BvBのOOP戦略|フロップでチェックコールした後どう戦うか
(本記事では、アクションを次のように表記します。X=チェック、C=コール、B=ベット、R=レイズ。たとえば「XC-X-B」は、フロップでチェックコール→ターンでチェック→リバーでベット、という流れを表します。)
ポーカーをしていると、以下の三つの場面で難しさを感じることが多いのではないでしょうか。
- OOPでのプレイ
- ディープスタック(100bb以上)
- チェックが入るライン(B-X-B、X-B-Bなど)
今回扱うのは、オンラインキャッシュのプレイヤーなら何度となく出くわす、この3つがすべて重なる場面です。SB対BBのSRPで、OOPのプリフロップレイザーが「XC-X-?」のラインを戦うスポットです。中でも、ウェットボードや、ドローが完成するカードが落ちたときの立ち回りを掘り下げます。このラインは、ほぼすべてのプレイヤーが程度の差こそあれ間違ったプレイをしています。上級者でさえ、特定のカードが落ちた場面では、GTOの最適解から大きく外れたプレイをしているほどです。
B-X-Bラインのおさらい(エクイティアドバンテージ)
リバーの戦い方を考えるうえで欠かせないのが、どちらにエクイティアドバンテージがあるか、という視点です。エクイティアドバンテージを持つ側は、相手よりメイドハンド(完成したハンド)を多く持っています。だからこそ、シンバリューまで頻繁にベットし、利益を引き出せます。また、あるストリートでベットをコールした側は、たいていエクイティアドバンテージを得ます(ただし、ターンやリバーがベット側に飛び抜けて有利なカードだった場合は別です)。
B-X-Bのラインでは、フロップでコールした側が、ほぼどんなカードが落ちてもエクイティアドバンテージを握り、ベット頻度が高くなります。お互いのレンジが広く、そのカードがどちらか一方を大きく利するわけでもない局面では、なおさらです。
このスポットの何が特別なのか
このスポットは、B-X-?やX-XC-?といった近いラインとは、少し違った戦い方になります。カギは、OOP(SB)のレンジ構成にあります。多くのボードで、OOP(SB)のレンジは、BTN対BBの場合よりもキャップされ、ハイカードやショーダウンバリューのハンドに偏ります。
理由は、両者のプリフロップの違いにあります。BTN対BBでは、フロップでコールするBBは、プリフロップでもコールしていた側です。ところがSB対BBでは、OOPは自分からレイズして攻め込まれる側に回ります。その結果、AKやAQのようなハンドを持つOOPは、たとえウェットで怖いボードでも、フロップのスタブ(OOPがCBをスキップし、そのストリートでIPがベットすること)をいったん受け止めてから、ターンを迎えることが多くなります。
SB対BBのSRPで、OOPのプリフロップレイザー(PFR)が、ポット50%のフロップスタブをチェックコールするスポットを考えてみましょう。このとき、チェックコールしたPFRのレンジは、ハイカード中心になります。OOPのハイカードは、スタブを打つ相手のレンジに対して、十分なエクイティを持つからです。これがBTN対BBになると事情が変わります。ハイカード帯は、より強いハイカードを含むIP(PFR)のCベットレンジに対してエクイティが乏しく、たいていオーバーフォールドを強いられます。
ローボードでのチェックコール(XC)
まずは、ブラインド同士のSRPで、963rのようなローボードでのXC戦略から見ていきましょう。
下の図が、スタブに対するOOPの反応です。963のようにローカードのレインボーボードでは、OOPは何もないハイカードを数多くコールに回します。後のストリートでペアになれば、ショーダウンに持ち込んだり、バリューベットしたりしやすいからです。さらにレインボーボードでは、OOPがミドル〜ローのペアをより多くCベットする、という背景もあります。
ここで比較するため、963ttでのスタブに対するOOPの反応も見てみましょう。
OOPはフォールドがやや増え、コールが減っているのが分かります。よく見ると、K8s、K4s、A7sといったハイカードの多くがフォールドに回っています。ツートーンボードではドローの完成するカードが増えるぶん、ペアになっても後のストリートでバリューを狙いにくくなるためです。
その結果、ツートーンボードでは、OOPはショーダウン寄りのハンド(強いAハイ、ロー〜ミドルのペア)でフロップでXCします。一方、レインボーボードでは、バックドアを持つ弱いハイカードのエアーを、より多くフロートします。この違いがB-X-Bのラインにどう響くか、実際の数字を見ながら確かめていきましょう。
下の図は、先ほどの2つのボードについて、レンジの比較を示したものです。左が9♠6♠3♣ 2♥5♦、右が9♠6♥3♣ 2♣5♦です。2つはほぼ同じボードで、リバーまでフラッシュが完成しない点も共通しています。唯一違うのは、フロップがツートーンだったことです。下の画像は二つとも左がSBのレンジ、右がBBのレンジです。
ツートーンのボード(左)は、レインボーのボード(右)と比べて、レンジの内訳で何が違うでしょうか?
私がツートーンのボード(左)で違いを感じたのは、次の点です。
- OOPはオーバーペアとトップペアが多く、IP側はトップペアがかなり少なくなります。
- ローカードのレインボーボードなら、IPはターンでもトップペアでバリューベットし続けます。一方ツートーンボードでは、OOPのXCレンジに強いトップペアやオーバーペアが多く含まれるため、IPは中くらいの強さのトップペアでベットしづらくなります。
- OOPのエアー(Aハイ以下)は、ツートーンボードで大きく減ります。
- ウェットボードではハイカードの価値が下がる、という先ほどの話と繋がっています。
要するに、ウェットボードでは、OOPはフロップでエアーをXCすることが減ります。ただし、ここで先を急いではいけません。「レンジが狭くなったのだから、高頻度でベットすべきだ」と考えたくなりますが、そうとは限りません。思い出してほしいのは、ベットする価値があるのは、ベットでEVが増えるハンドだけだということです。レンジがプロテクトされているからといって、シンバリューベットでそのまま儲かるわけではありません。シンバリューのハンドが利益を生むのは、格下のハンドからかろうじてコールを引き出せるよう、小さくベットしたときだけです。
OOPのリバーチェックレンジの構築
963♠♠ 2oT♠でのXC-X-?のラインを考えてみましょう。
ツートーンのフロップでチェックコールしていれば、リバーではエアーが減っているのは確かです。しかし、フラッシュが完成すると、中途半端な強さのハンド(77、6x、3xなど)はもはやバリューベットできません。ハイカード帯を見てみましょう。
ハイカード帯について、押さえておきたい点が2つあります。
- IPはトップペアで圧倒的に有利です。OOPはJToやQToでフロップをあまりXCせず、フロップのスタブに対してXR(チェックレイズ)かXF(チェックフォールド)に回すことが多いからです。
- OOPはローペアとAハイが、IPより明らかに多くなります。
このようにOOPは大きなエクイティアドバンテージ(水色)を持っていますが、リバーのTに対しては、KやAのときよりも高い頻度でIPがベットをしてきます。そのぶん、こちらはチェックする狙いが強まります。逆に、IPがベットしにくいカードでは、ベット頻度を増やす必要があります。
OOPの戦略でとりわけ目を引くのは、フラッシュの扱いです。
OOPはフラッシュのコンボを、半分以上の頻度でチェックしています。 とりわけチェックに回しやすいのは、AX♠♠です。中でもA♠K♠や、キッカーの低いコンボがそうです。一方、QやJを含むフラッシュのコンボは、高い頻度でベットします(Q♠J♠はピュアベットになっています)。
なぜでしょうか。IPがベットするレンジを考えてみましょう。フロップでベットするQToやJToは、♠を1枚持つ組み合わせのほうが、♠を持たない組み合わせより、はるかに高い頻度でリバーに辿り着きます(♠を持てばフラッシュドローとしてベットに回しやすいからです)。したがって、こちらがQ♠やJ♠を含むフラッシュを持っているときは、その分だけ相手のQTo/JToを減らせるため、ベットされる可能性が大きく下がります。さらに、A♠7♠やA♠4♠のようなハンドのときは、Tが♠であるおかげで、相手のTxのコンボを消さずに残せます(アンブロック)。
アンブロックといえば、もうひとつ関連する考え方があります。エアーをアンブロックするという発想です。IPが♠のないブラフ候補のハンドを持っている場合、この種のエアーは、リバーでブラフをするために、ターンはチェックすることが多くなります。♠を持つ似たハンドより、その傾向は強くなります。ターンでのブラフ選びでは、フラッシュドロー(およびそれをブロックするオフスートのハンド)が優先されやすいからです。
ターンでX-Xで進んだ後は、♠を持つメイドハンドをOOPでチェックし、トラップとして使うほうが得になります。リバーでフラッシュが完成するかどうかは関係ありません。たとえば、K♦Q♦でフロップでXCし、ターンはチェックで回ったとしましょう。このとき、こちらはQ♦7♦やK♦8♦のような、ターンでスローダウンしてリバーでブラフに来るかもしれないハンドをブロックしています。そのぶん相手は、ショーダウンを目指すハンドを持っている可能性が高くなります。
練習問題
ここまでの内容を土台に、今度はOOPに有利なカードが落ちた場合の、ベットレンジの組み立て方を見ていきましょう。こうしたカードでは、ベット頻度も自然と高くなります。
OOPのリバーベットレンジの構築
XC-X-Bのラインは、ほとんどの場合、小さいベットが中心になります。理由は主に3つあります。
- OOPのフロップでの強いハンドは、チェックレイズに多く回ります。その結果、チェックコールレンジは、ローのペアやショーダウンバリューを持つハイカードに絞られます。
- IPのベット→チェックのレンジは、ターンで諦めたエアーが多くを占めます。ターンやリバーでIPが拾ったAハイ・Kハイやローのペアからバリューを取るには、小さいベットが効果的です。
- リバーでも、ナッツ級のハンドは自分から大きく打たず、チェックレイズに回します。
主な例外は、特定の強いハンドをIPよりはるかに多く持っていて、IPがベットしにくいときです。分かりやすいのが、963 6Jのようなフラッシュのないボードで、IPがフロップを大きめのサイズ(ポット75%など)でベットした場合です。IPはこのサイズのレンジに6xが薄いため、6のトリップスはIPの方が多くなります。
ハイカードのリバーでは、OOPに絡むハンドが増えます。では、それはベット戦略にどう影響するでしょうか。
思い出してほしいのは、このラインでのこちらのレンジは、大半がハイカード、ロー〜ミドルのペア、ドローのいずれかだという点です。イメージをつかむために、先ほどの963ttボードに戻りましょう。9♠6♠3♣ 2♥Q♦だとします。ここでトップペア以上は、OOPのレンジのわずか18.6%にすぎません。対して、2番目〜5番目のペアが40.6%を占めます(しかも、2番目・3番目のペアの多くはバリューベットに回ります)。
このスポットは、次のようなミスで台無しにしやすい典型例です。
- ベット頻度が高すぎる/トラップが足りない。
- 大きいベットを打ちすぎる(レンジのうちシンバリューがどれだけあるかを考慮していない)。
- 強いハンドをすべて、大きいベットのレンジに集めてしまう。
このラインでオーバーベットを持つこと自体は、十分に理にかなっています。ただ大切なのは、レンジ全体を視野に入れておくことです。リバーでいいペアになったからといって、すぐにオーバーベットのボタンに飛びついてはいけません。レンジの多くは、チェックやブロックに回したいハンドです。リバーで強いメイドハンドを引いたときこそ、つねに「トラップ」を選択肢に入れ、その手をそうしたチェック側のレンジに振り分けることを考えましょう。振り分けには、キッカーとRNG(乱数)を使います。
たとえば、先ほどの例でオフスートのQがリバーに落ち、AQを持っていたとします。ときにはチェックでトラップを仕掛けるべきです。相手がベットしてきたら、すかさずレイズしましょう。このハンドのいいところは、キッカーのAが相手のチェックバックをブロックすることです。一方、Q6sなら、6xのようにシンバリューを取れる弱めのハンドと一緒に、ブロックのラインに回すとよいでしょう。
復習問題
フラッシュの打ち方で、アンブロッカーが関わってくる話をしました。では、シンバリューのハンドが選ぶラインでは、アンブロッカーはどんな役割を果たすでしょうか。
まとめ
戦略に関する重要なポイントをいくつか挙げます。
- OOPのときは、ベットレンジとチェックレンジを正しく組み立てるのに、より頭を使います。だからこそ、じっくり時間をかけましょう。
- さらにOOPには、チェックレイズという選択肢もあります。
a) ソルバーや理論について普及した今、誰もがいたるところで大きくベットしたがります。弱い相手に対しては、エクスプロイト的にそれが有効なことも多いでしょう。ですが、レンジの大半がショーダウンを目指すハンドで占められているなら、わざわざリバーで200%ポットのベットレンジを作るより、チェックレイズでオールインしてしまえばいいのではないでしょうか。
b) サイズを決める前に、レンジ全体を見渡しましょう。レンジの大部分が中途半端なバリューで、強いのはわずかなフラッシュだけ、というスポットでは、OOPでB25かXを選ぶだけで十分なことがよくあります(まさに本記事で扱ってきたとおりです)。こうしたスポットでは、チェックレンジを自分で台無しにしかねません。ハンドの大半が比較的弱いのに、OOPでオーバーベットのサイズを作ろうとするせいで、チェックレンジに強いハンドが残らなくなります。 - リバーでのベット頻度は、フロップで受けたベットサイズと強く相関します。
a) 大きいベットをチェックコールしたほど → レンジは強くなる → ベットを増やす
b) 小さいフロップベットをチェックコールした場合は、レンジに多く含まれるハイカードに見合うよう、トラップを多用すべきです。 - チェックが入るラインを戦ううえで、アンブロッカーは極めて重要です。 相手の諦めレンジが、スートの絡まないカードで構成されやすいからです。











