
プリフロップを考える
リンプポットでのBBの戦略はプリフロップから始まります。BBの均衡戦略はどのスタックにおいても、非常に弱いオフスートを多く含むポラライズレイズレンジを使っています。このようなレイズをしないと、フロップで弱いハンドが多くなり、SBにスモールベットでエクイティ奪われ易くなります。
以下は10BBでのリンプに対するBBのレンジです。

スタックが深くなると、SBがレイズする頻度は減り、リンプにベットを受けた際コールする頻度が増えるので、BBはレイズレンジに強いスートを増やすことになります。しかし、弱いオフスートも60BBのレイズレンジには残っています。

SBがフロップをチェックした場合
リンプポットでのSBのチェックに対するBBのレンジは、プリフロップのチェック頻度が大きく異なるにもかかわらず、どのスタックサイズでもよく似ています。これはSBの戦略がエクイティ分布によって決まるためです。SBに大きなエクイティアドバンテージがある場合は頻繁にベットし、チェックレンジはやや弱くなります。その結果どのスタックでもBBは同じくらいの頻度でベットすることになります。
リンプポットにおけるスタックサイズ別のBB戦略


SBとは異なり、BBはショート以外では大きなベットサイズをある程度使えます。非常に強いハンドは大きいベットに偏っているため、小さいサイズのベットで調整します。セミブラフやシンバリューベットが多すぎるとチェックレイズに弱くなるので、BBはチェックレンジを多くします。IPはアクションが最後なためコンデンスレンジでもベットを受ける心配がなく、コンデンスレンジでのチェックとポラライズベットレンジをOOPより安全に増やすことができます。
ポットコントロールのチェックは、ペアが大きければ大きいほど安全。
BBはローカードのフロップではベット頻度が少し増えますが、ハイカードのフロップでのSBほどではありません。この違いは、エクイティが上回っているからではなく (エクイティアドバンテージはSBのチェックレンジに既に影響しているため) 、エクイティを奪い、エクイティの変化しやすいボードで早い段階でポット増やそうとしているために起こります。BBのペアは、ターンで捲られる可能性が高い場合、即座にベットする方が良くなります。ペアが大きければ大きいほど、ポットコントロールのためにチェックする方が安全になります。
次の図は60BBでのBBのベット戦略ですが、どのスタックサイズもよく似ています。

ボードの数字が繋がっているかどうかも、BBのベット戦略にはさほど影響しません。

エフェクティブスタック60BBの762ttでSBがチェックした後のBBのレンジは、ここまでの法則を良く表しています。

BBのナッツ級のハンドはピュアベットで、キッカーやドローを持つペアがバリューベットの中心となります。BBのブラフは、94oやJ♦5♦のような、ストレートやフラッシュに対するドロー(ブロッカーとしても機能するバックドアドローを含む)を持つ弱いハンドで構成されています。A5oやKJoのような強いノーペアのハンドは、バックドアドローがあってもチェックが増えます。またキッカーの弱いトップペアもチェックが多くなっています。
エクイティの変化の少ないAJ6でも、ペアでない非常に強いハンドやキッカーが弱いペアはほとんどチェックし、非常に強いハンドは全てベットします。BBのブラフはトラッsyハンドではなく、コールされたときにある程度のエクイティがあるハンドです。87oの方が82oより頻度が多いのは、ストレートを作る可能性が高いだけでなく、SBのコールレンジの6xに対してオーバーカードが2枚あるからです。82oのような非常に弱いハンドは、SBがチェックを続ければ最終的にブラフすることになりますが、これ以上進展がないためフロップから高頻度でブラフするには不十分です。

SBがフロップでベットした場合
SBのベットに対するBBのレンジもスタックサイズによって大きく変わることはありません。BBはほとんどレイズせず、だいたいMDF(コールされたときもSBのブラフはエクイティが少しあるため、少し低い)でフォールドします。非常にショートの場合は例外で、SBのベットはポラライズされているはずなので、ポットを大きくするためにレイズは必要ありません。


ボードテクスチャは、スタックサイズと同様にSBのベットレンジに既に反映されています。BBのレイズ戦略は、ボードカードの強さによるSBのベット戦略ほどのばらつきはありません。
以下は、スタックは25BBで33%のベットを受けています。

そして、60BBの場合です。

このような広いレンジでは、スモールベットへの対応は厄介です(だからこそSBはそれを使います)。以下は60BBでAJ6rの33%ベットに対するBBのレンジです。
フォールドするハンドを見た方が分かりやすいでしょう。ワンペアやバックドアフラッシュドローのない、極めて弱いハンドだけフォールドします。

ペアは絶対フォールドしません。6より大きいカードを二つ以上持っている場合もフォールドすることはありません。とはいえ、非常に弱いハンドでもバックドアのストレートがあればある程度コールできます。また、バックドアフラッシュドローはほとんどフォールドしませんが、72sはフォールドが混ざります。ここではフォールドするハンドをみる方が楽でしょう。バックドアフラッシュドローがなく、6以上のカードも低い、非常に弱いハンドだけです。
レイズはBBレンジのごく一部であり、ほとんどレイズした方が良いハンドはありません。レイズの頻度が最も高いハンドはツーペアとセットで、弱いバックドアドローのブラフも一部あります。ブラフレイズはあまり利益にならないので、コールされて戦えるハンドしかありません。
スタックが浅くなってもあまり変わりません。25BBになると、トップペアのレイズが少し多くなり、バックドアドローは引いてもあまり追加のチップを得られないため、弱いバックドアドローはフォールドが少し多くなります。

こうした傾向はエクイティの変化しやすいボードでも当てはまります。762ttで60BBの場合、BBはどんなペアでも、どんな2枚のオーバーカードでも、そしてほとんどどんな2枚のバックドアフラッシュドローでもコールします。このフロップではそうしたハンドが多いので、AJ6rの時よりもフォールドは減ります。

JToのような弱いオーバーカードは、バックドアストレートドローやハイカードを持つA3oやK5o(ダイヤを持っている場合はフォールドしません)より利益的なコールができます。発展のないエースハイはいずれにせよショーダウンできる可能性は低いので、オーバーカード2枚や高いストレートへのバックドアといった分かりやすいアウツを持っているハンドの方がよいでしょう。
エクイティの変化しやすいボードほど、レイズ額と頻度が上がり、セットはピュアレイズになり、ツーペアはほとんどレイズになります。その際のブラフは主にストレートドローとフラッシュドローです。
スタックが少ない場合の戦略はこれと非常に似ており、大きな変化は強いトップペアでのレイズが多いことです。以下は25BBの戦略です。

ショートでは、戦略が異なってきます。10BBになると、BBはセットやツーペアでスロープレイを好むようになり、強いトップペアでのレイズはほとんど価値がなくなります。バックドアドローはもはや意味がないので、T4sのような弱いスペードはフォールドするか、ブラフとしてレイズすることになります。

まとめ
- BBとして重要なことは、効果的なプリフロップのレイズ戦略を確立し、弱いハンドレンジでフロップに入るのを避けることです。また、ボードテクスチャに過剰に反応したり、過剰な調整を行ったりしないことも重要です。
- エクイティアドバンテージの有無はSBの戦略に反映されているため、フロップでのベットやコールの頻度が大きく増えたり減ったりすることはありません。ローカードボードをアグレッシブにプレイするのであれば、それは強いが引かれやすいハンドでベットする重要性が上がったと言うより、SBにコールされた場合にそういったハンドのアグレッションを落とす必要があるためです。