レバレッジとは、後のストリートでベットされるリスクのことを言います。フロップやターンでコールしても必ずショーダウンまでいけるとは限りません。オッズがよくても後のストリートで失うEVを考慮してフォールドした方が良い場面でレバレッジは使われます。
ポラライズレンジのハンドは、レバレッジから利益を得ています。ターンでのベットがバリューかブラフに関わらず、リバーでもベットができる場合、よりターンでのベットは利益的になります。
反対に中程度の強さのハンドは、レバレッジから得られる利益はあまりありません。ターンでコールしたとしても、リバーでもまた厳しい状況になる可能性があり、利益を出しにくいハンドです。
EQRとインディファレント
レバレッジはEQRの概念と関連しています。バリューでもブラフでも後のアクションから利益を得ることができるハンドを持っている場合、ポットを大きくすることに大きな価値があります。ショーダウンで大きなポットを獲得できるほど強いハンドを持っている場合、何度もベットした方が得であることは感覚的にもわかるはずです。しかし、リバーで多くのブラフができる場合、ターンではより多くのブラフができることは感覚的に分かりづらいのではないでしょうか。複数のストリートに渡ってバリューベットができるハンドが多く含まれている場合、ブラフも多く含むことができます。
その理由を説明するために、まずインディファレントという概念から考えてみます。リバーのベットレンジのバリューとブラフの比率が適切であれば、相手がブラフキャッチャーでコールするかフォールドするか、インディファレントになります。例えば、2つのバリューに対して1つのブラフを含むレンジでポットサイズのベットをした場合、ブラフキャッチャーでコールしてもフォールドしてもEVは0です。
同様に、相手のコール頻度によって、自分のブラフがインディファレントになります。適切なコール頻度を知るには、MDFという、1-ベット/(ベット+ポット)の比率でコールする必要があります。
同様に、相手のコール頻度によって、自分のブラフがインディファレントになります。適切なコール頻度を知るには、MDFという、1-ベット/(ベット+ポット)の比率でコールする必要があります。
この概念をターンで取り入れると、リバーでハンドの価値が変わる可能性があり、より複雑になります。ベットのほとんどは、バリューかブラフかはっきりわかるものであるべきです。そのベットの目的は、相手がブラフには勝てるがバリューベットには負けるようなハンドを持っているときに、厳しい決断をさせることです。
しかし、どういったハンドをインディファレントにするのでしょうか。リバーとは異なり、ターンでコールしても1つストリートが残っています。自分も相手も、リバーでどうプレイしてくるかはわかりません。つまり、相手は再びブラフされるかどうかわからず、自分も相手がブラフキャッチャーで再びコールするかどうかわかりません。均衡解では、自分がターンでブラフを諦めることもあれば、ターンでブラフをし、リバーで諦めることもあります。また、ターンとリバー両方ともブラフをすることもあります。同様に、ブラフキャッチャーをターンでフォールドすることもあれば、ターンでコールしてリバーのベット(実際にはしないかもしれませんが)にフォールドすることや、ターンとリバー両方コールすることもあります。
まとめると、均衡解での相手のブラフキャッチャーは次の3つの選択肢のどれかを選びます。
- ターンでフォールド
- ターンでコールしてリバーでベットが来たらフォールド
- ターンとリバー両方コール
同様に、ブラフをするときは次の3つの選択肢の中から選びます。
- ターンでチェック
- ターンでブラフしてリバーは諦める
- ターンとブラフどちらもブラフする
ターンでポットサイズのベットをし、相手がコールした場合、リバーでのスタックとポットの比率が1になるようなスタックだったとします。ターンでのバリューとブラフの比率が2:1であれば、相手はブラフキャッチャーをすべてフォールドすることで、エクスプロイトできます。リバーでもベットができるため、ターンではより多くブラフをしなければいけません🤔🗯️
相手の立場で考えてみると、リバーがまだあるにもかかわらず、ターンで大きなベットをブラフキャッチャーでコールするのは厳しい決断になります。相手のブラフが多いとわかっていてもリバーが残されておりそこでも厳しい決断になる可能性があるので、容易には決断できません。
例
50BBのMTTのシナリオで、UTG対BBのSRPの例を紹介します。A♠ K♥ 6♦のフロップで33%ポットのCベットをし、コールされ、ターンは2♣が落ち、UTGは125%ポットのベットをすると、リバーで近いサイズのベット(94%ポット)ができます。
125%ポットサイズでベットする際のレンジは、トップペア以上を「バリューレンジ」とすると、5.4コンボあります(多くの強いハンドはフロップで大きなベットをしています)。一方、「ブラフレンジ」はサードペア以下のハンドとすると、4.2コンボあります。リバーで125%のポットベットをする際はブラフの割合を36%にすることが適切ですが、ここではレンジのうちブラフの割合は43%となっています。(リバーではなくターンのため)
このベット戦略はBBのトップペアのような強いハンドでも厳しい状況に追い込みます。BBの全てのKxと一部のAxがコールとフォールドでインディファレントになっています(EVがわずかにプラスになるものもありますが、これは適切なスーツ(色)を選ぶと、コールする方がフォールドするよりもわずかに有利になる小さなブロッカー効果があるためです)。
インディファレントになっているハンドは全てエクイティは50%ありますが、リバーで相手のバリューに勝っていることは少なく、利益的なコールとはなりません。
BBがこのベットをコールした場合、リバーが9♦のようなあまり関係のないカードだと、UTGはポットサイズより少し小さいベット(オールイン)をし、バリューとブラフの比率は3.9:1.5となります。最後のストリートであるためUTGはターンでのブラフを全てリバーでブラフすることはできません。
ブラフとは?
UTGのリバーでのベットはバリューとブラフという2つのカテゴリーに分類されます。しかしターンではリバーでもするバリューベット、リバーではベットしないブラフ、リバーでもするブラフに分類されます。もちろん、どのハンドが再びブラフをするかはリバーのカード次第ですが、UTGはできるだけ多くのリバーで適切な数のブラフができるようターンでのベットレンジを構成します。
ターンでブラフをするハンドの中で、リバーでもブラフをするハンドはブラフというよりもバリューベットのように使われています。ターンでコールされてもEVを失うわけではなく、リバーでブラフして降ろせれば、より大きなポットを獲得することができます。このようなハンドはブラフとしては機能しないため、UTGは多くの弱いハンドをターンでベットすることができます。
この効果は、フロップではより顕著になります。バリューベット、ブラフ(ターンとリバーでも)、ブラフ(ターンでも)はすべてバリューベットとして機能するためフロップではブラフを多く入れることができます。これが全ハンドでCベットをする戦略が有効であるひとつの理由です。
まとめ
ポーカーは一見簡単そうですが、後のストリートでどのハンドがバリューになってどのハンドがブラフになるかを予測することは難しいです。ただ、レバレッジを使うことで、前の方のストリートからブラフができるかどうか考えることはできるでしょう。