キャッシュゲームでOOPの3ベットポットをクラッシュする
皆さんは、プリフロップアグレッサーとしてOOPからプレイする3ベットポットが、キャッシュゲームのセッション中にプレイする全ハンドの約5%を占めていることをご存知でしたか?5%という数字は一見すると少なく感じるかもしれませんが、すでに多くのチップを投入した状態から始めるため、こうしたスポットはウィンレートに大きな影響を与えます。
この記事では、100bb持ちのプリフロップ、そしてフロップのシナリオを検証します。あなたがプレイ中にこのような状況に遭遇した際に、スムーズに対応できるよう必要な知識を全てお届けします。
プリフロップの基礎
そもそも、なぜプリフロップで3ベットするのでしょうか?「全ての強いハンドでポットを大きくしたいから」と答えるかもしれません。し、確かにその通りですが、プリフロップでOOPから3ベットをする理由はそれだけではありません。
プリフロップのプレイを解説する前に、まずはこのシナリオを明確にしておきます。プリフロップアグレッサーとしてのOOPからの3ベットは、SBとBBのみで起こります。
SBからの3ベット
この画像は、100bb持ちでBTNが2.5bbでオープンに対するSBの反応を示しています。まず最初に気づくことは、SBがほとんどコールをしないことです。その代わり、基本的には3ベットかフォールドを選択しています。なぜでしょうか?
SBが3ベットのみを選択するのは、主に3つの理由からです。
- SBは常にOOPでプレイします。BTNのオープンレイズにSBでコールした場合、BBもコールしてマルチウェイになる恐れがあります。その結果、複数の相手に対してキャップされたレンジ(強いハンドを持っていた場合、大きなポットを作るために3ベットしたため)で、マルチウェイポットをOOPでプレイしなければならず、あまり好ましい状況ではありません。
- SBはBBがスクイーズしてくるリスクに晒されます。SBから3ベットをせずにコールすることを選択すると、最強のハンドを持っていないことが全員にバレてしまいます。BBはその弱点に気づき3ベット頻度を高めることで、より多くのデッドマネーを手に入れるチャンスを得ます。その結果、私たちはキャップされたレンジで、さらに大きなポットをOOPでプレイしなければならなくなります。
- キャッシュゲームでは、通常フロップ以降のポットに対して、レーキが差し引かれます。特に低いステークスの場合、レーキは大きな影響を及ぼす要因になります。そのため、OOPでは、できるだけコールをすることを避けたいのです。3ベットをすると、フロップを見る前にポットを獲得し、相手のエクイティを拒否し、通常はレーキを支払わなくて済みます(プリフロップからレーキを取るGGPokerのようなサイトもあるため、GTO Wizard ではGG専用のプリフロップソリューションを提供しています)
SBの3ベットレンジの構成
常にOOPでプレイするため、3ベットレンジは、強いハンドが多いタイトなものである必要があります。具体的なレンジの構成は、オリジナルレイザーのポジションと、スタックサイズに左右されます。
一般的な目安として、スタックが深くなるほど、異なるランアウトにおいてナッツを作ることができるハンド、例えばハイカードのスーテッドハンドなどを選ぶことがさらに重要になります。スタックが深くなるほどオールインをするハンドのエクイティのしきい値が高くなるため、結果としてオールインレンジはよりタイトになります。
オフスーツのブロードウェイハンドなどは、ナッツを作る能力が乏しく、複数のストリートでプレッシャーをかけられた際に耐えることが困難なため、スタックが深くなるほどその価値が下がります。一般的に、オリジナルレイザーのポジションが後ろであればあるほど、彼らのレンジが広いと考えられるため、私たちも広く3ベットすることができます。上の画像から、BTNのオープンに対する、SBの最適な3ベットレンジを見ることができます。
スタックが深くなるほど、異なるランアウトにおいてナッツを作ることができるハンド、例えばハイカードのスーテッドハンドなどを選ぶことがさらに重要になります。スタックが深くなるほどオールインをするためのエクイティのしきい値が高くなるため、結果としてオールインレンジはよりタイトになります。
BBからの3ベット
この画像は、100bb持ちでBTNが2.5bbでオープンした際の、BBの最適な戦略を示しています。ここでは、SBの戦略との大きな違いが2点見受けられます。
- BBは、はるかに多くコールします。その理由は、BBはすでに1bbを投資しており、SBにいた時よりも良いオッズでポットに参加できること。そして、アクションが最後となるため、後ろのプレイヤーからスクイーズされる可能性を考慮する必要がないからです。
- BBは強いハンドのみで3ベットをするわけではありません。レンジの上位は、SBのレンジの上位と非常に似ています。それらは100%3ベットするTT+、AJs+、そしてAQo+です。これらのハンドは、OOPからプレイする場合でも大きなポットを作り出したい最強クラスのハンドです。そして、BBではより多くコールすることができるため、SBが通常BTNに対して3ベットするハンドの多くは、BBではコールを選択します。その理由は、A9s、K8s、66などのハンドは、BTNから4ベットされることを避けたい上、3ベットをしても大きな利益には繋がらないからです。これらのハンドは、3ベットブラフするには強すぎるが、バリューとして3ベットするには弱すぎます。
そして、相手にエクスプロイトされないために、弱いハンドでも3ベットをする必要があります。多くの中程度の強さのハンドでコールをするため、コールレンジの下位に位置するハンドのみではないにしろ、それらのハンドをより3ベットブラフとして採用する傾向にあります。これらのハンドは、主に十分なプレイアビリティとBTNの強いハンドに対するブロッカー効果を持つものです。
ブラインドからの3ベット頻度の目安となる、以下の画像を作りました。
ポストフロップ – OOPでの戦い方
OOPでのプレイは、時に非常に厄介です。これは主に、最初にアクションを取らなければならず、それによりエクイティを実現することが困難になるからです。また、フロップには非常に多くのテクスチャーが存在するため、どこから始めればよいのか分からないことは、フラストレーションが溜まる原因にもなります。
ですが、心配は要りません。これから紹介する原則を押さえれば解決できます。
3ベットプレイヤーのポジション別の比較
100bbの3ベットポットでは、OOPとIPの間に2つの大きな違いがあります。下の集計レポートで、SB対BTNの3ベットポット(プリフロップアグレッサー=OOP)、とBTN対COの3ベットポット(プリフロップアグレッサー=IP)で比べると、その違いは一目瞭然です。
- OOPの3ベットプレイヤーの平均的なチェック頻度は、IPの3ベットプレイヤーに比べてかなり高くなっています(全てのフロップで、33.9%対19.7%)。これは、OOPがすべてのストリートにおいて、情報収集とエクイティの実現の両面で不利な立場に置かれるからです。先にアクションを取らなければならないため、相手は常に私たちのレンジについて多くの情報を得ます。このような状況下では、頻繁にポットを大きくすることは望ましくはありません。
- OOPは比較的大きなベットサイズを使用するのに対し、IPは比較的小さなベットサイズを使用します。その理由は単純で、同じサイズのベットに対して、IPはOOPよりも多くのハンドでコールすることが可能だからです。IPはより多くフロートし、より多くのエクイティを実現し、OOPのレンジについても多くの情報を得ることができます。一方で、逆の状況であるCO対IPのBTN3ベットプレイヤーの場合、COはエクイティを実現することが難しく、IPと比べて多くのハンドをフォールドしなければならないため、IPはより小さなベットサイズを使用します。
フロップテクスチャーのグループ別け
テキサスホールデムには22,000以上のフロップが存在し、そのうち戦略的に異なるものは1755通りあります。全てのポジションで、この1755通りあるフロップを一つ一つ確認していくのは効率的ではないため、1755のフロップを代表する8つのグループを作成しました。経験を積むにつれ、サブグループを作ることでさらに細かく学ぶこともできますが、スタート地点としてはこれで十分でしょう。
OOPの3ベットプレイヤーとしてのフロップのプレイ方法をより深く理解するために、上記のチャートにある2つのレインボーフロップを、SB3ベットプレイヤー対BTNコールプレイヤーの視点から詳しく見ていきます。
ブロードウェイカードが2枚のフロップ: KQ2r
複数のブロードウェイカードがあるフロップでは、通常3ベットプレイヤーが大きく有利になります。KQ2rでは、どのような展開になるかを見ていきましょう。
KQ2rのSBの3ベットプレイヤーのCベット戦略を見ると、次の2点が際立ちます。
- 3ベットプレイヤーのCベット頻度が非常に高く、この場合ではレンジの100%でベットをしています。
- OOPの3ベットプレイヤーは、主に小さいCベットサイズを使用しています。
しかし、なぜそのようになるのでしょうか?この戦略を理解するために、「レンジタブ」を使って、このフロップのテクスチャーを詳細に分析していきます。
- SBは70-100%のバケツにおいて、大きなアドバンテージを持っています。
- BTNは0-70%のバケツで多くのハンドを持っており、特に0-25%のバケツでその傾向が顕著です。
エクイティーチャートは視覚化のための優れたツールで、このチャートから、3ベットプレイヤーがレンジ全体において十分なアドバンテージを持っていることが見て取れます。SBの最強のハンドはBTNの最強のハンドよりも強く、SBの中程度の強さのハンドはBTNの中程度の強さのハンドよりも強く、最弱のハンドでさえもSBのハンドの方がBTNのハンドよりも強いのです。
エクイティバケツからハンドバケツに切り替えてみると、さらに実用的な視点が得られます。
- SBの3ベットプレイヤーは、セット、オーバーペア、そしてはるかに多くのトップペアを持っています。
- BTNのコールプレイヤーは、サードペアや、はるかに多いエアーハンドを持っています。
レンジタブは、このフロップにおけるSBの3ベットプレイヤーが持つアドバンテージがいかに大きいのかを明確に示しています。
- SBのレンジは、主に強いハイカードと中程度からとても強いポケットペアを中心に構成されています。一方BTNのレンジは、ローポケットペアと、ミディアム-ハイカードのハンドが中心となっています。
- レンジのほとんどは、BTN相手にシンバリューを得られます。
- ナッツ級のハンドは、否定するエクイティがそもそも少ないため、プロテクションを必要としません。
- 約22%のBTNのハンドが25%未満のエクイティしかないため、小さいベットサイズで効果的にブラフを行うことができます。
これらすべてが、3ベットプレイヤーが多くのハンドを小さいサイズでベットする理由となっています。
ローコネクトフロップ: 654r
ローカードが連なるフロップでは、OOPの3ベットプレイヤーは大半のハンドでチェック、もしくはレンジチェックをせざるを得なくなります。プリフロップのアグレッサーとして、相手が持っていない最強クラスのポケットペアを持っているにも関わらず、実際にはほとんど、またはすべてのハンドでチェックをする必要があるのです。その理由を解明するために、654rのフロップを見ていきましょう。
フロップの戦略と同様に、エクイティバケツとエクイティチャートは、先ほどの例とは全く異なるものになっています。
- SBはレンジの下位〜中位では、明確なアドバンテージを持っていません。BTNはナッツ級のハンドが多く、IPにはセット、ツーペア、そしてストレートなどのエクイティが非常に高いハンドが存在します。
より視覚的に理解するためには、お互いのレンジがどのようなものかを振り返ることが重要です。
- SBの3ベットプレイヤーは、主にハイカードやオーバーペアを持っています。このスポットでは、55/44/65s/54sなどは持っていません。一方で、BTNはSBに比べ、ミドルからローカードを圧倒的に多く持っており、それらはフロップによく絡みます。
3ベットプレイヤーは、低いエクイティから中程度のエクイティのバケツではアドバンテージを持っておらず、高いエクイティのバケツでは非常に不利になっています。さらに、IPにとって有利となるターンやリバーカードが多く存在し、それらはIPのレンジにとって非常に良いものです。
これらの理由により、3ベットプレイヤーは非常に慎重になる必要があり、多くのハンドでチェックをする必要があります。
実戦でフロップを素早く分析する方法
時々、ハンドをプレイしている最中に、途方に暮れてしまうことがあるかもしれません。これは普通のことで、時々誰もが経験することです。どうすれば良いか分からない状況を打開するためには、次の4つの質問を自分に問いかけてみましょう。
- 自分と自分の相手のレンジはどのようなものか?
- それらはフロップとどのように絡み合っているか?このボードテクスチャーはどちらにとって有利か?
- これらは、自分の全体的なレンジの戦略にどのような影響を与えるか?
- 先ほどの3つの質問を踏まえて、自分が持つハンドをどのようにプレイするべきか?
まとめ
OOPでアグレッサーとして3ベットポットをプレイすることが、容易ではない時もあります。今日学んだ原則に従うことで、このようなスポットにどう対処するべきか、より明確に理解できるでしょう。
- 戦略をシンプルにするために、SBからコールドコールすることは避け、3ベットかフォールドをする戦略でプレイして下さい。
- BBから3ベットする際は、比較的弱いハンドでも行う必要があります。これらは通常、コールレンジの最下位のハンドです。
- OOPでは、情報やエクイティの実現の面で不利になるため、より慎重にプレイする必要があります。IPの時に比べて頻繁にポットを大きくするべきではなく、明確なアドバンテージがない場合には、その傾向がより顕著になります。
- IPの3ベットプレイヤーに比べて、OOP3ベットプレイヤーはより大きいサイズのベットをします。これは、IPのコールプレイヤーがより多くのハンドでフロートし、エクイティを実現し、OOPのレンジに関する情報をより多く得られるからです。
継続は力なり
多くの情報を扱う以上、慣れるには相当な反復練習が必要です。誰しも最初から上手くいくわけではありません。上達を加速させるために、さまざまなテクスチャーをより深く理解するための2つのドリルを用意しました。
このドリルは、今日カバーしたスポットである、SB対BTNの練習です。
SBとBBでそれぞれのポジションに対してどのようにプレイするのかに興味がある方は、ぜひこのドリルもチェックしてみて下さい。
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