ターンの特徴とは
ターンは他のストリートと異なる点がいくつかあります。
- ハンドの価値がフロップより変化しない。強い時はそのまま強く、弱い時はアウツを引けるチャンスが少なくなります。
- ハンドの価値がリバーより変化する。コミュニティカードが1枚残されているのでハンドの価値が変わる可能性があります。そのためもう一度ベットしてエクイティを否定し、その代わりにレイズされるリスクを負うか、もしくはチェックしてリバーのリスクを負うかジレンマが起こります。
- SPRが低くなる。フロップでアクションがあった場合、ターンでのSPRは低くなります。ターンではオールインまで行くかどうかを決めるポイントでもあります。
- ベットの機会が少ない。ターンの後はリバーしか残っていないため、スロープレイはフロップの時と比べるとリスクが高くなります。特にフロップでアクションがなかった時、このリスクは顕著になります。
ポットが大きくなり、ベットする機会が少なくなると、プレイヤーは自分のハンドの強さに従ってプレイするようになります。
ターンではフロップよりも「正直に」プレイすることになります。ポットが大きくなり、ベットする機会が少なくなると、自分のハンドがどういったハンドなのか相手に知られるリスクがあったとしても、プレイヤーは自分のハンドの強さに従ってプレイするようになります。
- プロテクションから得られるものが少ないため、中程度の強さのハンドはチェックし、ショーダウンを狙った方がよくなります。
- 残り1つしかストリートがないため、強いハンドは大きなベットをするようになります。弱いハンドは大きなブラフをするか諦めるかのどちらかです。フロップでよくある小さなベットで相手のエクイティを削ることは少なくなります。
- ドローは均衡ではインディファレントになることが多いです。一方、フォールドエクイティがこれまで以上に重視されるため、セミブラフは良いアクションとなります。しかし、レイズされるリスクもあるためチェックすることもあります。
フロップとターンでのプレイの違い
多くのプレイヤーがターンで悩むのは、フロップから学んだ経験則を適用しようとするからです。フロップはよく遭遇するため馴染みがあり、ターンのシナリオに比べてはるかに少ないので研究もしやすいです。しかし、これまで説明したようにターンではフロップとレンジの形や残りのストリートの数が違うため、最適な戦略が全く異なるものになることが多くあります。
下記のK♠ 8♥ 4♦ UTG対BB 100BB、NL50キャッシュゲームのシナリオでは、UTGのベットサイズは33%と50%の間で多少分かれていますが基本的には全レンジで小さくベットしています。
しかし、BBがチェックし、33%ポットのCベットをコールした後のターンでは戦略が大きく変化します。UTGの戦略はチェックもしくはオーバーベットとなります✋💸
フロップとターンでの戦略の違いはいくつかあります。フロップでは、UTGは大きなレンジアドバンテージがあり、ベットするにはあまり強くないハンドでもベットすることができます。まだターンとリバーが残っており、小さいサイズのベットレンジに強いハンドを入れても大きなポットを作るチャンスがあります。また、ドローを持っている時にチェックレイズがきてもコールすることができます。
しかし、ターンでは状況が変わり、レンジアドバンテージがなくなっています。つまり、UTGは広いレンジでベットすることができなくなっています。中程度の強さのハンドはフロップですでにプロテクションはできているためベットする必要はありません。強いハンドは積極的に大きなベットをしていきます 💪
UTGはフォールドエクイティを最大限獲得するために、弱いハンドでも大きくベットすることができます。フラッシュドローはベットしますが、中程度の強さのハンドはチェックします。これらのハンドはベットするとエクイティがなくなるリスクが高く、リバーで強いハンドになるようなことは少ないため大きなポットにはしたくありません。
K♠ 8♥ 4♦のフロップで、33%ポットサイズのCベットにコールしてターンがQsの時、UTGはチェックかオーバーベットの選択肢しかありません。
フロップで全レンジで小さくベットした後、UTGはターンでレンジの40%をオーバーベットします💰
UTGは相手にドローがあるものの、ワンペアはチェックすることが多いです。一方、ツーペアとセットはほとんどベットします。ただKKとQQは相手のコールレンジをブロックしており、リバーでスペードが出たとしてもフルハウスで勝てることもあるため一部チェックします。
ドローはアクションの理由が明確でないため、分類が難しくなります。ペアのフラッシュドローやエースだけのフラッシュドローは、ショーダウンバリューが向上しないので、ブラフをするメリットがあまりありません。ストレートドローは、JJ、TT、99のようなBBのフォールドレンジをブロックしてしまうためあまりブラフ候補としてはよくありません。
UTGにとってよくないターンカードの1つである8♠でも同じパターンが見られます。
UTGは、BBが強いハンドを多く含むレンジでドンクベットすることを考慮しても多くのハンドをチェックします。UTGがベットする場合、通常は小さいサイズであり、ハーフポットがよく使われます。UTGは強いハンドを一貫してベットしますが、唯一の例外はフルハウスとクアッズです。相手の強いハンドをブロックしており、まくられる可能性も少ないためチェックをすることもあります。トップペアを含む中程度の強さのハンドはほとんどチェックします。ドローには様々なベットする理由があり、フラッシュドローはストレートドローよりも多くベットします。
あまり嬉しくないボードは?🤔
K84のフロップはUTGにとって特に有利なフロップであり、そのためUTGは全レンジでベットすることができますが、有利ではないフロップでもベット頻度を減らして同じ原則を適用できます。例えば9♠8♠6♥では、UTGは自分のレンジの半分以下をベットし、小さなサイズが多く使われます。
オーバーカード、ボードペア、フラッシュドロー、ストレートドローを中心にベットしており、ターンではテクスチャーが変化するため、このボードのターンの戦略を一般化するのは難しくなります。しかし、いくつかの例外を除いてベット頻度が低く、ベットサイズが大きいことは、よりポラライズしたレンジであることを示しています。
ここでの特筆すべき点は、UTGのベストカードとワーストカードです。BBのレンジには7xが多く、スペード以外の7はよくありません。ナッツアドバンテージがないと、UTGはBBの中程度の強さのハンドにポラライズしたベットでプレッシャーをかけることができないので、小さなベットを使います。一方、AやKはBBよりもUTGに有利になることが多いので、UTGは高い頻度でベットします。
スタックが浅い場合
ソルバーの出力は、スタックが浅い場合では全く異なって見えますが、同じ原則が適用されます。強いハンドはポットを大きくします📈 中程度の強さのハンドはポットコントロールをします。弱いハンドはブラフをするか諦めます。ドローはベットしたりチェックしたりします。変化するのはハンドクラスの構成です。
- オールインする際の金額が下がるため、強いハンドとみなされる基準が下がります。
- リバーまでにスタックを入れる際に大きなベットでなくてもよいため、ベットサイズは小さくなります。
- ドローの価値は低くなり、リバーで賭ける金額も少なくなります。
同じK♠ 8♥ 4♦ Q♠のシナリオで有効スタックが20bbの場合、どのような変化があるでしょうか。
- UTGの最も一般的なベットサイズはオーバーベットではなく50%ポットベットです。なぜなら50%のポットであれば、リバーでオールインしたいときに、スムーズにできるからです。
- トップペアはより多くベットします。20BBしかないため、KTやKJのようなハンドはプレイするのに十分強く、ポットコントロールのためにチェックすることはありません。
- セカンドペアもより多くベットします。これらのハンドはレイズされるとほとんどフォールドしますが、UTGのベットサイズは小さいので、より薄いバリュー/プロテクションベットが可能です。
- ドローのベット頻度は低くなります。リバーでナッツになった場合にあまりチップを取ることができないので価値が低くなります。また、レイズされる可能性も高くなります。
- トップセットはスロープレイすることが多くなります。ナッツをスロープレイする主なリスクは、ポットを大きくできないことです。スタックに対してポットがすでに大きい場合、相手がディフェンスするハンドをブロックしていると、スロープレイするようになります。
- UTGはより多くベットをします。ベットサイズが小さいと、ポラライズしたベットレンジにはならなく、弱いハンドがあまり含まれなくなります。UTGは中程度の強さのハンドをチェックしますが、中程度の強さのハンドの基準が下がります。
まとめ
様々なターンのシナリオで同じようなパターンがあります。ハンドの価値はフロップよりもターンの方がより明確に定義され、より明確なアクションをする理由を持ち、より明確にその理由に従います。ターンでのミスは、そのアクションの理由がフロップとリバーと異なることを理解しなかった時によく起こるでしょう。