Range Builderを使った学習方法
前回の記事「GTO Wizardの練習モードで実戦力を磨く方法」では、練習モードを使った学習方法について取り上げ、どのように使えば効率よくGTOを身につけられるかを紹介しました。今回は、Range Builderを使った学習方法に焦点を当てて解説していきます
Range Builderでは、選択したスポット(プリフロップでもポストフロップでも)で、自分のレンジをゼロから組み立てていきます。作成したレンジは、GTOソリューションとどれだけ一致しているかを基準に採点されます。この機能を利用することで、ハンド単体の戦略ではなく、レンジ全体でどのような戦略になるのか、広い視点でポーカーを理解できるようになります。その過程で、通常のプレイ中には気づきにくい部分や弱点が浮き彫りになってきます。
本記事ではまず、ポーカーの学習に熱心な方ほどRange Builderを取り入れるべき理由から説明していきます。そのうえで、具体的な始め方や、このツールが特に効果を発揮すると感じている活用シーンをいくつか紹介します。そして最後に学習の効率を最大化するためのコツと、誤った使い方で時間を無駄にしないための注意点をまとめます。この記事が、Range Builderの入門編として、いずれ使いこなすまでの道筋を示すガイドになれば幸いです。
1) はじめに
なぜRange Builderを使うのか
Range Builderは、「The Science of Learning Applied to GTO Wizard」という記事でも取り上げた リトリーバルプラクティス(想起練習) の考え方を活かしたツールです。リトリーバルプラクティスとは、答えを見て理解したつもりになるのではなく、自分の頭から情報やコンセプトを積極的に「思い出す」ことで、長期記憶への定着力を高める学習法のことです。
この手法は単に記憶力を高めるだけではなく、より高度な理解や思考の土台にもなります。Range Builderはこの考え方をさらに発展させ、あなたが作ったレンジと実際のGTOレンジを直接比較し、どれだけ一致しているかをスコア化することで、「どれだけ正確に思い出せているか」を可視化してくれます。練習モードは Easy / Medium / Hard の3段階があり、難易度が上がるにつれて選択できるベットサイズも増え、より実戦に近い思考が要求されます。
基本的な機能
Range Builderを使い始めるにあたっては、まずGTO Wizardヘルプセンターにあるガイドで基本的な機能を把握しておくとスムーズです。次の章では、Range Builderを使うのに最適な場面を紹介します。
2) Range Builderを使うべきタイミング
特に学習効果が期待できる、Range Builderを使うのに向いているスポットをまとめました。
2.1) プリフロップレンジの習得
Range Builderの最も一般的な使い方は、プリフロップのレンジ理解をチェックすることです。プリフロップのミスを減らすことはリターンが大きく、この部分を強化できれば全体の成績に直結します。特に、オープンに対して複数のアクションが選べる場面を固める際に非常に有効です。
プリフロップのスポットを練習するための5つのステップ
1.「Practice」タブからRange Builderを開く
2. 難易度を選択する
3.画面左上の「Solution Details」から練習したいソリューションを選択する
4.画面上部のアクション欄から練習したいプリフロップアクションを選択する
5.「START BUILDING」をクリックする
2.2 ポストフロップの学習
ポストフロップの練習は、ポストフロップの概念を体系的に強化できるため、学習の質を高めるうえでも非常に有効です。プリフロップと同様の手順で設定を行い、ポストフロップの設定を適用します。この機能は「Postflop included」と表示されているソリューションでのみ利用できます。
AIで生成したポストフロップソリューションを使う場合
解析済みのソリューション以外のスポットでも、GTO Wizard AIで解析すればRange Builderで練習できるようになります。
特定のカスタムポストフロップスポットを練習するための4ステップ
1.AIソリューション画面から「Saved spots」アイコンを選択する
2.スポットの概要を入力し、「SAVE」をクリックする
3.「Practice」タブから「Range builder」を選択する
4.「Saved spots」アイコンから対象のスポットを選択する
この方法を使うことで、解析済みのソリューションライブラリには含まれていないポストフロップスポットでも練習できます。複数のベットサイズが用意されているスポットであっても、自分で1種類だけのベットサイズを使ったカスタムソリューションを作成し、そのレンジ構築を練習するといった使い方も可能になります。
3) 学習効率
3.1) トレーニング効果を最大化するコツ
- スポットはできるだけ具体的に選ぶこと
改善したいスポットを明確にしておくことで、学習効果がぐっと上がります。たとえば、モノトーンボードでどんなレンジでCBするのか、EPオープンに対してBBがどのハンドをチェックレイズに回すのかなど、具体的な疑問があるほど、そのスポットで得られる学習効果が一段と高まります。 - 自分に合った難易度を選ぶこと
新しいスポットに取り組むときやRange Builderに慣れていない段階では、まずアクションの選択肢をできるだけ少なくした状態で始めるのが効果的です。「Easy」モードを使えば混合戦略が排除され、フォールド・コール・レイズといった基本的なアクションに集中できます。これらの設定に慣れてきたら、必要に応じてより高い難易度で混合戦略を取り入れていくとよいでしょう。
3.2) 気をつけるべきこと
- 完璧を目指しすぎないこと
レンジ内で 純粋戦略となるアクション を押さえることは重要ですが、各スポットの細かな混合戦略の割合を丸暗記しようとする必要はありません。実際、スポットによっては95点と100点の差が「混合割合を数%ずらしただけ」というケースもあります。そのため、常に100点を狙うより、90〜95%の精度でスポットを積み重ねていく方が、はるかに効果的に身につきます。 - 特定のアクションが高頻度となっている部分のミスを軽視しないこと
高頻度(あるいは100%)となっている重要なアクション部分を見落としてしまうケースもあります。特に、プリフロップではこうした部分を正しく押さえているかを確認してから先へ進むことが大切です。 - 学習テーマが散漫にならないようにすること
Range Builderで練習するスポットを選ぶときは、大きなテーマを1つ決めて取り組むことが重要です。毎回バラバラのスポットを練習してしまうと、それぞれの内容が長期的な記憶として定着しにくくなります。学びたいコンセプトをひとつ設定し、そのテーマに関連するスポットを集中的に練習するようにしましょう。たとえば、トーナメントに慣れていない人がプリフロップレンジを覚えたい場合は、まず同じスタックサイズでの各ポジションのオープンレンジを固めてから、他のスポットに進むと効果的です。 - 類似スポットとの比較をすること
特定のスポットのレンジを構築するときは、似た状況のスポットと比較してみることも重要です。状況が変わったときにレンジがどのように、どれくらい変化するのかを理解しやすくなります。たとえば、cEVベースのプリフロップレンジを練習している場合でも、類似するICMスポットのソリューションを確認してみることで、トーナメントの進行に応じてレンジがどう変化していくのかを把握しやすくなります。
4) さらに学びたい方へ
Range Builderは、特定のスポットについて「どれだけ正確に思い出せるか」をチェックしながら、 GTO理解を体系的に深めるのに非常に強力なツールです。自分に合ったスポットを選び、自分のペースで取り組むことで、その効果はさらに大きくなります。Range Builderを使った学習方法や、練習モードの他の機能について理解を深めたい方は、以下のコンテンツも参考にしてみてください。
📖トッププレイヤーとその他を分ける学び方
Aidan Heberle が、任意のスポットを最も効果的に学習する方法を解説しています。
📺 How to Crush Poker in 2025
Tombos21 による、2025年に向けた効果的な学習手法の基礎解説です。
📖 How Confirmation Bias Impacts Poker Study
Barry Carter が、コンファメーションバイアス(確証バイアス)がポーカー学習に与える影響と、その乗り越え方について解説しています。
📺 5 Ways to Stay at Low Stakes Forever
Tombos21 が、学習の過程で多くのプレイヤーが陥りがちな5つのミスを動画で紹介しています。
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