3ウェイポットでのプローブベット戦略
はじめに
以前公開したDarren Weeの記事ではヘッズアップでのプローブベットを扱い、プリフロップレイザーがCベットをスキップした場合のレンジについて考察しました。
「相手のレンジはある程度キャップされています。ナッツ級のハンドはポットを膨らませたいのでCベットを打つことがほとんどです。フロップでベットしなければ、リバーまでに大きなポットを作るのは難しくなります。したがって、オーバーペア、セット、トップペアといった多くのコンボをレンジから除外できます。」
つまりヘッズアップでBBがコールしたあと、プリフロップレイザーがCベットを打たなければ、そのレンジはある程度キャップされている、と言えます。
BBはターンでナッツアドバンテージを持つことが多く、場合によってはエクイティアドバンテージもあります。BBのレンジの一部はアグレッサーになるインセンティブがあります。
では、この考え方は3ウェイポットにどこまで通用するのでしょうか?
プリフロップレイザーが最後にアクションするポジションではない場合、ナッツ級のハンドもチェックに回すことがあります。そのため、フロップが全員チェックで回っても、レンジがそれほどキャップされているとは言えません。
マルチウェイでBBのターンプローブ戦略はどう変わるのか。どのボードとターンカードでプローブすべきか。ベットサイズはどう決めるか。見ていきましょう。
まずは仮説を立てる
課題が決まったら、私はまず仮説を立てるようにしています。どういったプレイになるかある程度想定しておくと、想定外の結果が出た時に「掘り下げる価値のある部分」を見つけることができるからです。事前に考えていないと、何が想定と違ったのかわかりません。
以下のフロップとターンカードを見てください。100bbのキャッシュゲーム、BB-CO-BTNのSRPで、BBがプローブベットを打つ頻度の高い順に並べ替えてみてください。順位付けが難しければ、プローブ頻度の高い・低い・ゼロの3グループに分けるだけでも構いません。あるいは、BBが小さめのサイズか大きめのサイズかどちらを選ぶかで分類するのもいいでしょう。
仮説を書き出したら、下の画像の左側にカーソルを合わせて右にスライドさせると、実際のデータが表示されます。予想がどれくらい当たっていたか確認してみてください。


外れた仮説
次のような仮説を立てました。
ターンプローブの主な役割の一つはナッツアドバンテージを活かすことです。また、強いハンドはフロップベットレンジに偏る傾向があります。だとすればCOもBTNもあまりベットしないボードでは、IPプレイヤーのチェックレンジに強いハンドが残りやすくなるはずです。そうなればBBのターンプローブも減るのではないか。
ところが結果は違いました。サンプルのフロップは網羅的ではないものの、ボードテクスチャには十分なバリエーションがあり、BBのターンプローブ戦略にもさまざまなパターンが見られます。それでもCOとBTNのフロップ頻度はサンプル全体でほぼ一定です。COはほとんど常にチェックし、BTNはレンジの約半分を毎回ベットします。例外は一つのボードテクスチャだけで、そこではCOがレンジの半分をベットし、BTNはほぼチェックに回ります。
この仮説からはすぐに役立つ発見は得られませんでしたが、それでも記事に含めることにしました。こうした行き止まりも研究プロセスの一部だからです。
何が真実で深掘りに値するかを見極めるには、深掘りに値しないものを排除する作業が欠かせません。
とはいえ違うことがわかると、新しい仮説につながることもあります。ソルバーはCOからプレイする時にレンジ全体をチェックするので、レンジがほぼキャップされません。BTNのチェックレンジはそれなりにキャップされていますが、COがそうではないため、BBはブランクのターンで安易に攻めることができません。
しかし、人間は異なるプレイをすることが多いでしょう。ドローでまくられるのを警戒して、強いハンドの多くをベットに回すプレイヤーが少なくありません。もし対戦相手がそうしたタイプなら、エクスプロイトとしてターンプローブをよりアグレッシブに打てる可能性があります。本記事ではここまで踏み込みませんが、ノードロックを使って自分で確かめてみるのも良いでしょう。
フロップを見極める
BBのターンプローブ戦略に影響を与える要素の一つが、フロップのテクスチャです。あるフロップで全員チェックで回ると、ターンカードがBBに有利でなくてもプローブが発生します。K77rと765ttがその例です。
一方、ターンカードがボードテクスチャを変えるかどうかにかかわらず、BBがプローブしないフロップもあります。T98rとK76mがその例です。
K77rと765ttでターンプローブに傾く要素は何でしょうか?逆にT98rとK76mはプローブ頻度が低いのはなぜでしょうか?
ヒントが必要な方は、下のエクイティグラフをご覧ください。
ただし、これらは必ずしもBBにとって全体的に「良い」フロップというわけではありません。特にK77rでは、BBは弱いハンドも多く持っています。しかし、プローブを決定するのはレンジの弱い部分ではありません。
BBはプリフロップで最も弱いレンジを持っており、ボードを問わず多くの最弱ハンドは諦めることになります。BBがターンプローブを打つ動機が生まれるのは、少なくとも相手と同じくらい強いハンドをレンジに含む時です。
K77ではボードがペアになっているおかげで、BBにはトリップスのコンボが多くあります。765では、相手が作れないストレートやツーペアのコンボをBBが多く持っています。
ターンを見極める
フロップでBBに必要な武器が揃っていても、誰もベットしなかった場合のプローブ頻度とサイズは、ターンカードで大きく決まります。最もわかりやすい例が、ターンでボードがK♠7♦6♣ 5♦になるケースです。BBはこのボードで常にアグレッシブにプローブしますが、フロップに何があったか、そしてターンに何が落ちたかが重要になります
カードは同じだが順番が違う
K765
K♠7♦6♣フロップが全員チェックで回った場合、5♦はBBにとって絶好のターンカードです。BBだけが持てるストレートやツーペアが生まれるため、プローブする時はほぼ100%ポットサイズのみでベットします。
765K
7♦6♣5♦はBBに非常に有利なフロップですが、誰もベットしないままターンにK♠が落ちると、状況はそれほど良くありません。Kがフロップですでに出ていた場合に比べ、この順序ではBTNのフロップチェックレンジにKxが大幅に多く含まれます。そのため、プローブに対してディフェンスしやすくなります。BBは依然としてナッツアドバンテージを持っており、プローブ頻度は5♦ターンの時とほぼ同じです。ただしベットサイズは100%ポットと67%ポットでほぼ半々に使い分けます。ナッツアドバンテージが弱まっていることの表れです。
K♠7♦6♣はBBにとってそれほど有利ではないフロップなので、プローブするかどうかはターンカード次第です。5♦のようにナッツアドバンテージを与えるカードが必要で、2♣のようなブランクでは不十分です。実際、2♣ターンでは、相手にはないツーペアをBB自身が持っていてもレンジ全体をチェックします。ベットレンジをセットだけに絞るためです。
ここで重要なのは、COがレンジ全体をチェックしている点です。その中にはBBが絶対に持てないナッツも含まれます。だからこそBBがベットレンジを作るには、ボードテクスチャを変えるターンカードが必要なのです。
プローブベットのサイズ
これまで見てきたサンプルで、BBが選ぶプローブベットはほぼ例外なく大きいサイズです。多くの場合100%サイズになります。これには理由があります。フロップが全員チェックで回った後、IPプレイヤーに対してBBがエクイティアドバンテージを持つことはほとんどないからです。BBがターンをプローブする目的は主にナッツアドバンテージを活かすことで、それには大きくポラライズされたベット戦略が最も効果的になります。
ただ、このパターンから外れる目立った例外があります。T75rです。このフロップはIPプレイヤーにそれほど有利ではありません。それでもBBはブランクのターンでほとんどプローブせず、打つ時も小さめのサイズを選びます。ターンに6が落ちると頻度は大きく上がりますが、それでも小さめのサイズが中心です。
T756rでBBはナッツアドバンテージを持っていますが、そのアドバンテージはレンジの弱い側でより顕著です。ここでは強いワンペアだけでなく、ペア+ドローというロバスト(堅牢性のある)エクイティを持つハンドもあります。マルチウェイポットでは特に重要な性質です。たとえば54でベットすれば、COのA5を降ろしつつ、BTNのコールレンジに対しても十分なエクイティを保てます。
BBは大きなサイズを使っていませんが、ナッツアドバンテージはここでも有効に働いています。相手にとってレイズが危険な選択肢になるからです。他のボードでの大きなプローブベットと比べると、BBの小さめのプローブレンジはよりリニアです。レイズされるとEVを失うドローや中程度の強さのハンドが含まれているからです。
こうした相手からレイズされやすいハンドを、BBのナッツ級ハンドでバランスを取ります。ナッツ級ハンドはレイズされるとむしろEVが上がるからです。レイズされたいハンドとレイズされたくないハンドが混ざっているため、相手はBBの小さなターンプローブをレイズすべきかどうか、どちらを選んでも得しない難しい判断を強いられます。
まとめ
3ウェイポットはヘッズアップポットと重要な点で異なり、ヘッズアップで学んだ考え方をそのまま当てはめるのは危険です。
BBからのプローブベットがまさにその一例です。3ウェイポットでフロップが全員チェックで回っても、ヘッズアップの時ほど自信を持って「相手のレンジはキャップされている」と判断することはできません。だからこそ、ターンをプローブするかどうかはより慎重に判断する必要があります。
多くの場合、フロップが全員チェックで回るだけでは足りず、ターンカードがBB有利になって初めてプローブレンジを作れます。ただし例外もあります。トリップスやストレートをBBが多く持てるようなフロップでは、ブランクのターンでもプローブが成立します。
BBの狙いはナッツアドバンテージを活かすことなので、プローブベットは通常大きくポラライズされます。ただし、BBと相手のレンジがエクイティ面で接近しているフロップでは、小さめのターンプローブ戦略が採用される場合もあります。ただしこの場合も、BBのレンジにナッツ級のハンドが含まれていなければ、小さめのプローブはレイズに対して脆弱になります。この点には注意が必要です。











