3ベットしたIPのプレイヤーはエクイティアドバンテージとポジションアドバンテージの両方を持っています。そのため、ほとんどのフロップでアグレッシブにプレイすることができ、エクイティを多く実現することができます。
プリフロップで3ベットした際に、相手がOOPからコールすると、かなり有利にゲームを進めることができます。3ベットにフォールドして欲しかった時もあると思いますが、ポジションがあるので既に有利な状況となっています。AAやKKなどのとても強いハンドを除いて、4ベットされるよりはコールしてくれた方がプレイはしやすくなるでしょう。
この記事では、3ベットポットでどのようなベットサイズを使うのか、またどのような場合にベットをしないのかを紹介します。
上記の表をみてみると、3ベットのサイズや頻度に関してポジションによる大きな違いはありません。ポジションに関係なく、ほとんどのシナリオで同じような傾向になっています。BTNがCOに対して3ベットした場合、ほとんどのフロップでUTGに対して3ベットした場合と同じようにプレイします。
3ベットレンジは最初にレイズしたプレイヤーのレンジの強さに基づいて決まります。また、コールレンジも3ベットレンジに基づいて決まります。例えば、COのオープンはUTGのオープンよりも広いため、BTNはCOに対して広いレンジで3ベットし、COもBTNの3ベットレンジが広いため広くコールします。つまりポジションが違っても、レンジの相対的な差は変わりません。
アーリーポジション(UTG1などの前のポジションのこと)の3ベットには、レイトポジション(BTNなどの後ろのポジションのこと)の3ベットにはないリスクがあります。
3ベットをより前のポジションからすると、後ろのプレイヤーから4ベットされるリスクがあります。UTG1がUTGのオープンに対してBTNよりもタイトなレンジで3ベットするのは後ろのプレイヤーから4ベットされることがBTNに比べて多いためです。UTGはその分タイトにコールするのでここでも相対的な差は変わりません。
しかし、スタックサイズによって3ベットのサイズと頻度は異なってきます。スタックが浅くなればなるほど、3ベット頻度は増え、サイズは小さくなります。スタックが浅いため、ほとんどのフロップでナッツアドバンテージを得られるようになります。SPRが4以下であると、強いポケットや、AKのような強いブロードウェイがペアになるとナッツとしてプレイすることができます。
SPRは低いと、3ストリートに渡ってベットを分散させることでレバレッジを得ることもできます。リバーでオールインできるように持っていくことで(バリューであれブラフであれ)相手の中程度の強さのハンドに大きなプレッシャーをかけることができます。
また、スタックが浅い場合、フロップで小さなベット(多くの場合ポット額の25%以下)をすることで、ターンやリバーでもベットをすることができます。スタックが深い場合は、刻んでリバーでオールインまで持っていくため、フロップで少し大きめのベット(50%ポットサイズ)が使われるようになります。
あまりヒットしていないフロップ
3ベットしたプレイヤーはかなり強いレンジであるため、互いにあまりヒットしないフロップではプリフロップでのエクイティアドバンテージを引き継ぐことができます。例として、552rのフロップをみてみます。
BTNは強いポケットを多く持っているため、ターンとリバーで大きなベットをし、オールインまで持っていくことができます。
たとえエフェクティブスタックが100bbであっても、3ベットポットではトリップス以上のハンドはほとんどないので、広くベットすることができます。
ここでは50%と75%のサイズが多く使われています。ほとんどの場合、BTNは強いポケットを多く持っているため、ターンとリバーで大きなベットをし、オールインまで持っていくことができます。
相手がCOであると、コールレンジに5xと22があるため、BTNはUTGの時と比べて慎重にプレイします。
UTGと比べCOに対しては、BTNのチェック頻度は高くなっており、75%や50%ポットサイズのベットではなく、25%ポットサイズのベットを多く使うようになっています。
ただBTNにとって非常に有利な状況であることには変わりありません。エクイティはほぼ半々ですが、BTNのEVは10.78bb、COのEVは7.72bbとなっています。BTNがレバレッジを生かして、ポラライズできるためEVが高くなっています。
エフェクティブスタックが40bbの時では、COのレンジにトリップス以上のハンドがあるかどうか気にする必要はありません。トリップが存在しないという意味ではなく、スタックが40bbになるとBTNはポケットペアをナッツとして扱いやすくなるということです。100bbのBTN対UTGのシナリオと同じように、レンジ全てでベットしますが、スタックが浅くなった分、小さいサイズを使うようになっています。
50%ポットサイズのベット(このシナリオでは大きいサイズ)はあまり使いません。言い換えると、ポラライズしたレンジでのベットはしていません。このような浅いスタックでは、KKやAAのようなまくられにくい強いハンドは小さくベットして更なるアクションを誘発します。後のストリートでも十分にバリューを取れるくらい強いため、フロップのベット額が小さくてもリバーで簡単にオールインまで持っていくことができます。
50%ポットサイズのベットをするハンドは、まくられやすいハンドです。JJやTT、A2s、AKoがこのカテゴリーに入ります。これらのハンドは相手のエクイティを否定することで利益を得ており、コールされたときでも勝っていることが多いハンドです。しかし、ターンでバリューベットをすることは難しいので、フロップでより多くのチップを入れたいハンドとなります。
Aハイフロップ
3ベットポットのレンジにはAxが多く、Aハイフロップの戦略はややこしくなります。自分がAを持っていないと、相手がAを持っている可能性は高まります。さらに、Aハイフロップでは、A以上のランクのカードが来ないため、スタティックなフロップの1つです。自分のレンジアドバンテージに応じて、チェックをするか、小さなベットをします。Aハイフロップは3ベットしたプレイヤーにとってかなり有利であるものの、KK、QQ、弱いAxなどのハンドはベットしてもあまり利益は得られません。
Aハイフロップはスタティックなフロップです。
A93rでのエフェクティブスタック100bbの際のBTN対UTGの戦略を見てみます。
BTNのエクイティは55%ありますが、かなりの頻度でチェックし、ベットするときは小さなサイズを使います。チェックレンジのほとんどはポケットペアや弱いAxであり、エクイティをあまり削ることができず、大きなポットでプレイしたくないハンドです。AQ、AK、特にAAのような強いハンドの場合、UTGのコールレンジをブロックしているためバリューは取りづらくなっています。最も多くベットするハンドは99で、UTGのAxレンジをブロックしない唯一の強いハンドです。
エフェクティブスタック100bbの際のUTG1対UTGでは、UTG1のエクイティアドバンテージは60%を超えます。チェックはほとんどせず、10%や25%ポットサイズのベットを多用します。
スタックが浅いとベットサイズはさらに小さくなります。BTN対UTGの40bbのスタックの場合、レンジの半分以上で10%ポットサイズのベットをします。
ブロードウェイが2つあるフロップ
ブロードウェイが落ちるとハンドの価値が変化しにくく、特に3ベットポットでは大きく影響します。そのため、このようなボードでのCベット戦略はAハイフロップと似ており、小さいサイズのベットが多く、セカンドペア、サードペアでのチェックが多くなります。KQ5rのBTN対CO、エフィエクティブスタック40bbの例をみてみます。
スタックが深い場合、3ベットしたプレイヤーは、ナッツアドバンテージを生かし、それなりの大きいサイズを使用します。下は100bbのスタックの際のBTN対COの戦略です。
スタックが深いと、ナッツアドバンテージが強く働く。
ターンやリバーのカード次第では、フロップでベットした中程度の強さのハンドが後のストリートでブラフに変わることもあります。スタックが深いほど、BTNはナッツアドバンテージを活かして、フロップとターンでのブラフ頻度が非常に高くなり、低いポケットペアでもブラフをするようになります。
エフィエクティブスタックが40bbの場合、チェックが多くなります。
スタックが浅いと、ターンやリバーで大きなベットをしてプレッシャーをかけることが難しいため、中程度の強さのハンドはチェックするようになります。
中位のランクのカードでコネクトしているフロップ
876ttのようなフロップは552rのような低いランクのペアボードと共通点が多くあります。エクイティはほぼ半々ですが、3ベットしたプレイヤーのレンジには何もないオーバーカードが多く、コールしたプレイヤーのレンジにはナッツ級のハンドがあるため、チェック頻度が高くなります。以下は876ttにおける100bbのBTN対COの戦略であり、BTN対UTGの戦略と似たような戦略となっています。
混合戦略が多いですが、いくつかの法則を見つけることができます。ストレートは100%の頻度でベットしており、多くの中程度の強さのハンドはチェックしています。ここではコーラー側がチェックレイズを多くできる場面です。他によくベットしているハンドはドローとまくられやすい強いペア(TT、99)です。
スタックが40bbの時は、BTNはあまりストレートを持っていませんが、ベット頻度は変わりません。オーバーペアを多くベットすることでベット頻度を補っており、SPRが低いのでオールインまで持っていくことができます。
最後に、このようなフロップで正しいプレイができていない状況を2つ紹介します。
- 強いハンドが相手に多くあるのをみて、スタックが浅いのにオーバーペアでアグレッシブにプレイすることを躊躇してしまう。
- スタックが深い際に、3ベットのレンジをうまく構築できていない。スタックが深いと、このようなフロップでは、オーバーペアをナッツとしてプレイできなくなるので、876ttのようなボードでもナッツを得られるようなカバレッジを意識した3ベットレンジを構築する必要があります。
まとめ
スタックの深さによってベットの大きさは決まります。ナッツアドバンテージがある場合、3ベットしたプレイヤーは3つのストリート全てでベットできるようサイズを考えます。スタックが浅い場合、ターンとリバーでもベットできるように、フロップではポットの10%程度のCベットをすることがあります。スタックが深い場合は、後のストリートでオーバーベットする必要がないように、大きめのベット(それでもハーフポット以上になることはほとんどない)を使うことがあります。まくられやすい強いハンドは、このような大きなベットをするのに最適な候補であり、後のストリートでバリューベットできないことが多いため、早めにポットを大きくしようとします。
スタックとポットの比率、自分のレンジの構成を意識することは、3ベットポットでうまくプレイするために不可欠な要素です。3ベットポットでのレンジの最大の違いは、強いポケットとAKのようなブロードウェイカードが多く占めることです。これらのハンドで強くプレイできる状況であれば、より頻繁にベットするべきでしょう。