「前のストリートでレイズしたプレイヤーにアクションが回るまでチェックする」というのは良い法則です。前のストリートでのアグレッサーはポラライズしたレンジになっていることが多く、ベットする動機があります。それに対し、前のストリートでコールしたプレイヤーは中程度の強さのハンドであることが多く、ポットを大きくしようとはしません。
ここで前のストリートでのアグレッサーがベットをしなかったらどうなるでしょうか。この記事では100bbのキャッシュゲームで、LJがフロップでCベットをしなかった時にBBがターンでどのようにプレイするのかを紹介します。この記事で紹介する原則は、LJとBBだけではなく、前のストリートで最後にベットやレイズをしたプレイヤーがベットをしなかった時、全てに当てはまります。
レンジの力学
なぜプリフロップで最後にレイズしたプレイヤーがフロップでベットしなかったのか?
最初に考えるべきことは、プリフロップでレイズしたプレイヤーがフロップでベットしなかったのはなぜか。フロップはどれほど有利であったのか。IPはBBよりもプリフロップでのレンジが強く、このレンジアドバンテージはフロップでも同様にあります。LJはほとんどのフロップでそのレンジアドバンテージを活かし、Cベットを高い頻度で行います。
より有利なフロップではチェックするハンドは弱いハンドではなく、ベットしてもあまり利益を得られない中程度の強さのハンドです。
フロップでベットしなかった場合、チェックレンジの構成はフロップがどれだけ有利であったかによって変化します。より有利なフロップでは、チェックするハンドは弱いハンドではなく、ベットしてもあまり利益を得られない中程度の強さのハンドとなります。この場合、BBはナッツアドバンテージを持っているものの、エクイティアドバンテージはそれほどありません。あまり有利ではないフロップでは、全てのハンドでベットして利益を得ることは難しいため、弱いハンドの一部をチェックしなければなりません。このような場合、BBはターンでエクイティとナッツアドバンテージの両方ある場合が多く、ベット頻度が高くなります。
有利なフロップ
多くのフロップでは、プリフロップで最後にレイズしたプレイヤーの方がレンジが強いため、BBに対して様々なハンドでベットしても利益が出ます。ベットしない唯一の理由は、ハンドをショーダウンに持ち込んだり、後のストリートでブラフをしたりすることで、チェックがベットと同等以上の利益を期待できる場合のみです。
非常に有利なフロップでは、LJはほとんどチェックしません。そのようなボードではBBのレンジは弱く、LJはバリューとプロテクションを兼ねて中程度の強さのハンドでもベットします。333やQQ5のようなペアボード、トリップスボードは最も顕著な例です。
A♦ K♥ 8♥のフロップでは、LJは圧倒的なレンジアドバンテージを持っており、チェック頻度は10%程度です。ここでLJがどれほど有利かエクイティグラフで見てみます。
LJはエクイティが65%と、圧倒的に有利であり、さらにAA、KK、AKのようなナッツをBBより多く持っています。その結果、LJは全てのハンドでベットしても利益を得ることができ、少しチェックを混ぜることでより有利にプレイすることができます。333のフロップの時とは異なり、LJのA2、K6、JJのような中程度の強さのハンドは、ベットしてもプロテクションによる利益を得ることはほとんどありません。ベットすること自体は悪くはなく、ポットを獲得することも多いですが、チェックの方がより期待値の高いアクションとなります。たまたま後のストリートでハンドが強くならない限り、これらのハンドはコールされると、後のストリートでもベットできるほど強くはなく、またBBがフォールドしたハンドにまくれることもほとんどないでしょう。
LJのチェックレンジは少し狭くなるもののそれでもまだ強くなっています。弱いハンドでチェックすることはほとんどありません。なぜならそのような弱いハンドですぐにポットを獲得できるフロップでのCベットはとても魅力的なアクションだからです。BBはエクイティが不利なため、ターンで多くベットすることはできません。実際、フロップでLJがチェックしても、BBが50%以上の頻度でベットをするシナリオはありません。
また、BBがベットするときは図の濃い赤の部分の大きなサイズを多く使用します。BBがナッツアドバンテージを活かしてポラライズしたベットをし、LJの中程度の強さのハンドにエクイティを与えず、せいぜいブラフキャッチ程度にしています。しかし、BBはナッツを多く持っているわけではないので、そこまで頻繁にベットすることはできません。頻繁にベットすると、LJはブラフキャッチを多くするようになります。BBはターンでもチェックすることが多く、フロップと同様にベットされたらフォールドするハンドも多くあります。
BBがベットする場合、相手のそれなりに強いレンジに対してベットしているため、フォールドエクイティだけではあまり利益を得られません。例えば4♠が落ちたターンでのブラフはフラッシュドローとガットショット(ブロードウェイドローではなく、低いドロー)で構成されています。BBの改善の見込みのない弱いハンドはチェックし、ベットされたらフォールドしています。
多くの弱いハンドはチェックするため、強いハンドも合わせてチェックします。セット、ツーペア、そしてAJやAQもチェックレイズのレンジに入っています。
ベットと同様、チェックレイズのブラフはすべてドローで行います。ブラフレンジの大きな変化は、4xが追加されたことです。4xはブラフベットするには強すぎますが、LJのターンでのベットレンジに対しては弱く、BBの4xはLJのセットやツーペアをブロックしているため、ブラフレイズをしています。
AK8のフロップでは、その後のストリートで何が起ころうともBBは多くのチップをポットに入れるべきではありません。
このフロップはLJに非常に有利で、フロップとターンでベットしなかったとしても、BBはリバーで多くチェックします。フロップがAK8であった場合、BBは後のストリートで何が起ころうとも多くのチップをポットに入れるべきではありません。アクションやターン、リバーカード次第で多少有利になる可能性はあるものの、チェックとフォールドが大半を占めています。
不利なフロップ
LJにとって不利なフロップはあまりありませんが、例えば、6♥ 5♦ 4♦はエクイティがLJとBBでほぼ半々であり、BBがナッツアドバンテージを持っています。その結果、LJがCベットすることは少なく、チェックレンジには弱いハンドが多く含まれています。
BBがターンをどのようにプレイするかは、ターンのカードによって大きく変わります。小さい数字のカードが出た時は、大きなレンジアドバンテージを得ることができ、LJのレンジにある多くのオーバーカードのエクイティを削るためマージナルなペアを含め、ベットすることができます。
大きい数字のカードが出た時は、LJのエクイティが増加し、BBの戦略はAK8ボードのように、より低頻度でポラライズされたレンジでベットをします。
例えば9sがターンで出た時は、BBは多くベットすることができます。バリューとプロテクションを兼ねて、ペアで多くベットしたり、何もないハンドでブラフすることもできます。チェックレンジのほとんどはショーダウンバリューがあるAハイで、何も改善する見込みのない弱いハンドではありません。
まとめ
プリフロップのアクションとフロップのカードによって、各プレイヤーがどれだけのエクイティを持っているかがわかります。フロップでエクイティアドバンテージを多く持っているプレイヤーが、ターンであまり良くないカードが出たり、チェックのような「弱い」アクションをしたからといって、そのアドバンテージを失うことはありません。
フロップでエクイティアドバンテージを多く持つプレイヤーは、単に相手よりも強いハンドを多く持っているということです。
フロップでエクイティアドバンテージを多く持つプレイヤーは、相手よりも強いハンドを多く持っています。つまり、強いハンドを様々なアクションのレンジに分散させることができます。
エクイティがより近いフロップでは、後のストリートでの正しい戦略はそれまでのアクションと最終的な共通カードによって大きく左右されます。
プリフロップで最後にレイズし、フロップでチェックした場合はコンデンスなアクションであり、ナッツを持っていない可能性を高めます。つまり、ナッツアドバンテージを得た次のストリートで、相手がポラライズしたベットをすることができるようになります。しかし、その相手がバリューとプロテクションのために薄くベットすることもあり、これはボードが各プレイヤーのエクイティをどのように変化させているかによって決まります。