ホールデムのようなコミュニティカードゲームでは、ボード上のカードがショーダウンで見られる可能性の高いハンドに関する重要な情報源となります。ボードのテクスチャーによって、どのペアがありそうか、ストレート、フラッシュ、フルハウスが作れるかどうかが決まります。新しいカードがボードに出る度に、これらの変数に関する新しい情報と、どれくらい強いハンドを持てるか知ることができます🏅
フロップはあらゆるストリートの中で最も多くの情報を得られます。フロップは、ハイカード、スートの数、ペアかどうか、ストレートやフラッシュを作れるかどうかなど、様々な分類方法があります。
ターンカードを分析するとき、最も重要なのは「何が変わったのか」ということです。
フロップでは作れなかった新しい役は何か。どのプレイヤーのレンジにも大きく影響しそうにないカードでさえ、重要な情報となります。フロップですでに強かったハンドは、ターンであまり関係ないカードが落ちることでより強くなり、ドローや何もないハンドは残り1回しかチャンスがないことで弱くなります。
レンジアドバンテージ
レンジアドバンテージとは、異なるプレイヤーのレンジが互いにどのように影響し合うかを分析する方法です。レンジアドバンテージには大きく分けて2種類あります。
- エクイティアドバンテージ – エクイティはレンジ間でどのように分布しているのか。どのプレイヤーがエクイティを多く持っていて、その差はどのくらいか。エクイティアドバンテージはベット頻度と相関する傾向があります。プレイヤーのレンジが強ければ強いほど、ベット頻度が高くなります。
- ナッツアドバンテージ – 各プレイヤーが最強のハンドを持つ確率、また、その差はどの程度あるか。ナッツアドバンテージはベットサイズと相関する傾向があります。相手に比べてナッツ級のハンドを持っている可能性が高いプレイヤーほど、大きなベットでポットを大きくしようとします。
フロップでのプレイヤーのエクイティは、可能性のある全てのターンでのエクイティの平均です。ターンで新しく出たカードがどれだけ有利かによってエクイティが増減し、それに伴ってベット頻度も増減します。
ナッツアドバンテージはより二元的です。フロップのアクション後、あるプレイヤーがナッツアドバンテージを持っており、ターンの結果次第でそのアドバンテージを維持するか失うかのどちらかになります。ボードのテクスチャーを大きく変えないターンカードでは大きなベットをし、ボードのテクスチャーを変えるターンカードでは小さなベット(ナッツアドバンテージを得たプレイヤーからベットされることもある)をする傾向があります。
前のストリートでのアクション
ターンのテクスチャーを分析する際には、プリフロップとフロップのアクションを念頭に置くことが重要です。
フロップで大きなアドバンテージを持っていたプレイヤーは、ターンで相手に新たなナッツハンドの可能性が出て、多少不利になったとしてもそのアドバンテージを保ち続けます。
アグレッシブさはナッツアドバンテージと相関します。ベットやレイズをしているプレイヤーは、チェックやコールをしているプレイヤーよりもナッツハンドを持っている可能性が高くなります。プリフロップでレイズし、フロップでCベットをしたプレイヤーはターンでもナッツアドバンテージを持つことが多くあります。多くのターンカードでは、プレイヤーは大きくベットするかチェックします。
プリフロップのアグレッサーは、フロップをチェックした場合、ナッツハンドはあまり持っていません。フロップでのナッツアドバンテージの大きさによっては、ターンでもそのアドバンテージを維持できるかもしれないですが、多くの場合そのアドバンテージは減少します。
例
NL500の100BBキャッシュゲームで、先ほど紹介したターンの原則を見ることができます。UTGがオープンし、BBがコール、K♠ 8♠ 7♥のフロップで33%ポットのCベットをし、BBがコール。この時点でUTGにはナッツアドバンテージはありますがエクイティアドバンテージはありません。BBはかなり強いハンドはレイズし、かなり弱いハンドはフォールドするため、BBのコールレンジにかなり弱いハンドはほとんどなく、中程度の強さのハンドが多いコンデンスレンジなのに対し、UTGのレンジは非常に強いハンドと比較的弱いハンドで構成されています。
UTGのターン戦略にどのような影響があるか振り返ります。
- あまり関係のないターンカードでは、サイズは大きく、ベット頻度はあまり高くならない傾向があります。
- UTGのナッツアドバンテージを否定するようなターンのカードでは、ベット額は小さくなり、ベット頻度も少なくなる傾向があります(ターンがどのようにエクイティ分布を変えるかによって変わりますが)。
- UTGのナッツアドバンテージが維持され、エクイティが増加するターンカードでは、ベットの頻度が高くなり、多くの場合ベットサイズは小さくなります。
BBがチェックした場合の、ターンでのUTGの戦略をまとめたレポートです。
いくつかのパターンがあります。
- UTGはスペードが落ちた時、常に小さなベットをします。BBはフラッシュを作ることができ、UTGのナッツアドバンテージをなくします。唯一の例外は7sで、ボードがペアとなるとUTGのレンジにはクワッズやフルハウスが多くあるので、このカードではオーバーベットをすることができます。
- ストレートを完成させるカードも同様に機能しますが、BBがストレートのコンボを持つことは少なく、その効果はそれほどありません。BBはプリフロップで96oをフォールドし、フロップでは96sはほとんどレイズするため、ターンでストレートの可能性はあるものの、かなり低くなっています。
- UTGはスペード以外のA、K、Qが出ると、最もベット頻度が高くなります。これらのカードはストレートやフラッシュを成立させず、UTGのエクイティを向上させます。UTGのフロップのベットレンジにはブロードウェイが多く占めており、ターンで強くなっているハンドが多くあります。特にAがターンで出ると、UTGのエクイティを向上させるものの、オーバーベットのブラフ候補が少なくなり、AxやKxでシンバリューをとるより小さなサイズが多く使われるようになります。
- 最も関係のないターンカードはスペード以外のホイールカード(2,3,4,5)であり、ドローを完成させるものでも、UTGのレンジの何もないハンドをよくするものでもありません。このようなカードでは、UTGはほとんどチェックかオーバーベットをします。
- ペアボード(7,8)になると、BBはトリップスになる可能性が高くなります。その結果、UTGがこれらのターンカードではベット頻度は減少しますが、7♠と同様、フルハウスとクワッズのアドバンテージがあるためオーバーベットの頻度が少しあります。
BBはフロップでチェックコールした後、ほとんどのターンカードでチェックします。唯一の例外は、BBのレンジに新たなナッツハンドを加えるカードです。
これらのターンカードはUTGにとって不利であり、BBがベットするインセンティブを持ちます。また、UTGはそれほど多くベットすることはありません。
この記事では「集合」レポートを多く使用しています。使い方についいてはこちらの動画をご覧ください。
フロップがチェックで終わった場合
UTGがフロップをチェックしたとき(おおよそ25%)のことを考えてみます。UTGのチェックレンジはベットレンジよりやや弱いものの、全てが弱いハンドではありません。実際、UTGはフロップでかなり弱いハンドの多くをベットしているため、UTGのチェックレンジはむしろコンデンスされており、ペアが多く含まれています。
UTGのプリフロップのレンジはBBのレンジよりはるかに強いので、多少弱くはなりますがチェックした後のターンでも、エクイティアドバンテージとある程度のナッツアドバンテージの両方を保持しています。つまり、一般的にターンでのBBのベット頻度は低く、ベットサイズも小さくなります。
フロップチェック後のレポート。今回はBBの視点からの戦略を示します。
ベット頻度は低くなっていますが、BBがベットするのに最適なカードは、ボードのテクスチャーを変えるカードです。実際、これらのカードはUTGがフロップでチェックした後、BBにとってさらに有利になります! UTGはフロップでフラッシュやストレートドローを多くベットしているため、これらの役が完成するカードがターンで落ちた時はBBが有利になります。
フロップでのアクション(ベット)は多くの場合、ボードに絡んでいるハンドで行います。
UTGのフロップチェックレンジのドローの内訳は以下の通りです。
フロップでベットしていないということは、UTGがドローを保持している可能性が低いことを示しています。BBのフロップのチェックはレンジ全体でしているため、UTGとは違い、ドローが多く含まれています。従って、フロップのチェック後にターンでドローが完成すると、BBはナッツアドバンテージを獲得し、オーバーベットをすることができます。これはUTGがフロップでドローをチェックしたとしても同様にBBはオーバーベットします。
BBが2回目のチェックをした場合、ナッツアドバンテージがそれほどないため、UTGのベットサイズは小さくなること多いです。主な例外はブロードウェイカードであり、このカードはUTGのレンジを最も強くし、新たなナッツハンドを加えることになります。
まとめ
レンジの差はUTG対BBでは最も顕著であり、紹介した例はUTGにとって特に良いフロップです。紹介したパターンを常に見られるわけではありませんが、基本的な原則はどのような状況でもターンカードの評価に役立ちます。ターンのカードを分析する前に、エクイティとナッツハンドがどのように分布されているかを明確に理解することから始め、次にターンがそれらの分布をどの程度変えるかを考えるとよいでしょう。