滑ったフラッシュドローはブラフして良いのか?
フロップでフラッシュドローを持っていると、リバーまでに強いハンドへ発展する可能性が高く、多くのプレイヤーにとって心強い状況と言えるでしょう。しかし、リバーでフラッシュが完成せず、それまでのストリートで多くのチップをつぎ込んできたにもかかわらず、手元に残っているのはエアーか弱いワンペアにすぎない、というケースも少なくありません。
こうした場面では、この大きなポットを何とか勝ち取ろうとして、リバーでブラフを打ち過ぎてしまうことも多いでしょう。
戦略を理解しているプレイヤーなら、フラッシュドローが滑った時は、リバーでは諦める場面が多いことを知っています。その理由はシンプルです。自分がフラッシュドローを外しているということは、相手も同じくフラッシュドローを外している可能性が下がり、結果として、こちらのブラフにフォールドしてくれるエアーが、相手のレンジから大きく減ってしまうからです。
こうした場面で生じる「ブラフしたくなる心理的な圧力」を抑えるうえで役立つ指針ではあるものの、ブラフするべき例外も存在します。そして、その例外を正しく見極められるかどうかが、強いプレイヤーの重要な資質となります。
私が分析したところ、フラッシュドローが滑ったときでもブラフするべき場面が2つあることがわかりました。この記事では2つのシナリオを見ながら、フラッシュドローが滑った際にリバーでブラフするべき局面を判断するための指針を明確にしていきます。
シナリオ①:ターンでのチェックバック
UTG対BBのSRP、スタックは100bbの状況を例に紹介します。フロップはA♠J♥5♠のツートーン。ここではUTGは高頻度でベットをし、様々なベットサイズを使用します。この例ではUTGが約3/4ポットサイズでベットし、BBがコール。ターンは7♥。ここでハートがフラッシュドローとなりました。
この7♥のターンで、UTGはオーバーベットも多く選択し、特にナッツクラスのハンドではかなり高い頻度で選択します。また、UTGはバリューコンボが多くあるため、それに合わせてブラフも多くオーバーベットのレンジに組み込まれます。ただ、もしUTGがチェックバックした場合、すべてのドローが外れたリバーの2♦では、BBが高頻度でベットします。
ベットサイズの多くは1/4ポット前後で、トップペアはもちろん、強めのセカンドペアもこのサイズでバリューを取りにいきます。しかし、エクイティ25%未満のハンドに絞って見てみると、この小さいサイズでのブラフのほとんどが「滑ったフラッシュドロー」であることがすぐに分かります。
では、なぜこうなるのでしょうか。その答えは、OOP(BB側)のエアーの構成にあります。UTGがフロップで大きいサイズでベットしたことで、BBはトラッシュに近いハンドのほとんどをフォールドしなければなりませんでした。75%ポットのベットにコールできたBB側の最弱クラスのハンドは、バックドアフラッシュドローがあるガットショット程度で、例外はKQs(どのスーツでもコールする)くらいです。
つまりBBがフロップでノーペアのままコールする場合、少なくとも1枚のスペードを持っています。このリバーでスペードを持っていることはブロッカーとして悪く、スペードでブロッカーとして優れているのは2♠(IPのリバードセットをブロックする)くらいです。
しかし、これらのスペードはブロッカーとして弱いにもかかわらず、他にブラフ候補がほとんど無く、BBには小さいサイズで多くのバリューコンボがあるため、結局これらのハンドがブラフに回ります。さらに「スペード以外」のわずかなエアーは、ターンのチェックバックによってレンジがキャップされたIPを攻撃できるため、むしろオーバーベットで使われる傾向があります。
この例から得られる指針は次のとおりです。
小さいサイズに対して十分なバリューがあり、エアーが少ないのであれば、滑ったフラッシュドローでブラフしてよい
こうした状況は、フロップで大きいベットにコールしたときに特に起こりやすく、ベットサイズが大きいほどその傾向は強まります。例えば、フロップがA♠K♥5♠の場合、IPがオーバーベットをしたとします。OOPがこのオーバーベットにコールし、さらにターンがチェックで回った場合、OOPはリバーでほぼ自身の全レンジでベットできる状況になります。フロップのオーバーベットによってOOPのレンジが大きく絞られているためです。
シナリオ②:OOPがリバーでアグレッサーとなる場合
次のシナリオでは、フラッシュドローが滑った時に大きなベットサイズを使う場面を扱います。
BTN対BBのSRP、スタックは200bbの状況です。フロップはQ♠T♣3♣。BTNがCベットし、BBがチェックレイズ、BTNがコール。ターンは2♠。ここでBBはオーバーベットを多く選択します。このシチュエーションではスタックサイズが200bbであり、BBがアグレッシブなラインを取る際は、よりポラライズするようになります。ターンにおけるBBのレンジはわかりやすく、バリューは2ペア以上が中心である一方、ブラフはさまざまなドローに加え、BTNの強いハンドをブロックできるK3sなどが含まれます。
リバーは9♦。ここでBBはベットする際に、主にオーバーベットジャムを使用します。エクイティ25%以下のハンドに絞って見てみると、ブラフの多くが「滑ったフラッシュドロー」で占められていることが分かります。
なぜ先ほどと違い大きなサイズを使用するのでしょうか?
その理由は、BB側のどのフラッシュドローがリバージャムに適しているか、そしてBTNがターンのオーバーベットにどんなハンドでコールしているかにあります。Kハイのフラッシュドローはリバーでジャムを選ぶ一方(K9sはわずかにショーダウンバリューがあるため除外)、Aハイのフラッシュドローはすべてチェックを選択します。
これはターンでBTNがナッツ以外のフラッシュドローをすべてフォールドしているため、BBがKハイフラッシュドローでブラフした場合にブロックしてしまうBTN側のフラッシュドローのコンボが大きく減っているからです。一方Aハイフラッシュドローでブラフすると、BTNに残っている「滑ったフロントドアフラッシュドロー」をすべてブロックしてしまうため、ブラフとして優れていません。
さらに、両者のターンレンジに多く含まれるKJがリバーでナッツを完成している点も重要です。これにより、BBが滑ったフラッシュドローをリバーブラフに回すべき理由が2つ浮き彫りになります。
- KJがナッツを完成させたことで、BBのレンジにはバリューが追加されています(一部のエアーがナッツに変わっています)。その結果、最初のシナリオと同様に、ブラフに使うエアーを他のところから探さなければいけません。
- K♣がBTNのコールレンジを大きくブロックするため、Kハイフラッシュドローは非常に利益的なブラフとなります。
このスポットから以下のことが学べます。
リバーで相手の滑ったフラッシュドローをブロックしてしまうという欠点があっても、リバーでナッツをブロックするなどの他の有利な要素が、そのデメリットを上回る場合がある。
自分が実際に持っているドローだけでなく、ボード構成上「自分が持ち得た可能性のあるドロー」についても考える必要がある。
まとめ
- 滑ったフラッシュドローをブラフに回すのは、レンジ内の「他のエアー候補」が不足した時に起こりやすい。
- ブロッカーの効果は相対的で、マイナス要素があっても別のプラス要素がそれを上回ることがある。状況に応じて最適なブロッカーを選ぶべきである。
- 前のストリートで大きいベットサイズが使われた場合、滑ったフラッシュドローをブラフに回す状況が生まれやすい。








