オープンし、誰かがコール、BBがスクイーズします。これに対してどのような戦略を構築するべきでしょうか?
レイズとコールがあった場合、BBにとってリレイズは良い選択肢となります。すぐにポットを全て取れる可能性は低いですが、多くの場合、少なくとも1人をフォールドさせ、大きな額のデッドマネーをポットに入れた状態で、ヘッズアップで戦えます。
そのため、自身がオリジナルレイザーでもコーラーでも、BBのスクイーズに対するディフェンスを学ばなくてはなりません。この記事では、UTGがレイズし、BTNとSBのコールがある場合と、COがレイズし、BTNとSBのコールがある場合の2つのパターンを検証し、BBのスクイーズに対応できる一般的な戦略を導き出します。
LPからのオリジナルレイザー
COがオープンし、BTNとSBがコール、BBがスクイーズします。このグラフは、スクイーズに対するそれぞれの対応を示しています。
まず、1点覚えておきましょう。4ベット(オールインではない)は、スタックを問わず、どのプレイヤーもめったに行いません。 BBがスクイーズすると、ポットには20BBがあり、特に強いレンジをもっているプレイヤーはいません。このような大きなポットで4ベットし、オールインされた時に降りるのは、オッズが良くあまり魅力的な選択肢であはりません。エクイティが高いリニアレンジでスクイーズをしたBBは4ベットに対し、オッズが良く頻繁にコールします。
- COとBTNの場合、BBのスクイーズに対してオッズが少し良いですが、スタックが浅くなるにつれてコールが減ります。スタックが浅いと、IPでポストフロップをプレイする価値が減るためです。スタックが浅くなるにつれて、どんどんオールイン/フォールド戦略に移行し、両者ともフォールドする頻度が若干高くなります。
- SBはポジションが悪く、3人の中でレンジが弱いため、スクイーズについていくことはほとんどありません。IPとは異なり、SBはスタックが浅くなるにつれてフォールドが減り、オールインとコールの両方が増えます。SBの最大の問題は、誰よりもキャップされていることです。SBは強いハンドを持っている時最初にスクイーズするインセンティブが強く、スタックが深くなると、オールインのメリットが減り、フロップ以降のEQRが下がります。しかし、スタックが浅くなるにつれて、SBのキャップされたレンジはあまり問題ではなくなります。後ろにBBしかいないためプリフロップでオールインするか、非常に低いSPRでポストフロップをプレイするのでエクイティのほとんどを実現することができます。
- BTNはCOよりもキャップされていますが、スクイーズにはある程度ついていけます。ポジションによるEQRは、キャップされているレンジのデメリットを相殺します。 COとは異なり、BTNは、オリジナルレイザーがすでにフォールドしているか判断できるため、フロップ以降の動きを予想できます。たとえSBがオーバーコールしたとしても、エクイティ実現のデメリットが小さいため、BTNにとって大きな問題ではありません。
EPからのオリジナルレイザー
UTGからのレイズとCOからのレイズの主な違いは、オリジナルレイザーのレンジがBTNよりもはるかに強いということです。その結果、スクイーズに対し、フォールドが少なくなります。BTNのレンジはCOがオープンした時よりUTGがオープンした時の方が強いものの、それでもすでに4人がフォールドしていることを考慮しUTGよりもポットに参加しやすくなっています。そのためUTGはCOよりも頻繁にリレイズをしており、スモール4ベットがより有効な戦略となります。
一方、BTNはCOからのレイズの際よりもオールインを少なくし、UTGがフォールドした後でもより多くフォールドします。これは、BBのスクイーズレンジがUTGオープンに対して行なっており、強くなっている(100bbスタック時に7.9%のハンドで対して、COオープンには13%)からです。BTNのレンジも若干強くなりますが、それほど大きな差ではありません。BTNはポストフロップでのポジションを活かして、よりマージナルなハンドの価値を高めようとプレイします。
LPからのレイズと同様に、BTNはUTGよりもコールの比率が高くなっています。(4ベットとコールの比率を比べ)これは後ほど紹介しますが、強いハンドを持っておらず、ポジションがあるので、エクイティを拒否する必要性が減少するためです。
オリジナルレイザーがスクイーズにコールする時
オリジナルのレイザーからの4ベットは、ほとんどの場合、後ろのプレイヤーを降ろします。コールすると後ろもコールすることがありますが、4ベットした場合はほとんどありません。100BBでも、オリジナルレイザーのコールは、AAがスロープレイしている可能性があるので、かなりの強いレンジになります。最初にリレイズしなかったプレイヤーは、後でモンスターハンドをもっているように見せることはできません。また、強いスクイーズレンジと強いコールレンジにレイズするほど強いハンドは持っていません。
オリジナルレイザーのコールは、AAがスロープレイしている可能性があるので、かなり強いレンジになります。
COオープン、BTNとSBがコール、BBレイズ、COコール
UTGオープン、BTNとSBコール、BBレイズ、UTGコール
面白いのは、UTGがコールした場合、フォールドした場合と比べてBTNのコール頻度は低くなり、SBのコールの頻度は高くなります。SBの元々のコールレンジは、マルチウェイで優れたパフォーマンスを発揮するハンドを中心に構築されていましたが、BTNはヘッズアップの可能性も考えてレンジ構成をしています。ポットオッズが良いので、SBがフォールドする必要性が下がります。
オリジナルレイザーがCOの場合SBのレンジはUTGの時よりも弱いため、コール頻度は高くなりません。非常にディープな場合を除いて、強いハンドは最初にスクイーズした方が良いので、30BBでも2人を相手にするほど強いハンドは全く持っていないことになります。
スクイーズをコールしたのがBTNであれば、SBは少しプレイしやすくなります。オーバーコールはしませんが、BTNコールはCOコールよりは怖くはありません。
レンジが相手にどう見えるか
スクイーズをされた場合、全てのプレイヤーは弱いハンドはフォールドします。強いハンドであれば4ベットかオールインします。そのため、プリフロップのアクションによっては、そのようなハンドをあまり持っていない可能性があります。AAはトラップとしてコールします。その他には2つのタイプのレンジがあります。ヘッズアップを前提としたレンジと、マルチウェイを前提としたオーバーコールレンジに分けられます。
前者の例として以下の例を紹介します
100BBでオリジナルレイザーのCOがフォールドし、BTNがBBのスクイーズにコールするレンジ
このレンジには、マルチウェイで優れたパフォーマンスを発揮するハンド (ポケットペアやスートのブロードウェイ) だけでなく、マルチウェイでエクイティを実現できないスーテッドコネクターやオフスートブロードウェイも含まれています。ここのシナリオではBTNはBBに対してIPからヘッズアップでプレイしようとします。
COがすでにスクイーズに対してコールしている場合、小さいスーテッドコネクターとオフスートブロードウェイがレンジから外れ、主にポケットペアとスートのブロードウェイが残ります。
非常に強いオフスートブロードウェイはオールインし、残りのほとんどはフォールドしています。 COがフォールドしていても、BTNはこういった強いオフスートのブロードウェイはオールインします。60BBではほとんどオールインになります。
これらのパターンは他のほとんどのパターンにも当てはまります。一部のスーテッドコネクターやオフスートブロードウェイは、ヘッズアップになる可能性がある場合はコールすることがありますが、こういったハンドは、他のプレイヤーがコールすると、ほとんどの場合、オールインまたはフォールドとなります。
スーテッドコネクターやオフスートブロードウェイは、ヘッズアップになる可能性がある場合はコールすることがありますが、こういったハンドは、他のプレーヤーがコールすると、ほとんどの場合、オールインかまたはフォールドします。
トラップはオリジナルレイザーのコール戦略で重要な部分となります。コールレンジが広い場合は常に、AAとKKが入っており、時にはコール100%になることもあります。100BBでのスクイーズに対するCO のレンジ
このコールがリレイズを誘発することはほとんどありませんが、これらのハンドは4ベットしていれば降りていたハンドをコールさせることができます。 100BBでも、マルチウェイになるスクイーズポットは、フロップ以降のSPR が非常に低くなるので、スロープレイしても問題なくなります。
BTNは最初のレイズをコールした後に大きいポケットを持っているということはあまりありませんが、スタック40BBでは先ほどと同様、BBのスクイーズに対してCOがフォールドした場合、AAはピュアコールになります。
エクスプロイト的なアジャスト
これらの戦略は、すべてのプレイヤーが適切にレンジを構築していることを前提としており、GTO戦略と同様にどんな相手に対しても負けることはありません。しかし、他のプレイヤーによるミスによって、より大きな利益を得るエクスプロイトの機会が生まれる可能性があります。
このようなスポットではミスが多すぎて、ここですべてを調べることはできませんが、よくあるミスを1つご紹介します。多くのプレイヤーはレイズに対して弱く広すぎるレンジでコールするのでリレイズがより効果的になります。それによってデットマネーがポットに残ります。 BTNやSBのコールが広すぎる場合、BBはより広いレンジでスクイーズする必要があります (リニアにバリューによったレンジにはなりますが、下限は下がります)。
その後、オリジナルレイザーは、BBのレンジが広い (後ろのプレイヤーのレンジも弱い) のでフォールドを減らし、コールと4ベットが増えます。最初に広くコールをしたプレイヤーは、同様に広くコールをすることが予想されるため、オリジナルレイザーはエクイティを奪うためさらにレイズするようになります。
まとめ
スクイーズに対してはポジションが非常に重要です。コールしてプレイヤーを増やしたいハンドでも誰かをおろしてヘッズアップにしたい場合も両方当てはまります。ヘッズアップに適している強いポケットやオフスートブロードウェイは、レイズに適しており、非常にディープな際でもオールインをすることもあります。小さいポケットとスートのブロードウェイはフロップ以降マルチウェイでエクイティを実現しやすいため広くコールできます。
スタックが深いほど、IPはコールが増え、4ベットは少なくなり、スタックが浅いほど、OOPはコールが増え、フォールドは少なくなります。