、BTN対BB、A♠ T♥ 8♠のフロップでBBがBTNの50%ポットベットをチェック/コールし、ターンが2♣で、BTNの125%ポットベットをBBがチェック/コールし、リバーが6♥の時のものです。
先ほど説明した通り、この状況ではBBはレンジの97%をチェックし、BTNはポラライズしたレンジで大きなベットをし、最も多く使われているベットサイズはポットの200%以上のオールインです。
クイズ:グラフからフロップを当てよう
グラフからフロップを推測する練習をしてみましょう。次のグラフは100BBの6Maxキャッシュゲーム、SRP、UTG対BBのエクイティ分布です。これらのグラフがT55r、T86tt、AK6のどのフロップか当ててみてください。下に少しヒントがあります。
ヒント
最初のグラフのエクイティ分布は両者ともかなり近くなっています。BBのハンドは平均してやや弱いですが、両者とも大きなレンジアドバンテージはなく、両プレイヤーとも強いハンドを持っています。
2番目のグラフでは、UTGのレンジはナッツ級のハンドを除いてBBのレンジを大きく上回っています。X軸の95%付近では、BBの青い線がUTGの緑の線を上回っており、これはBBが全体的にエクイティが不利であるにも関わらず、非常に強いハンドをUTGより多く持っていることを示しています。
3番目のグラフでは、UTGは大きなエクイティアドバンテージを持っています💪全体的に大きくUTGのハンドはBBを上回っています。
答え
最初のグラフ
最初のグラフはT86ttのフロップです。中位のランクのカードが3枚あるフロップは、特にストレートやフラッシュドローがある場合、UTGとBBのレンジの差が小さくなります。両プレイヤーともポットを大きくする動機はそこまでありませんが、BBはポジションが不利であり、エクイティも若干不利です。そのためBBは全レンジでチェックしますが、UTGのCベットは44%と、UTG対BBの場面としてはかなり低くなっています。ここでのベットサイズはほとんどの場合33%や50%と小さく、UTGのアドバンテージがあるレンジの弱い部分にプレッシャーをかけています。
2番目のグラフ
2つ目はT55rのフロップです。このフロップはストレートもフラッシュもなく、マッチするカードも2枚しかないため、BBがフロップでエクイティを得るのはかなり難しくなっています。UTGはかなりのレンジアドバンテージがあるものの、BBがトリップスを多く持っていることに気をつけなければなりません。そのためUTGのCベットの頻度は50%程度であり、エクイティアドバンテージの大きさとペアボードであることを考えると低い値となっています。UTGが小さいベットを好むのは、UTGの弱いハンドがBBの弱いハンドを上回っているからであり、ポットが大きくなり、レンジが強くなるとこのアドバンテージはなくなってしまいます。
BBはこのフロップでレンジの20%ほどをドンクベットしています。BBはナッツアドバンテージがあり、ベットすることでUTGがポットコントロールする機会を奪います。
まとめ
エクイティ分布グラフを学ぶことで、各プレイヤーのハンドの強さの内訳がわかり、どの程度のポットの大きさにしたいのか読み取ることができます。そしてこれらの傾向がベット頻度とサイズを決めます。グラフを視覚化することで、自分のレンジがベットを好むかどうか、またどのくらいサイズにするかについて、より良い判断を下すことができるようになるでしょう。