コールドコールとは、プリフロップのレイズに対して、後ろにまだプレイヤーが残っていて、ポットに自分がベットしていない時にコールする行為を指します。この記事では、MTTで40BB持っているBTNがEPのオープンに対してコールした局面を扱います。このレンジは多くの場合、コンデンスレンジで、ゴミハンドやナッツはあまり含まれていません。ギャップの概念のとおり、コールをするにはオープンに必要なハンドよりも強いハンドが必要です。IPがコールドコールする際は、BBがコールする場合より強いレンジが必要です。
これには以下の二つの理由があります。
- まだアクションしていないプレイヤーが多いため、コールドコールすると後ろでコールやリレイズされるリスクが高くなる。
- コールドコーラーはブラインドを払っていないため、BBよりコールに必要な金額が高くなる。
そのため、オリジナルレイザーは対BBのようなエクイティアドバンテージがなく、頻繁にCベットすることができません。これは特にエクイティの動きやすいボードで顕著で、ポジションの影響が強くなります。
Cベットを雑に打ってはいけない
40BBのUTG対BTNのSRPでは、UTGのCベット頻度の平均は51%に過ぎず、そのほとんどはポットの20%か33%です。つまり、このようなシナリオではCベットを雑に打ってはいけないということです。このようなベットに対して、BTNは強く慎重に対応します。MDFより広くコールしますが、特に大きなベットに対してはめったにレイズしません。BTNはポジションがあるため、フロップで無理にアクションするよりも後のストリートで動いていく方が良くなります。
BTNは多くの場合、フロップで無理にアクションするよりも後のストリートで動いていく方が良くなる
以下の表は、フロップでのUTGのベットに対するBTNの頻度です。
UTGのCベットサイズが33%と比較的大きい、エフェクティブスタックが100BBの場合であっても、BTNはほとんどコールになります。
UTGがチェックした場合、BTNのアクションも慎重になります。ベットは全体の半分ほどしかせず、その半分も多くの場合小さなベットサイズとなります。このOOPのチェックは、「諦めている」訳ではなく、BTNはブラフを楽に打てる局面ではありません。
オリジナルレイザーであるOOPのフロップのチェックは、「諦めている」訳ではなく、IPはブラフを楽に打てる局面ではない
スタティックフロップ
コールドコール戦略をさらに理解するために、スタティックフロップ(エクイティの変化の少ないフロップ)とダイナミックフロップ(エクイティの変化の大きいフロップ)をそれぞれ見てみましょう。スタティックフロップはAJ6rを使います。このボードは2枚のビッグカードがあり、ドローがないため、ターンでボードテクスチャやハンドの相対的な価値が大きく変化するカードが落ちることはほとんどありません。
このフロップはUTGにとっても良いフロップでナッツアドバンテージと56%のエクイティを持っています。
そのため、このフロップはUTGのベット頻度の高いフロップの一つであり、均衡時のチェックはレンジの30%以下です。UTGのチェックレンジはベットレンジより弱いですが、チェックした後でも52%のエクイティとナッツアドバンテージを持っています。
UTGのチェックに対してBTNはほとんどチェックします。ベットするときは比較的大きなサイズを使いポラライズします。AT以上の時のみバリューベットを打ち、ミディアムペアや弱めのエースはほとんどチェック、UTGのチェックコールレンジの多くをブロックするJJもチェックします。ブラフはペアではない非常に弱いハンドで行います。特にバックドアフラッシュドローやブラフキャッチャーに対するエクイティがあり、UTGの強力なトラップのいくつかをブロックする6xは多く行います。
ダイナミックフロップ
次はダイナミックフロップ986ttにおけるBTN戦略をみてみましょう。このボードでは、ターンで落ちるカードのほとんどがボードテクスチャを変化させます。例えば、ペアボードになったり、ハイカードが変わったり、ドローが完成したりします。このボードで最もエクイティの変化しにくいハンドはT7か75のストレートですが、両プレイヤーのプリフロップのレンジにこれらのカードは含まれていません。
このボードではUTGとBTNのレンジは非常に似ており、全体のエクイティはほぼ同じです。また、どちらもはっきりとしたナッツアドバンテージはありません。
エクイティが変化しやすいボードはポジションの重要性が上がります。この際、UTGはエクイティアドバンテージがないため頻繁に(65%)チェックします。BTNも同様にチェックを多用しますが、ポジションの重要性が上がっているため、UTGよりはベットしやすくなります。エクイティの変化しづらいボードの場合とは異なり、ベットレンジがリニアになるので、BTNは小さいベットサイズを使います。強くて捲られやすいオーバーペアは高い頻度でベットしますが、これはコールされたときのエクイティが良いだけではなく、UTGのレンジにある弱いハンドのエクイティを否定できるためです。
セットはUTGもBTNもベット頻度が高くなります。エクイティの動きやすいボードでスロープレーは好ましくありません。99ですら7やダイヤがターンで落ちると困ります。
まとめ
ここまで説明した通り、オリジナルレイザーのチェックは弱いハンドだと思い込んではいけません。ボードテクスチャがどんな場合であれ、コールドコーラーはベットするハンドを慎重に選ぶ必要があります。エクイティを積極的に奪う必要のないスタティックボードでは、中程度の強さのハンドはチェックし、ポラライズしたレンジで大きいベットサイズを使うことがほとんどです。ダイナミックボードでは、フロップの時点では強いが捲られやすいハンドでエクイティを奪うために小さいベットサイズを使います。UTGでさえ、IPのコールドコーラーに対してはBBの場合よりエクイティアドバンテージが低くなります。レンジエクイティはUTGの方がわずかに上回っていますが、ポジションが悪いため結局同じくらいになってしまいます。つまり、UTGのCベットはそれなりにハンドを選んでいるので、IPはコールしてポジションの優位性を強調したり、慎重に対応するべきです。