ポーカーにおいてフロップは、その後の流れを決める重要な局面です。アグレッサーのCベットは、利益的なスポットの一つであり、強くなるのに必須のスキルです。この記事では、フロップ戦略を掘り下げ、フロップの集合レポートから戦略的な傾向をつかみます。ここではMTTにおけるIPのCベットをメインに扱います。集合レポートにはあらゆるフロップのGTO戦略が含まれています。これを分析することで、このスポットをマスターするのに役立つ法則を見つけることができます!
集合レポートには、起こりうる全てのフロップのGTO戦略が含まれています。これらのレポートを分析することで、このスポットをマスターするのに役立つ法則を見つけることができます。
レンジの分析はフロップより前から始まる
ほとんどのCベットの間違いは、以下のような間違った質問から始まります。
「自分と相手、どちらがこのフロップでヒットしている可能性が高いですか?」
この質問は、プリフロップのレンジの変化を考慮できていません。つまり、プリフロップレイザーがブラインドコーラーに対してヘッズアップでフロップを開いた際に、既に持っているレンジアドバンテージを無視しています。プリフロップレイザーはフロップでヒットせずとも、すでに強いレンジを持っています。良い質問は以下のようなものです。
このフロップは、プリフロップのコーラーにとってどのくらいましか?
どんなポジション、例えばBTNでも、プリフロップでレイズしたプレイヤーは、ブラインドからコールしたプレイヤーよりも強いレンジでフロップを見ることになります。これにはいくつかの理由があります。
- コール額が少ない。すでにポットにチップを入れているため、ブラインドは他のプレイヤーよりも弱いハンドでポットを争うことができます。
- リレイズのリスクがある。オープンレイズはリレイズされるリスクが常にあります。GTO Wizardを見ると、40bbのスタックではBTNでさえ約28%の頻度で3ベットを受けます。そのため、3ベットを受けるとフォールドするような弱いハンドのEQRとEVは大幅に減少します。BTNのレイズをコールした場合、SBはBBのスクイーズを20%ほど受けますが、BBはコールすればコールできるかギリギリのラインでも取り敢えずフロップは見ることができます。
- レンジがキャップされていない。ほとんどのスタックサイズで、ブラインドはベストハンドを3ベットした方が良くなります。つまり、コールした時は多くのフロップでエクイティが非常に高くなる、強いポケットやブロードウェイカードを持っている可能性は低くなります。このようなハンドはプリフロップではレイズするため、プリフロップでのエクイティアドバンテージはフロップに引き継がれます。
どんなポジション、例えばBTNでも、プリフロップでレイズしたプレイヤーは、ブラインドからコールしたプレイヤーよりも強いレンジでフロップを見ることになる。
ブラインドは状況をましにしようと動きます。OOPは弱いレンジでプレイしなくてはならないため、不利な状態でポットを争うことになります。ブラインドはこの不利な状況を最大限に利用し、ポットの分け前を少しでも取り戻そうとします。もともと不利な状況であるため、ナッツ以外のハンドのEQRは100%以下となることが予想されます。これはSBもBBも同じですが、SBよりはるかに弱いハンドでプリフロップのレイズをコールできるBBでは特に顕著です。
フロップの分析
フロップでブラインドの弱いハンドがエクイティを実現できる主な局面は3つです。
- ワンペア ペアはどんなに弱くても、通常はフロップのベットに対してついて行けるエクイティを持っています。それができない場合、例えば相手のプリフロップのレイズレンジが非常に強かったり、フロップが相手に有利な場合は、ブラインドはさらに不利になります。
- フラッシュドロー 2枚のフラッシュドローはほとんどの場合、コールかレイズになります。モノトーンボードでの低いフラッシュの1枚ドローは頼りないですが、それでも思ったよりは役に立ちます。
- ストレートドロー ストレートドローはフラッシュほどではないにせよ、エクイティを奪われにくいハンドです。ソルバーでは、フロップの1発のベットに対してはガットショットでもフォールドすることは稀です。
このことはプリフロップレイザーにとって何を意味するのでしょうか?上記のような機会が少ないボードでは、Cベット頻度が高くなるはずです。具体的には、相手がベットレンジに対して20%以上のエクイティを持っていても、ボードと噛み合わず、エクイティの実現が難しそうなハンドが多そうであれば、小さいサイズのベットがより効果的になります。ヒットしにくいフロップでの小さいサイズのベットは、小さいリスクで大きなエクイティを奪うことができます。
エフィエクティブスタック40BBのBTN対BB
BTNのオープンレンジは、それより前のポジションのオープンレンジよりもはるかに広く、弱いはずです。それでも、冒頭でも説明した通り、BTN はエクイティアドバンテージを持っています。以下の表は、特定のポジションとスタックサイズに限定していますが、ここから得られる法則の多くは他のポジションや別のスタックサイズにも当てはまります。
ペアボードの場合、BBは2つの数字しかヒットできないので、BTNはベットしやすくなります。まれに同じ数字のカードが3枚フロップに出ることがありますが、その場合1枚しかなくなるので、Cベットはより打ちやすくなります(プリフロップレイザーその1枚を持っている可能性は低いですが)。
レインボーボードではバックドアフラッシュドローしかなく、それだけではBBはベットについて行くことはできません。バックドアフラッシュドローはEVの追加点のようなもので、オーバーカードやバックドアストレートドローのような他の可能性のあるハンドがついて行けるかどうかの境目にいる場合に役立ちます。モノトーンボードは弱いドローの場合もありますが、ともかくフラッシュドローが多くなります。また、BBに比較的強い役ができていることが多いため、チェックレイズのリスクが高くなります。
同様に、オープンエンドストレートドローの可能性が少ないボードの方が、多いボードよりもベットに適しています。ストレートが既にできているかもしれないボードは、オープンエンドストレートドローの可能性も高く(例えば987のフロップでは、プレイヤーは8アウトのドローをするためにTか6が1枚あればよい)、チェックレイズのリスクも高いため、ベットには不向きです。プリフロップレイザーがこのようなフロップにベットする場合はポラライズして大きいベットサイズを使います。
ミディアムカードのフロップはCベットには一番向きません。
- BBはミディアムカードを多くプレイする。プリフロップレイザーのレンジは、BTNですらビッグカードに集まっています。BBはプリフロップでビッグカードを3ベットし、ミディアムカードでコールするため、ヒットしている可能性が高くなります。ただ、両プレイヤーともスモールカードはあまりプレイしないので、プリフロップのレンジアドバンテージは変わらずあります。
- ミディアムカードのボードはストレートを作りやすい。ストレートやストレートドローのフロップはBBに有利であることは既に説明しました。フロップのハイカードが大きければ大きいほど、ストレートを作りにくくなります。
- ローカードのボードはペアになりやすい。唯一の2ハイフロップは222です。3ハイのフロップはペアかトリプルボードです。
EPからのCベット
BTN対BBのシナリオとの大きな違いは、EPのレイザーはレンジがさらに強いということです。基本的にベットしやすくなりますが、BTNよりもナッツの可能性が低い、慎重にならなければならないボードもいくつかあります。
以下のグラフは40BBのBBとのヘッズアップです。BTNとHJ、UTGの戦略を比較しています。
面白いのはトリプルフロップで、BTNは他のポジションよりもかなり多く、大きいサイズのベットを行います。これはUTGのレンジが非常に強く、ナッツアドバンテージを活かすにはスモールベットで十分なためです。ベットサイズが小さくとも、BBはすでにドローイングデッドになっているかもしれないアンペアのハンドをディフェンスするのは難しく、コールしてしまうと後のストリートでさらにベットを受けるかもしれません。しかし、BTNのレンジは弱いハンドがUTGより遥かに多く含まれているため、同じハンドをフォールドさせるには大きなサイズを使うことになります。
プリフロップでレイズしたポジションが早ければ早いほど、そのレンジは強くなります。その結果、EPとBBがヘッズアップする場合、フロップのベット頻度は高くなり、ベットサイズも大きくなります。例外は、モノトーンボードとストレート既にできている可能性のあるコネクテッドボードです。UTGの狭いレンジにストレートやフラッシュが含まれる可能性は低く、大きいベットをするためのナッツアドバンテージが奪われます。BBに対して非常に強いアドバンテージを持つビッグペアは、このようなボードでは非常に弱くなります。
SBに対するCベット
SBのコールレンジは、オープンしたプレイヤーより弱いとはいえ、BBよりはかなり強いはずです。このため、フロップが良かったとしても、Cベットを全レンジで打ってはいけません。先ほどと同様に、例外はモノトーンボードとコネクテッドボードで、そこではオーバーペアが最も弱く、大きいベットに必要なナッツアドバンテージを持っていないのが普通です。
以下のグラフは、40BBのSBとBBに対するSRPのCベット戦略を比較したものです。
まとめ
Cベット戦略を決める要因は、ボードテクスチャではなく、プリフロップのレンジです。プリフロップレイザーのレンジが、ブラインドコーラーのレンジに比べて強ければ強いほど、特に有利でないフロップでもベットできるようになります。実際に、ペアボードや繋がっていないボード、レインボーボードといったフロップはCベットに最適です。なぜなら、これらのフロップはプリフロップコーラーにとって悪く、Cベットについて行くにはレンジエクイティが足りないのです。